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モラハラをする人の特徴と具体例 被害時の対応方法は?

  • 2020.10.2
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Credit: depositphotos

「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」と同様に、近年よく耳にするようになった「モラルハラスメント」。

モラルハラスメントとは、相手の尊厳や人格を否定する言動で肉体的・精神的に傷つける行為を指します。

殴ったり蹴ったりといった目に見える暴力ではないため、第三者が気が付きにくいだけでなく、本人もモラハラの被害に遭っていると気付きにくい特徴があります。

モラハラとは

モラハラとは「モラル・ハラスメント」の略称で、フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌ氏が提唱した言葉です。

「モラル」はフランス語で「精神的な」「倫理的な」、「ハラスメント」は「嫌がらせ」という意味。厚生労働省のメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」では、モラルハラスメントを以下のように定義しています。

  • 言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること

混同しがちな「パワーハラスメント(パワハラ)」との違いは、力関係を利用するかどうかという点です。例えばパワハラが上司と部下といった職場内での力関係を利用した行為であるのに対し、モラハラは部下や力の弱い女性側から行われることもあります。

また、モラハラはハラスメントが起こる場所が職場に限定されず、学校や家庭などの人間関係でも起こる場合があります。

モラハラの典型的な例

以下では、モラハラの典型的な事例をご紹介します。客観的に事例を見ながら、モラハラの特徴を確認していきましょう。

具体例1:職場におけるモラルハラスメント
  • 忘年会などの集まりや、営業先からの帰りなどで、上司から営業成績や仕事内容について厳しく指導される際、「お前はいるだけで迷惑だ」「お願いだから消えてくれ」という言葉を浴びせる。

これは部下の仕事に関する指摘ではなく、人格や尊厳を傷つけています。業務上、上司が部下に厳しい言葉をかけることはありますが、こういった発言は指導の範囲を逸していると言えます。

別のケースでは、同僚の女性間で起こったモラハラです。

  • 職場の同僚から意図的に無視されたり、「尻軽女だ」「仕事中にいつも携帯や鏡ばかり見ている」など事実ではない噂を流されたりする。

これは、モラハラ被害者を意図的に孤立させようとし、人格や尊厳を傷つける言動です。これら2つのケースは、職場における典型的なモラハラの事例になります。

具体例2:恋人間・夫婦間におけるモラルハラスメント
  • ちょっとしたミスで「お前ってほんとにバカだよね」「生きてる価値ないんじゃない?」と人格を否定する言葉をかける。
  • 反論しようものなら「誰のおかげで生活ができていると思ってるんだ」と優位性を誇示する。
  • ケンカをきっかけに数時間〜数日、口を聞かず、話しかけられても無視し続ける。
  • 気に食わないことがあると、ドアを大きな音を立てて閉めたり、物を投げて壊したり、聞こえるように舌打ちをしたりする。

こういった行為のほかにも、夫婦間では以下のようなモラハラがあります。

  • 掃除をちゃんとしていなかったり、ご飯を出すタイミンが少し遅くなったりしただけで、突然キレる。
  • 子どもの成績が悪いと妻のせいにしたり、「お前の親は自分の娘にどういった教育をしたんだよ!」「お前の親の遺伝子が子どもに悪影響になっている」といった人格・尊厳を傷つける発言をする。
  • (夫婦共働きの場合)夫が「お前の仕事なんて社会になんの意味もない」と見下した発言をする。
モラハラの特徴まとめ

事例を参考に、モラハラの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 相手の些細な失敗を過大に責める
  • 相手の些細な失敗に対して大きな罰を与える
  • 人格や能力を否定する言葉をかける
  • 実際に手をあげられるのが少ないため、被害者は理不尽な暴力だと気づきにくい
  • モラハラ加害者は「相手が間違っている。自分は正しい罰を与えているのだ」という強い正当感に満ちており、相手を苦しめている自覚がない

モラハラ被害者は、当初理不尽な暴力に対して言い返したりしますが、反発するほどに「罰」を与えられ、「反発すればするほど、よりひどいことになる」と学習してしまいます。心理学ではこれを「学習性無力感」と言います。

また、相手から否定され続けると「自分が悪いんだ」と自己否定感を持つようになってしまいます。

モラハラをする人の心理

職場の部下、恋人やパートナーなど、本来であれば愛情を持って接する相手に対して、なぜモラハラをしてしまうのでしょうか。また、モラハラ被害者は何も悪くないのに、なぜここまでひどいことをするのでしょうか。

「モラハラ」の提唱者であるマリー=フランス・イルゴイエンヌ氏によると、モラハラ加害者は「自己愛的変質者」であるとしています。

自己愛的、つまりナルシストで、「自分は優れていて、素晴らしく、特別な存在なのだ」と思う傾向にあります。

自分は絶対的に正しいという意識があるため、相手の些細な失敗が許せず、非難や傷つける言動をします。相手にひどいことをしているという自覚がありません。

また、「自分は優れている特別な人間だ」と思う一方で、実際の自分と理想の自分との間に大きなギャップが生じている場合、実際の自分に劣等感(コンプレックス)を抱き、解消しようとします。

モラハラ加害者は、その自分の心の葛藤を自分で処理できず、他者に転嫁し、他者を傷つけることで自分を守ろうとするのです。

モラハラの対策

「もしかして、私が受けている嫌がらせはモラハラかもしれない…」「この精神的に辛い状況から抜け出したい…!」と思ったとき、以下の対策を試してみてください。

1. 「自分の問題」と「相手の問題」を切り離す

上記でお伝えした通り、モラハラとは加害者自身の問題であり、被害者はターゲットにされているに過ぎません。

仮に仕事や家庭でのミスがあったとしても、それによって人格や尊厳を傷つける言動を取って良いことにはなりません。やり方が間違っているのではあれば、それを指摘するだけで十分なのです。

モラハラ被害を受け続けていると、自分が悪いという意識が植え付けられてしまいます。客観的に判断するのは難しいかもしれませんが、一度冷静になって「自分が受けている仕打ちは、果たして正当なものか」と考えてみてください。

2. まわりの人に相談する

自分ひとりではモラハラかどうか判断できない場合や、辛い気持ちを抱え込んでいられないという場合は、迷わずまわりの人に相談しましょう。

相談先としては、親や兄弟姉妹、友人などが挙げられます。話していくうちに頭の中が整理されることもあります。

3. 専門家に相談する

しかし、モラハラ加害者は被害者以外の前では穏やかな性格をまとったり、愛想が良いので、相談したとしても信じてもらえないことがあります。

例えば、亭主関白が普通だった日本では、実の両親など高齢者層に相談しても「それぐらい普通じゃない?」「わがまま言うんじゃない」と言われ、逃げ場をなくしてしまうこともあるのです。

このように周囲の理解が得られず、自力での対処が難しい場合は専門家に相談しましょう。専門のカウンセラーや心療内科の先生、自治体の行政窓口を利用してみてください。

辛い気持ちをひとりで抱え込まないで

今回は、モラハラの特徴と事例、対策について詳しく解説しました。

ご紹介した例以外にも、モラハラはさまざまな形であらわれます。辛い気持ちを抱え続けると、心身が疲弊し、心の病を患ってしまうことも考えられるので、ひとりで抱え込まず、信頼できる人に相談してみてくださいね。

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