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マズローの欲求5段階説とは?わかりやすく解説

  • 2020.10.2
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Credit: depositphotos

人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されているという理論を、「マズローの欲求5段階説」といいます。心理学に関心の無い人も見かけたことがあるのではないでしょうか。

この理論を知っておくと、自分が持つ不満がどの欲求に基づくのか、また欲求の優先順位がわかるようになります。自分の感情を整理する際に知っておきたい理論のひとつです。

マズローの欲求5段階説とは?

「マズローの欲求5段階説」または「マズローの法則」とは、アメリカの心理学者アブラハム・H・マズローの論文「人間の動機づけに関する理論」で発表された理論です。

マズローは健康で創造的な人間の成長を研究する中で、「人間の動機づけ」の新たな理論を打ち立てようとしました。その理論の中心となったのが「欲求5段階説」です。

欲求の階層とは、「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つ。

5つの階層に分かれた欲求は、ピラミッド状になっており、マズローによれば、「健康な人間は欲求の階層をのぼりながら、個人の欲求を満たすことができる」とされています。

マズローの法則における各段階と具体例

ピラミッド状の5段階欲求は、低いものから順番に満たされていきます。今いる階層が満たされたら、次の階層の欲求を満たしくたくなる、ということです。

【第1階層】生理的欲求:食べたい・眠りたい

ピラミッドの一番下にあるのが、「生理的欲求」です。これは人間が生きていく上での本能的な欲求で、具体的には「食べたい」「飲みたい」「眠りたい」「排泄したい」という欲求を指します。

例えば、少し非現実的ですが、無人島に流され生き延びなければならなくなった場合、ほかのどの欲求よりも真っ先に最優先になるのが、食欲や睡眠欲といった生理的欲求です。

生理的欲求しか考えられない状況というのはなかなかないので、比較的スムーズに次の欲求(安全の欲求)があわられるでしょう。

【第2階層】安全の欲求:安心・安全に暮らしたい

生理的欲求が満たされると、次は第2階層の「安全の欲求」が出てきます。安全の欲求とは、「脅威や危険を回避し、安心安全な暮らしをしたい」「心身ともに健康で、経済的にも安定した環境で暮らしたい」という欲求を指します。

仮にトラブルで家・職・人間関係を一度に失ったとして、食欲や排泄欲が満たされた後は、住む場所を探すはずです。犯罪に巻き込まれず、雨風がしのげる家を探し、家賃や生活費のために安定した収入を手にしたくなるのです。

第1階層の生理的欲求と、第2階層の安全の欲求。この2つの「物質的欲求」が満たされないと、第3階層以降の「精神的欲求」は現れません。

明日食べるものがない、今夜眠れる場所がない、今日生きるためのお金しかない、といった状態では、「集団に所属したい」「仲間や恋人が欲しい」という精神的な欲求はなかなか湧かないですよね。

【第3階層】社会的欲求:社会に必要とされたい・他人に愛されたい

安心安全に暮らせるようになったら、次は第3階層の「社会的欲求」が出てきます。

社会的欲求は「所属と愛の欲求」とも呼ばれており、「集団に所属して社会から必要とされたい」「仲間や恋人など、他人から愛されたい」という欲求を指します。

この欲求を十分に満たせないと、人は孤独感や社会的不安を感じやすくなります。

物質的な満足だけでなく、学校、会社、サークル、部活、家族といった集団に所属して安心感を得たいというのは、たくさんの人と一緒に社会で生きる人間らしい欲求ですよね。

【第4階層】承認欲求:他人から認められたい・称賛されたい・自分で自分を認めたい

社会的欲求が満たされると、次に第4階層の「承認欲求」が現れます。承認欲求とは、「所属している集団の中で高く評価されたい」「社会の中で、自分の個性を見出したい」という欲求を指します。

承認欲求には、「低位の承認欲求」と「高位の承認欲求」の2種類に大きく分類されます。

「低位の承認欲求」は、他人からの注目や称賛、尊敬をも求める欲求です。「高位の承認欲求」は、他人にどう見られるかではなく、自分の自分に対する評価(自己肯定)のために能力の向上や自信、独立と自由に対する願望を求める欲求です。

例えば、「低位の欲求」は会社の同僚や上司から良い評価をもらうために資格を取るのに対し、「高位の欲求」はあくまで自分の成長や達成感のために資格の勉強や取得を楽しむ、という状態を指します。

承認欲求を満たせば、「世の中で必要とされている」という気持ちや、自分に自信を持つことができますが、逆に承認欲求を満たすことができなければ、劣等感や無力感などの感情を抱くようになってしまいます。

【第5階層】自己実現の欲求:自分にしかできないことがしたい

これまでの4つの階層は、「欠乏欲求」とまとめられます。欠乏欲求とは、不足しているものを満たそうとする心理のこと。例えば、「お腹を満たしたい(生理的欲求の欠乏)」や「孤独感を感じたくない(社会的欲求の欠乏)」などが、その例です。

それら欠乏欲求を満たせば、自然と意識から消えていきます。

しかし人は、どれだけ欠乏欲求を満たしても、自分に適していることをしない限り、新しい不満が生じるとされています。

この「自分にしかできないことをしたい」「自分がなり得るすべてのものになりたい」「自分らしく生きていきたい」という欲求を、「自己実現の欲求」といいます。

第1〜4階層が「欠乏欲求」とくくられるのに対し、自己実現の欲求は「成長欲求」とくくられることもあります。

「自己実現」とは、自分の理想や計画が現実のものになる、といった「結果」だけを示すのではありません。

自分の欲やエゴ、他人の存在や想定外の出来事、変化なども受け入れ、自分の可能性や潜在能力を発揮しようとする「成長過程」そのものだとしています。

「マズローの5段階欲求説」を使って自分の欲求がなにかを見極めよう

今回は、マズローの欲求5段階説について詳しく解説しました。

人は自己実現に向けて第1階層から順番にのぼっていきます。自分が「何か満たされない感じがする」「でも自分が何を求めているのかよくわからない…」というときは、5階層のうちどこにいるのかを考えてみてください。

不満や不安がいくつも重なっているときは、低い階層から満たしていくようにします。そうすれば、優先順位をつけられて、あわてることなく、欲求1つずつを満たすことに集中できるはずです。

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