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日本を抜いてアジアで首位に! 世界的富豪も認める「中華圏のすごすぎる教育」の実態

  • 2020.10.6
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シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。世界の大学の最新のランキングをイギリスの専門誌が発表しました。アジアからは、中国とシンガポールという中華圏のトップ校が日本を抜いて上位にランクインしました。今回は、今世界でも注目されている中華系の教育力について分析したいと思います。

中国の学校の教室で、書き取りをする少女
※写真はイメージです(写真=iStock.com/MediaProduction)
ジム・ロジャーズ氏が語るアジアの教育の素晴らしさ

英国の教育専門誌『Times Higher Education(THE)』が、大学の教育の質や国際性などを総合的に評価する「THE世界大学ランキング2020」を発表しました。1位が5年連続でイギリスのオックスフォード大学、2位がアメリカのスタンフォード大学、3位がハーバード大学で、上位13校までを米英の大学が占めました。アジアの大学の中では中国から清華大学(20位)と北京大学(23位)、シンガポールからはシンガポール国立大学(25位)と南洋理工大学(47位)、日本の東京大学(36位)と京都大学(54位)などが上位にランクインしました。

このランキングには資金力も影響しているようです。今回、中国の大学の研究による収入の中央値が初めてアメリカの大学を上回り、専門家は「新型コロナウイルスの影響で、アメリカの大学の収入が落ち込み、米中の大学の差が縮まるきっかけになるかもしれない」と指摘しているようです。中国からは2019年と同じ7校が上位200校に入り、ほとんどの学校が順位を上げています。シンガポールは基本的に財政黒字で準備金の蓄えがありますが、日本は財政難から教育など政策投資に投じられる予算は削られる一方です。

15歳児を対象にした国際学力テスト(PISA)では科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの3分野で2015年にシンガポールは世界首位でした。2018年度には中国(都市部)に抜かれたもののシンガポールは2位です。その他、3位マカオ、4位香港など中華圏の学力の高さには圧倒されます。ちなみに、日本は6位、韓国は7位、イギリスは13位、アメリカは25位でした(2018年)。世界3大投資家のジム・ロジャーズ氏も、娘たちの教育のためにシンガポールに移り住み、娘をローカルスクールに入れているほどです。取材のたびにアメリカの教育はひどく、アジアは素晴らしいと言います。留学でアメリカを目指す日本人はいまだ多いものの、実はアジアの教育の方がよいのでしょうか。

OECD生徒の学力調達度調査(PISA)2018年 国際比較
中国人の家庭の多くでは、3カ国語を一度に学ばせている

筆者はシンガポールで子供を欧米系のインターナショナルスクールに入れています。8月で学年を区切るために、日本よりも1学年繰り上がり、小学生になりましたが、英語の読み書きに苦労をしています。英語の場合、日本語のひらがなと違って、例外的な読み書きをする単語が多くあります。学校では単語カードなども持たせてくれるのですが、発音のためにマニアックな単語も多く、辞書で引いても出てこないような単語もあって、苦戦しています。当然、親がネイティブではないと学校では不利です。

しかし、娘が入っているELL(English Language Learner)という英語サポートクラスには、アメリカ人など英語ネイティブスピーカーの子もいて驚かされました。母国語なので喋ることができても、低年齢だと読み書きができない生徒も多いよう。ELLは想像以上にアジア人が少なく、中国や韓国の生徒などの姿はあまりありません。学校では中国と英語を学ぶので、韓国人や日本人の場合、両方とも母国語ではないのでどう考えても不利です。

両親ともに中国人や韓国人の家庭に英語の教育をどうしているか聞いたところ、学校の外でも英語の読み書きを習わせていると言います。シンガポールに来ている中国や韓国、インドの親はエリートが多く、両親共にアメリカの大学で大学院まで出ていて、英語が堪能なカップルも多いです。インド人の親などはボーディングスクールを出ている人も。中国から母子留学で来ていてELLに入っている生徒もいますが、英語の家庭教師などをつけて必死に授業にキャッチアップしています。

中国人の家庭の多くでは英語とスペイン語を学校で学ばせ、家では中国語を教えているようです。「3カ国語を一度にやるのは大変ではないか」と聞いても、絶対に学ばせたいし、子供も興味があるからと強い熱意で言うので感心をしました。中国語の授業の際も熱心に授業に参加しているのはインド系などアジア人で、欧米人は苦手意識が高いようです。

小学校入学前に英語の文章が書けないとダメ

新型コロナの影響で、祖国に帰る欧米人が多く、シンガポールのインター校の生徒の割合はアジア人が高くなっています。中国やインドからの生徒の割合が上がり、授業のレベルが押し上げられます。実際に中国の親などは授業のレベルを上げてほしいと学校側に要求をするためにカリキュラムが前倒しになる傾向があるようです。

日本では小学校1年生でひらがなを学び、算数は足し算などをしますが、シンガポールではインター校でも小学校1年生で英語の文章をかけ、簡単な本が自分で読めるようにならなければなりません。ローカル校だと、さらに1年早いようで、小学校入学前に英語でセンテンスが書け、中国語も学び、小学校ではタイピングをするようです。子供用のキーボードを探していると友人は言っていました。友人は図書館が開けるほどの児童書やDVDなどを買っているのですが、毎日読み聞かせ続けた結果、ある日子供が自分で英語の本を読めるようになったと言います。

また、学校では学力テストが多く、学年でのレベルに満たない場合は英語や算数で特別なサポートを受ける形になります。小学校の新学期が始まってすぐに英語、算数などのテストをするために授業スピードが早いです。様子を見るということもなく、できることをなるだけ早くやるようです。家庭のサポートも容赦なくリクエストしてくるので、毎日20分程度は子供の勉強のサポートをしています。

中華圏の子供たちは習い事も多くさせていて、週6などで予定が入っている子供も多いです。集合住宅で外遊びをしているのは欧米人やインド人がほとんどだと感じます。その他の子供たち(主に中華系)は習い事や塾などでしょうか。最近は、同じ集合住宅の中国人の子供と放課後に遊ぶ習慣ができたのですが、勉強は得意でもなんとなく運動は苦手そうに感じます。少し走るとむせたりするようです。スポーツや文化的な活動に関しては欧米や日本の教育に分がありそうです。しかし、学力は驚異的なものがあるために、将来、大学受験の際に彼らと競争をしなければならないとなると、先が思いやられます。

欧米の教育と中華圏の教育と、どちらも極端な部分があります。真ん中くらいがよいと感じる家庭も多いようでそれに合わせた教育を提供する教育機関も見受けられます。子供の個性に合った教育機関を各家庭で慎重に探す時代になっているのかもしれません。

写真=iStock.com

花輪 陽子(はなわ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。

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