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評価100%!女性監督オンリーで制作されたドラマ『P-Valley』とはいったいどんな作品?

  • 2020.9.29
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2020年7月12日にSTARZPLAYで配信が始まったドラマ『Pバレー: ストリッパーの道(P-Valley)』がいま、海外で大人気。米辛口批評サイトでは100%のスコアを獲得している本作はいったいどんな作品?気になるあらすじやキャストをご紹介。(フロントロウ編集部)

音楽や映像が魅力的なドラマ『P-Valley』

ドラマ『Pバレー: ストリッパーの道(P-Valley)』は、2020年7月12日よりSTARZPLAYで配信が始まったドラマ。STARZPLAYはドラマ『アウトランダー』や『アメリカン・ゴッズ』などを制作している米Starzのストリーミングサービスで、日本でも視聴可能。

本作は、アメリカ南部文化の中心地として、ジャズやブルースなどの音楽を育んだミシシッピ・デルタを舞台に、ストリップクラブで働くダンサーたちの生活を描いている。ヒップホップ音楽にフィルムノワールを融合させ、ネオンで彩ったような表現が非常に魅力的な一作。

ポールダンスのシーンは、同じくストリップクラブの映画『ハスラーズ』を超えるほどの迫力があるとして、ダンス界隈からも注目を浴びている。

米南部の独特な「居心地の悪さ」を描いた南部ゴシック

ドラマ『P-Valley』は、アメリカ南部における社会問題を掘り下げつつ、不穏に描き出しているところが評価されていて、アメリカ文学のサブジャンルの一つとして知られる「南部ゴシック」のようだと評されることもある。

画像: ©️STARZ
©️STARZ

南部ゴシックとは、アメリカの歴史の中で生まれた独特な特徴を持つ。南部の雄大な土地の中、荒廃した屋敷や街を舞台に、外面もしくは内面に傷を負った人物が登場し、エキセントリックで華やかな生活を送っているのにもかかわらず、どこか居心地が悪く、グロテスク。

南北戦争時代のしきたりや過去の栄華、そして人種差別や貧困、ホモフォビアが深く根差す歴史が作り出したアンバランスさが南部ゴシックの特徴といえる。ちなみに南部ゴシックとして挙げられる映像作品は、映画『スリー・ビルボード』やドラマ『トゥルーブラッド』など。

そんな絶妙な南部文化を表現し、芸術の域まで高めている本作は米辛口批評サイトRotten Tomatoesでは100%のスコアを記録している。

ショーランナーとエピソード監督、全て女性

本作は、シーズン1がアメリカで放送されるやいなや好評を博し、シーズン2の放送が決定している。ショーランナーを務めているのは、黒人若手戯曲作家であるカトリ・ホール。カトリは、イギリスで最も権威ある賞であるオリヴィエ賞を受賞した作家であり、現代社会を反映させたシリアスな脚本を得意としている。

画像: ショーランナーとエピソード監督、全て女性

カトリは本作を制作するために、6年にわたってストリップクラブの女性に取材を続け、より本物に近い作品に仕上げることに成功したと米Indie Wireに語った。

さらに『P-Valley』は、全てのエピソードの監督を女性が務めており、24歳から58歳まで幅広い年代の8人の女性がそれぞれのエピソードを作り上げている。このことにより、ストリップクラブという「女性のヌード」が多く描かれる作品にもかかわらず、客観性があり、搾取のない作品が完成。ヌードは頻繁に登場するもののどのシーンも短く、ストリッパーたちが性の対象物ではなく題材として描かれている。

「ストリップクラブ」というテーマは、2019年に公開された映画『ハスラーズ』でも用いられた。同作は、リーマンショック後に大きな打撃を受けたストリップダンサーたちが裕福なサラリーマンから大金を巻き上げるといったストーリーで、犯罪を犯すことを目標に女性たちの連帯が描かれた。けれども本作に登場する女性たちは、犯罪を犯すといったような大きなテーマなしに、その強い連帯感が示されているところも特徴的。

『P-Valley』のキャストをご紹介

メインキャストのメルセデスを演じるのは、ブランディー・エヴァンス。ダンサーだったブランディーは、アルツハイマー病の母親を介護するために2016年ごろからほとんど仕事をしておらず、時々介護に支障のない程度に俳優の仕事をしていたそう。

そんな彼女のもとに舞い込んできたのが『P-Valley』のオファー。再びダンス魂に火をつけた彼女は、『P-Valley』に登場する4人のポールダンサーのうち、1人だけほとんど全てのスタントをこなしたと米Dance Magazineは報じている。

クラブのオーナーであるアンクル・クリフォードを演じているのは、同性愛者であることをオープンにしている振付師兼俳優のニッコ・アナン。アンクル・クリフォードは派手な衣装とゴージャスなカツラを身につけているけれど、ドラァグクイーンでもトランスジェンダーでもなく、自身のセクシュアリティを決めつけないノンバイナリのキャラクター。俳優や振付師として活躍しているニッコは、ショーランナーのカトリと共にアンクル・クリフォードのキャラクターを作り上げたと米Digital Spyに語っている。

また、ドラマ『ダイナスティ』のシャノン・ソーントン、映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』のエラリカ・ジョンソン、映画『黒い司法』のJ・アルフォンス・ニコルソン、ドラマ『Murder Comes to Town』のスカイラー・ジョイ、のパーカー・ソーヤーズ、ゲーム『デトロイト ビカム ヒューマン』のパーカー・ソーヤーズ、映画『素晴らしきかな、人生』のハリエット・D・フォイなどが出演している。

ドラマ『Pバレー: ストリッパーの道(P-Valley)』はSTARZPLAYで配信中。(フロントロウ編集部)

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