1. トップ
  2. SF恋愛映画「メカニカル・テレパシー」五十嵐皓子監督&主演・吉田龍一インタビュー「黒沢清監督の『散歩する侵略者』に憧れて」

SF恋愛映画「メカニカル・テレパシー」五十嵐皓子監督&主演・吉田龍一インタビュー「黒沢清監督の『散歩する侵略者』に憧れて」

  • 2020.10.10
  • 137 views
映画「メカニカル・テレパシー」
(C)Akiko Igarashi

【写真を見る】「心を可視化する機械」に翻弄される人々

好きな人の心を、その目で見てみたいと思ったことはないだろうか?

「心を可視化する機械」をめぐる3人の男女の物語を描いた映画「メカニカル・テレパシー」が、10月9日(金)よりアップリンク渋谷ほかにて公開される。

SF的要素と恋愛感情を掛け合わせた“不思議”な映画を生み出したのが、本作が初の長編監督作品となる五十嵐皓子監督。主人公・真崎役に、AbemaTVの恋愛リアリティーショー「さよならプロポーズ2」に出演した吉田龍一を迎え、「心を可視化する」という世界を表現している。公開を前に、注目してほしい点について両氏に話を伺った。

五十嵐皓子監督「心を姿として見せる機械があったら面白いんじゃないかと」

本作は、眠って目覚めない夫・草一(申芳夫)、草一の心を見ようとする研究者・三島碧(白河奈々未)、碧に引かれる真崎トオル(吉田龍一)の3人の物語。

碧を手にしたい真崎だが、相手にとって何が幸せかを考えている。碧は、自分が見ているのが本当の「草一の心」なのか確信が持てないながらも、「草一の心」を見ることに執着している。心として姿を表す草一は、自分を思い続ける碧への別れの言葉を見つけられずにいる…。

報われず、届かない感情や心の行き場を探し求める3人のストーリーは、第12回大阪アジアン映画祭 インディ・フォーラム部門及びアメリカのThe Philip K Dick Science Fiction Film Festivalに正式上映され、日本芸術センター第10回映像グランプリでは優秀映画賞を受賞した。

――「心を可視化する機械」というアイデアはどこから来たんですか?

五十嵐「“心を可視化したらどうなるんだろう”ということを考えていて、抽象的なイメージも考えていたんですけれど、『それを実際に姿として見せる機械があって、それを軸として展開するSFの話があったら面白いんじゃないか』と思いつきました」

――その後の細かい展開はどう決めていったんですか?

五十嵐「まず“心を可視化する機械”というSF的なアイデアがありまして、それを物語として展開していく際に、好きな人の気持ちを知りたいとか、自分の気持ちがわからないとか、日常的に身近にある感情を元にして展開していく話にしたら、色んな人が楽しめるのかなと思いました」

撮影初日に固まった台本で数パターンを撮影

映画「メカニカル・テレパシー」
(C)Akiko Igarashi

――脚本はどう開発していったんですか?

五十嵐「おおまかな骨格は決まっていたんですけれど、場面自体が撮影ギリギリまで決まっていない部分がありました。今までリハーサルで演技して頂いて作ってきたものを見ながら、脚本に落として撮影初日に渡しました」

――劇中のセリフにあった、「小説と映画化された映画とで結末が違う。2つ別々の人間がいる」という考え方も面白かったですが、いつも気になっていたんですか?

五十嵐「はい。原作があって、それが映画化された作品を観た際に、いつも『原作はどうなっているんだろう?』『それをどうやって演出したんだろう?』とその違いを見るのが面白くて、今回そのセリフを入れてみました」

――役者さんによっては、役本人と、心が可視化されたバージョンと、演じ分けなくてはいけなかったですが、どういう演出をしたんですか?

五十嵐「キャラクター作りに関しては、キャストの方で主体的に進めて頂き、心のバージョンも何パターンか作って頂きました。怖いバージョンやもっと極端なバージョンなども演じて頂いた中で、本番でやって頂いたバージョンに決めて行った形です」

初めて映画祭で上映され「かなり緊張した」

――本作は、大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で上映されました。観客の反応はいかがでしたか?

五十嵐「初めての上映でかなり緊張したんですけれど、具体的なエピソードに関してここが良かっただとか、温かい、元気をもらえる感想を頂きました」

――本作で特に注目してもらいたい部分はありますか?

五十嵐「キャストです。これからどんどん活躍していく役者さんたちが出演していますので、その方達の演技をぜひ観て頂きたいと思っています」

――これからご覧になる方へメッセージをお願いします。

五十嵐「大きいセットや設定を使わずに、不思議な気持ちになれるようなSFをどうやって作るかということを考えて今回作りました。その中で、自分の中にある、人を想うとか、誰かを好きになるという気持ちは一体何だろうというのを突き詰めて、新しい感覚に浸れるような映画を目指しました。黒沢清監督の『散歩する侵略者』が、恋愛とSFを掛け合わせたような作品だったので、それに憧れ、SFが好きな方、恋愛い映画をみたい方、いろんな方が楽しめる作品を目指して作りました。ぜひ劇場でご覧ください」

300人から選ばれた主演・吉田龍一「選んで頂きました」

映画「メカニカル・テレパシー」
(C)Akiko Igarashi

――ここからは、主演の吉田龍一さんに話を伺います。本作への出演の経緯をお教えください。

吉田「関西だと、『映画=シネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)』という程知名度がある、映画の製作を行っている組織があって、関西で活動をしているのであれば、そこで1回はやってみたいという想いがあり、交流を持たせて頂いたのがきっかけです。石井裕也監督などが若い頃にそこで映画作りに励んでいらっしゃったので、登竜門ではないですけれど、そこで1度やってみたいと思って、オーディションから参加させて頂きました」

――その中から、最後の1人に選ばれたんですよね?

吉田「はい、助成制度に、映画の1作の主演ができる俳優枠もあって、俳優が全国から集まって、オーディションをするんですけれど、200〜300人が集まって、ありがたいことに、その中から選んで頂きました。CO2は何十年も映画製作の取り組みをされていたんですけれど、ラストイヤーに選んで頂きました」

ラストシーンを観て「自然と涙しました」

――真崎は碧のどこに惹かれたと思いますか?

吉田「何か真崎に対して優しさをくれたからとか、見た目が綺麗だからだとかで惹かれたのではなく、碧さんが草一さんを必死に思い続けるその姿に惹かれたのではないかと思います」

――真崎に恋心を抱くアスミ役の伊吹葵さんとの共演はいかがでしたか?

吉田「芯があって、だけどガラスのように割れそうですごく透き通っていて純粋な印象を感じました」

――アスミとのシーンが、本作が言いたいことなのではないかと思いました。真崎も試されますが、そのシーンはどう取り組みましたか?

吉田「真崎もそうですし、登場人物みんな試されているような場面がめちゃくちゃあると思います。その試されている時に向き合うのかで先の答えが変わると思っていて、それって人生観に近いなと思います。そういうのを感じながら言葉を受けていました」

ーー完成した映画を見た感想はいかがですか?

吉田「ラストシーンで電気が暗くなっていくんですけれど、黒くなって、情景の音だけが流れてくるんですね。その時に、自然と涙しました。『人やなー』とか、『こういうのって人生なのかな』とか、自分が大事にしていたいい思い出、今まで経験してきた思い出、楽しかった思い出が浮かんできました」

海外の方からの感想に感激!

映画「メカニカル・テレパシー」
(C)Akiko Igarashi

――大阪アジアン映画祭で上映された際、観客の反応はいかがでしたか?

吉田「知り合いの海外の方や国内の日本人の方だとかが一緒に観て下さいました。海外の方から『すごく興味深かった。人の本質的なところを描いている作品じゃないかと感じた』と言われ、とても嬉しかったです」

――本作で特に注目してもらいたい部分はありますか?

吉田「真崎は秀才で、社会的な世界に生きている人物なのですが、科学的根拠の説明・説得に重きを置いたコミュニティの中で、現代の社会や人の在り方に真崎がすごく重なりました。そういう人たちが自分のエゴとか自分たちの欲のために、目に見えがたいものを可視化すると、一体どうなるのか。何に気付いていくのか。全てを科学的な成長のために成功させることが正しいのかと言ったらそうではないこともあると思うんです。本来、人が人であるべき姿というか、信頼関係や絆って、人が大切にしなくてはいけない部分なのに、科学的な成功を優先させることによって、何か大切な物が消えてしまうんじゃないかなというのを感じています。物語だけでなく、そういうところも踏まえた上で観て頂けたら、より理解しやすいのではないかと思います」

“ナヨナヨ”リュウイチではない吉田龍一を「見て」

――AbemaTVの恋愛リアリティーショー「さよならプロポーズ2」で吉田さんを初めて知った方には役者としてどのようなところを見てほしいですか?

吉田「“さよプロ”に関しては、『ナヨナヨして泣いてばっかり』とアンチもすごく多かったので『少しは頑張っているんやぞ』という部分を見て頂けたら幸いです」

――最後にメッセージをお願いします。

吉田「命だとか心というものに対して、本質的なところが込もっている作品だと思っています。作品を通して少しでも自分の人生観だったり、今の社会であったり、何か気づきになったらと思います。それも踏まえて楽しんで頂けたらと思います」

「ザテレビジョンYouTubeチャンネル」では、映画「メカニカル・テレパシー」の冒頭シーン9分半のノーカット映像を独占公開中。目の前にいる相手の心や、自分の心を見詰めるきっかけを生むような作品となっている。(ザテレビジョン)

元記事で読む