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リモート推進しながら本当に女性活躍を進めるため、政府が取り組むべき3つの施策とは

  • 2020.9.28
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新型コロナウイルス問題で一気に加速したリモートワーク環境。通勤時間が省ける、すき間時間が使える、子どもの面倒がみられるなど、女性にとってはメリットが大きいものの、家族の理解とワーキングスペースがなければ、家事、育児、介護にプラス仕事で、女性の負担は増える一方。女性にとって快適なリモートワーク環境を確保するにはどうしたらよいのでしょうか。

息子と一緒に自宅で働く母親
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Yue_)
リモートワーク環境で女性活躍社会は実現する!?

新型コロナウイルス問題は、いまだ出口が見えません。当初の勢いが衰えてきたとはいえ、通常のコロナウイルス(風邪などの原因)が寒い季節に活性化することを考えると、もしこのまま治療薬もワクチンもできなければ、今年の冬は世界中の国々が巨大な第2波におびえる日々が続きそうです。

しかし本誌でも述べましたが、悲観的なことばかりではありません。日本はほかの主要国と比べて相対的に患者数・死者数が少ない(つまりリセットしやすい)うえ、この機会にリモートワーク環境が整えば、将来的に女性に有利な職場環境にもつながります。

というわけで、今回はそのテレワークと女性活躍について考えていきましょう。

実はリモートワーク推進については、政府は新型コロナ問題が起こる前に、すでに方針を発表しています。その目的は「働き方改革」「女性活躍社会」「東京オリンピック時の渋滞緩和」などでした。

たとえば2019年に内閣府男女共同参画局が発表した「女性活躍加速のための重点方針2019」には「テレワーク(※)の推進」という項目があり、テレワーク・デイズ(一定期間テレワークを実施してみる試み)の拡充、セミナーの開催、専門家の派遣、地方への経費補助、労働時間管理のためのガイドライン整備などをめざす旨が書かれています。

※リモートワークと同義

しかし実際には、予期せぬ新型コロナ問題のせいで、政府の方針よりはるかに早くリモートワークが浸透しました。2020年4月の緊急事態宣言後、政府が企業に「出社率7割減」を要請したため、各企業ともリモートワークを進めざるをえなくなったからです。そのせいで環境整備が不十分なまま「出社不可欠な社員以外は原則リモートワーク」に切り替える企業が増え、会社員と公務員のリモートワーク実施率は、昨年11月が17%だったのに対し、5月には47%と、実に3倍も急増したのです。

それと同時に私たちには、パソコン・スマホ・Wi-Fi環境を駆使しての自宅勤務や、Zoom(どこからでも参加できるweb会議ツール)での会議・飲み会など、今までになかった新しい日常が訪れました。

リモートワークで女性の仕事は2倍、3倍に

リモートワークの利点は、ワークライフバランスの充実、通勤時間の短縮、9時5時にとらわれない柔軟な働き方、東京一極集中の緩和(地方に居住しながら本社勤務可)、退職機会の減少(介護離職や夫の転勤に伴う退職減)、家事育児との両立……、いろいろあります。うまく社会に浸透すれば、女性活躍社会だけでなく、地方創生や障害者雇用の推進にもつながるため、まさに政府の大きな目標である「一億総活躍社会」の実現に向けて、大きく前進することでしょう。

しかしながら、問題もあります。働きすぎ(9時5時で管理されてないから)、ワーキングスペースが確保できない、家族の無理解(家にいる=休日と思われてしまう)、気持ちが切り替えられない、会社から実働を疑われる(頻繁にメールやラインでチェックされる)といったことです。

これらのうち、家族の無理解とワーキングスペースの確保は切実です。残念ながら日本では、女性が家にいると、家族は女性に家事・育児・介護のすべてを期待するのが現状です。そうすると働く女性は、今まで以上にこれらに忙殺されてしまい、そこにリモートワークが加わると、最悪「家庭内過労死」ということにもなりかねません。これは特に新型コロナ問題下で、夫・子どもが毎日家にいる、介護施設が閉鎖され、年老いた両親が家に戻される状態にいつでもなり得ることを考えると切実です。

さらにワーキングスペースの確保が難しいことも問題です。夫もリモートワーク用の部屋が必要なうえ、子どものオンライン授業のためにも一室確保しなければならないからです。最近では夫が「駐車場パパ」(自家用車をオフィス代わりにしたリモート)になるという方法もあるようですが、それは同時に夫の家事・育児・介護の放棄であり、結局女性にシワ寄せがきてしまいます。

本来ならこのような性別役割分業意識をなくしていくのが理想ですが、残念ながら根本解決を求めるのは、時間がかかりすぎます。ここは、それらの改革も考えつつ、もっと現実的な解決策を練って、せっかくできつつあるリモートワーク環境を、コロナ後も定着させる方が得策だと思われます。

女性を家事から解放する生活環境の整備を

ならば、どういうやり方があるか? 女性活躍を念頭に置くなら、私は社内環境の整備よりも前に、まず生活環境の整備に力を入れるべきだと思います。考えられる環境整備は3点。

① 外食やテイクアウトの定着

まず食事は「外食やテイクアウトの定着」を、政策的に推進するのがいいと思います。たとえば台湾は外食文化の国であり、多くの人は自炊よりも外食やテイクアウトを選びます。安くてうまい屋台が街中いたるところにあるため、自炊より手間もコストもかからないからです。

ならば日本も、全国的には無理でも、たとえば主要都市や県庁所在地だけで、政府が試験的に外食産業を補助してみるのはありだと思います。日々の食事の準備という最大の家事負担がなくなることは、女性のみならずすべての働く人にとってプラスになるのではないでしょうか。

② 家事代行サービスの拡充

その他の家事についても、もっと家事代行サービスを拡充させるべきです。業者を増やし、サービスを多様化し、業界全体を政府が補助するようになれば、私たちは低コストで家事から解放されます。

その際、当然ながら自分で家事をこなさないことにやましさを感じる必要はありません。ちゃんと対価を支払うわけですし、そもそも女性だからというだけで、家事に縛られる理由などないのですから。

③ 家の中に密閉空間をつくる

最後にワーキングスペースですが、家の中に不可侵のワーキングスペースをつくることは、正直難しいです。ただネットカフェ好きである私の経験上、たたみ一畳分の密閉空間があれば、とても仕事に集中できます。

ですから、多少初期費用はかかりますが、「だんぼっち」(検索してみてください)のような簡易防音室を購入する、部屋を間仕切りする、押入れを小型の書斎に改装するなどの工夫をしてはいかがでしょうか。

家事・育児・介護などを男性が「俺はやらない、つくらない」で許されるなら、女性も許されないとおかしいです。皆さんも新型コロナを機会に、生活環境の整備について検討されてはいかがでしょうか。

写真=iStock.com

蔭山 克秀(かげやま・かつひで)
代々木ゼミナール公民科講師
「現代社会」「政治・経済」「倫理」を指導。3科目のすべての授業が「代ゼミサテライン(衛星放送授業)として全国に配信。日常生活にまで落とし込んだ会社のおもしろさで人気。『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(KADOKAWA)、『マンガみたいにすらすら読める経済史入門』(大和書房)など経済史や経済学説に関する著書多数。

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