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高学歴Z世代「家事力を磨いてから結婚したい男子」vs「家事はやりたくない女子」

  • 2020.10.5
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Z世代の間では、専業主婦になりたい女子が減少傾向に。では男子はどう考えているのでしょうか。共働きになった場合の家事分担はどうするのか、自分の家事力に自信はあるのか──。原田曜平さんが大学生の男女4人に聞きました。

【座談会参加者】
鈴木 詩音莉さん/慶応義塾大学法学部3年生。結婚もキャリアも手に入れたい共働き派。女性
原田 梨々香さん/慶応義塾大学文学部1年生。家庭を持たず自由に働き続けたい独身派。女性
落合 聖仁くん/明治大学経営学部4年生。奥さんには家事育児に比重を置いてほしい派。男性
曽我 大晴くん/慶応義塾大学商学部2年生。仕事も家事も夫婦対等でいたい共働き派。男性

男子が望む家事分担のありかたは

【原田】1990年代後半~2000年生まれの「Z世代」を対象にした調査では、専業主婦になりたいという女子が減ってきているんだ。今後は、結婚後も男性と同じように働く女性がますます増えると思うんだけど、そうすると家事はどう分担するのかという問題が起こってくるよね。男子はどうしたいと思っているのかな。

Zoomにて座談会を開催。右上から右回りに落合君、曽我君、原田さん、鈴木さん。
Zoomにて座談会を開催。右上から右回りに落合君、曽我君、原田さん、鈴木さん。

【曽我くん】僕は、収入も家事も奥さんと5対5でやっていきたいです。収入は夫、家事は妻に100%依存する関係には違和感があるし、リーダーシップのあるかっこいい女性に憧れるので、そういう人にはどんどん外に出て活躍してほしいから。それに互いに自立していれば、万が一どちらかが倒れても大丈夫だろうと思うんです。

【落合くん】僕はもう大手メディアで内定をもらっていて、来年の4月から仕事が始まるんですが、それがかなり忙しくなりそうなんです。だから、家事をきちんと分担できるほど時間がとれるかどうか自信がなくて。そこを考えると、自分と同じぐらい忙しかったり、あまりにも仕事第一だったりする女性とは合わないかもしれない。家事育児は誰がやるの? ってなっちゃいそうです。

【原田】自分は家事をする時間がなさそうだから、奥さんには専業主婦か、または家庭6・仕事4ぐらいの割合でいてほしいわけだね。曽我くんは5対5がいいってことだけど、仕事と家事の両立って結構大変だよ。

休日にアップルパイを作る兄弟

【曽我くん】僕も忙しくなると家事を放置しちゃいそうで、そこは不安です。だから、まずは自分一人でも仕事と家事を両立できるようになってから結婚したい。今は実家で生活していますが、働き出したら一人暮らしをして、結婚前にある程度トレーニングしておかなくちゃと思っています。

【原田】花嫁修業の男版みたいな感じだね。実際、今の若い男子の家事力ってどのぐらいのレベルなんだろう。コロナの影響で外出自粛になった時は、結構家事をする男子が増えたみたいだけど。

【曽我くん】確かに、僕もコロナをきっかけにキッチンに立つ時間が増えました。自粛期間中、インスタに自作の料理を投稿する男子が増えたので、それを見て「自分もやらなきゃ」って思って。以前から皿洗いぐらいはしていましたが、最近は時々料理もして、親と一緒に食べたりしています。先日はバターチキンカレーを作ったし、その前は弟とアップルパイを作りました。

【原田】コロナが若年男子の料理力や家事力をアップするきっかけになっていたとしたら不幸中の幸いだね。でも、確かに自粛期間中に料理写真をSNSにアップする若年男子は本当に多かったよね。

【落合くん】僕は昔も今も、家事はほとんどしていないです。料理も掃除も親がやってくれていて、たまに自分の部屋だけ追加で掃除するぐらい。ただ、僕は以前留学していて、その時は自分で家事をしないと生活できなかったから、それで少しはトレーニングできたように思います。だから結婚後も、時間さえとれたら家事はできる気がします。

【原田】必要に迫られたらできる論。“おじさん”にもこの論を唱える人がたくさんいるけど、大変危険ですねえ(笑)。毎日、既に必要に迫られていることに気づけよ、って未来の奥さんから早くもツッコミが入りそうだね。

「家事はできればやりたくない」女子たち

【原田】女子はどうなのかな。家事が好きだったり、家事力に自信があったりする?

【鈴木さん】家事は苦手です。料理は気が向いた時にするぐらいだし、掃除もできればやりたくないですね。ただ、部屋はきれいにしていたいから、仕方なく自分でやるっていう感じです。

【原田(梨)さん】私も苦手です。料理はしないし、掃除もできるだけしないで済むように、汚れないように気をつけながら生活しています。

【原田】男子は家事の6割ぐらいは奥さんに頼りたい、あるいは対等に分担したいと思っているようだけど、女子はできればやりたくないわけだ。女子は2人とも、ずっと働き続けたい、専業主婦にはなりたくないって言っていたものね。TBSドラマの「私の家政婦ナギサさん」が多くの人の想像を絶する高視聴率を記録し、僕がインタビューしたたくさんの女子大生や若手OLさんでも超ハマっていた人が多かったけど、ああいった世界観に共感する女子が増えているんだね。でも、そういうことをオープンに言うのってためらいがあったりしない? 男子に引かれるとかモテないとか、気にする人もいそうだけど。

【鈴木さん】ちょっとは思いますけど、事実だから(笑)。私は普段から、周りの子には男女問わず「家事は苦手」って言っています。そこで嘘をついてもいつかバレちゃうと思う。私にとっては、家事を上手にこなすことより、いかに仕事を頑張るかのほうが大事かな。

Z世代男子、「主夫」はあり得ない

【原田(梨)さん】私はそもそも結婚するつもりがないので、家事もそういう視点で見たことがないです。もともと一人でいても苦にならないタイプだから、パートナーもいらないかなって。働きながら、自分の身の回りのことだけ自分でできればいいと思っています。

【落合くん】今は男子のほうも、結婚相手に特に家事力は求めないですよね。料理ができないって言われても全然責める気にはならないです。今はできなくても、結婚してから少しずつやって慣れていけばいいと思う。

【原田】僕は海外でも若者研究をしているけれど、上海でもアメリカでも、若年夫婦は共働きで、少なくとも平日の夜ご飯は自分たちで作らずにデリバリーとかテイクアウト、っていうのが普通になっているよね。日本はこのコロナでようやくテイクアウトとかデリバリーが増えてはいるけど、まだまだやっていないお店も本当に多い。もっと共働きを楽にするためにも、家族の憩いの時間を増やすためにも、コロナだからではなく、もう毎日くらいの勢いで、テイクアウトやデリバリーが利用されるようになるといいね。若年男子が女子に家事力を求めなくなってきているのだとしたら、海外のようなモデルの夫婦が未来はもっと増えるかもしれないね。

男子は、自分が100%家事をするという選択肢はないのかな? 仕事があるから無理っていうことだったら、男性が家庭に入る「専業主夫」っていうパターンもアリだと思うんだけど。

【落合くん】僕は専業主夫にはなりたくないです。友達にもなりたいっていう人はいないですね。

【曽我くん】僕も同じ。自分が働かないっていう選択肢はないです。

【原田】どうしてなのかな。冷静に考えたら、働かなくて済むならそのほうが楽じゃない?

【落合くん】プライドですかね。クラシカルな考え方かもしれないけど、たとえ収入が低くても、自分にとって何かしら働く、稼ぐっていうのは必須な気がしています。「働かない男性=ヒモ」っていうイメージもあるし。

【曽我くん】そうそう、ヒモの延長みたいに感じる。僕は互いに依存しない、自立した夫婦が理想だから、その意味では奥さんが稼ぐなら自分も稼ぐのが当たり前だと思います。

【原田】なるほど。君たちにとって働くことは必須なんだね。その点では今日参加している女子2人も同じ。その世代同士が結婚するとしたら、やっぱり家事は分担していかなくちゃならない。でも、そこを見据えて家事力を磨こうとしているのは、今のところ曽我くんだけみたいだね。夫婦2人とも家事が苦手だったり、時間がなかったりしたらどうするか──。次回はその点を聞かせてほしいな。

「家事ができる=女性らしい」という意識はあまりない

フルタイム勤務の共働き家庭が増えている今、家事分担のありか方が議論されることも増えてきました。従来、日本では「家事ができる=女性らしい」というような風潮が幅をきかせてきましたが、Z世代の大学生はそんな意識をあまり持っていないようです。

ただ、男子が「分担する」「時間さえあれば分担する」と答えたのに比べて、女子は「できれば家事はしたくない」と回答。この傾向からは、家事のアウトソーシングが増加するのではという予測も成り立ちます。次回はその点のほか、育児分担への意識についても聞いていきたいと思います。

構成=辻村洋子

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。

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