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GoToトラベル! 宮古島で「自然と伝統の技」を学び、わたしを取り戻す旅

  • 2020.10.3
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自然を踏みしめ自分をとことん解放

うっそうと茂るマングローブの密林のなか、ひんやりとした泥に足をとられながらもずんずん進むと、突然視界が開けて青い海が広がった。ここは宮古島の離島・伊良部島。蟹かに漁師をしている吉浜崇浩さんが行うマングローブツアーに参加している。

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海に向かう途中には、先頭を歩く吉浜さんが時々立ち止まっては、前日に仕掛けていた網をチェック。「いましたよ」とかかった蟹を取り出して、私たちに見せてくれる。

「メスの蟹は人間に立ち向かってきますが、オスはハサミを守るために逃げます。ハサミがないとメスにモテないから必死です」

蟹の生態について冗談まじりに話してくれながらも「このツアーで一番伝えたいのは、自然の大切さなんです」と力説。吉浜さんが小さい頃は「今の何倍も自然が残っていた」宮古島の海や浜辺が、埋め立てなどで徐々にその美しさを失っていくことを嘆き、少しでもみんなに自然保護のことを伝えたいという。「蟹目線で自然を見ると、本当に大切なものが何かわかるはず」

マングローブから戻り、大きな蟹をいただく。海を望む席で肉厚の身を味わいつつ「昔の海はどんな美しさだったのだろう」と思いをはせる。

マングローブで生き物たちの神秘を見る
「雪塩ミュージアム」を訪れた

宮古島の海の恵みを生かした特産品に「雪塩」がある。その名の通り、粉雪のようなパウダー状の塩。製造方法などを教えてくれるという「雪塩ミュージアム」を訪れた。この道17年、ファンの常連客も多いという名物ガイドの、伊良部はすのさんが案内してくれた。

「通常の雪塩はぜひ、出来上がった料理にかけてください。ミネラルが食材のうまみを引き出してくれます。私の一番のおすすめは目玉焼き。子どもたちの人気ナンバーワンはフライドポテトです。料理に使うなら、顆粒かりゅうタイプの雪塩をどうぞ」

開口一番、自らの体験をもとに雪塩の使い方を伝授。濃縮した海水を精製せずに鉄板に吹きかける製法でニガリ成分を残し、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを多く含有していることを、製造工程のパネルを示しながら説明してくれた。「お客さんからの情報ですが」と、雪塩を溶かした食塩水は、口内炎や便秘を改善してくれることも。最後に「宮古島の海そのものである雪塩を通して、環境問題にも目を向けてほしい」と加えた。

電車などの交通機関がない宮古島での移動は、常に自動車。ドライブをしながら、Uターンした地元出身者が開いたドーナツ屋さんでテークアウトしたり、移住したアーティスト夫妻が営むカフェに寄ったりと、のんびりした時間も味わう。

カフェでゆっくり流れる時間を感じる

東京に帰る日の午後、島の“おばあ”池間よしこさんの家に向かう。宮古上布に使う「苧麻ちょま糸績うみ」を習うためだ。宮古上布には約400年の歴史があるといわれ、1978年には国の重要無形文化財に指定された。池間さんは宮古島で55年間、宮古上布を織り続けている。ずっと苧麻糸績みの名手だった母親の糸を使っていたが、10年ほど前に母親を亡くしてからは、自分で糸を績むようになったという。

池間さんの手ほどきで糸作りがスタート。はいだ苧麻の表皮から取り出された繊維を、水に浸しながら爪を使って細く割いていく。「髪の毛のようになるまで割くんだよ」と、どんどん細い繊維が生み出される手元を見ながら、見よう見まねでやってみた。無我夢中でやっていると「じゃ、つないでいくよ」と、2本の繊維を取り出してより合わせていく。いざ自分でやるとどうもうまくいかない。聞けばこの工程が一番難しいとのこと。「できるようになるまで2カ月はかかるから」という言葉に救われた。体験の後は、お茶を飲みながら、数々の宮古上布を拝見。緻密で目を奪われるほど美しい職人仕事にゾクゾクした瞬間だった。

島の人たちの自然への思いや、伝統の技に触れた旅。私も頑張ろう!と背筋がシャンとなった。

地元のおばあから島の歴史と伝統の技を学ぶ

撮影=平松唯加子

プレジデント ウーマン編集部

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