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「30歳までに結婚したい!」女性が結婚に焦る理由は他人の幸福をうらやむ気持ちが原因?

  • 2020.9.19
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20代もなかばになると、友だちがどんどん結婚するのを見て焦ることもありますよね。焦りたくはないけど、SNSで幸せな写真などを見るとどうしても焦ってしまう、そんな自分がイヤ……。ため息をつく人もいるでしょう。

さて今回は、そんなふうに結婚に対して焦る気持ちとどう向き合うといいのかについて、一緒に見ていきたいと思います。

2つの時間のお話

結婚に対する焦りについてお話する前に、2つの時間のお話をします。時間には2種類あるというお話です。

1つは、わたしたちが普段時計を見ながら暮らしている、その普通の時間です。もう1つは「機が熟さないと成就しない」という言い方に表れている「誰がどう決めているのかわからないけど、実時間の中ではどうにもならないことが含まれる時間」です。言うまでもなく、恋愛や結婚は後者に属します。誰かのことを好きになったからといって、翌日にその彼と付き合えるとは限らないですよね?場合によっては半年経たないと彼と付き合えないですよね?

どんなに願っても、「待たないとどうにもならないこと」は、わたしたちが普通に感じている時間(いわゆる時計の時間)とは、また別のところで動いている時に支配されているのです。だからわたしたちは、待つ「しかない」のです。友だちよりわたしのほうが絶対にかわいいからわたしのほうが先に結婚できるはずと思っても、ただ待つしかないのです。

女性が30歳までに結婚したいと言う理由

実時間の話をしましょう。もう10年以上前から、女性は30歳までに結婚したいと思っているという言い方がされていますね。28歳まではよく遊び、29歳になると結婚向きの男子と交際し、29歳と11か月でギリギリどうにか結婚する――こういう女性もいますよね。それを「成功」とする向きもありますね。

そういう女性を見て、男たちは「なんて計算高いのだろう」と思います。28歳まで遊びたいと思えば自由に遊べて、美味しいものを食べたいと思えば「それ用の」男にごちそうになり、29歳で結婚向きの彼氏をゲットしようと思えば過去のことなど忘れたふりをしてマジメに婚活して、何食わぬ顔で結婚していく女性……なんて計算高いのだろう。男たちはこう考えています。

が、その女性の結婚相手になった男子は、喜んでいます。こんなに計算ができて、かつ、かわいい女性に「俺は選ばれた」と思って嬉しく思うのです。でもしかし、全く別の見方もあります。

「30歳成人説」に代表されるように「男女ともに28歳くらいまでは自分がどう生きるべきかに迷い、29歳くらいでやっとなんとなく生きる方向が定まるのだから、30歳をひとつの節目として結婚することには、相応の意味がある」こう考える人もいます。

今の時代は「それで普通」みたいになっているのか、小説や映画に出てくる「生き惑っている主人公」は、27歳とか28歳など、「30手前の人」が多い印象があります。みなさんも小説や映画を見て、そう感じませんか?

結婚は「プラン → ドゥー → チェック」では無理

ところで、「30歳成人説」というのは、なにか論理的な根拠があるわけではありません。たとえば、28歳ではこれをやって、29歳ではこれをして30歳にゴール!みたいな、エクセルに時系列で書ける「プラン → ドゥー → チェック」みたいな、ビジネスチックなものではありません。

なぜかわからないけど、27歳まですごく悩み深く暮らしていて、なぜかわからないけど28歳のとき、なんとなくいい彼氏ができて、奇跡的にギリギリ30歳手前で結婚できた、という感じで、なぜかわからない、つまりとても非論理的なことの偶発によって「30歳成人説」は成り立っています。要するに、わたしたちが恋をして結婚するというのは、実時間(時計の時間)ではない、なにか別のところで動いている時に支配されているということなのです。

そして、その「別の時間」というのは、人それぞれです。どんなに美人で優秀で恋愛上手な女子であっても、35歳をすぎても独身だというのは、彼女の時間は「もともとそのように流れる時間」だったということなのです。あまり言い方がよくないですが、「え?この子が25歳で結婚したの?おかしくない?」というような女子が持っている時間とは、「そのような時間」だった、ということです。

つまり、持って生まれた資質同様、「他の誰かと比べることのできない時間の流れ方」を、みなさんそれぞれに持っているということなのです。

結婚に対して焦る気持ちとどう向き合うといい?

さて、結婚に対して焦る気持ちとどう向き合うといいのか、ということについて。答えは、焦る時は「わたしはこういう時の流れを持って生まれてきたのだ」と思おう、ということです。

誰もが「自分独自の運命」を持って生まれてきたことを、なんとなくではあっても感じていると思います。その自分独自の運命を、実生活において感じるときはそう多くないですね?感じるときは、決まって焦るときですよね?たとえば、友だちと同じ学校を目指してともに勉強して、友だちだけが合格して自分が落ちた場合、落ちた人は、究極的には「わたしはそういう運命だったのだ」と思ってあきらめるしかなかったりしますね?

それと同様、「今すぐ結婚できないできなさ」や「29歳までに結婚できないであろう無理っぽさ」は「それらのことを味わうことも、わたしの運命には含まれている」と思うしかないのです。逆説的にいえば、「できなさ」や「無理っぽさ」を通してしか、わたしたちは自分の運命(なんのためにこの世に生まれてきたのか)を知ることができないのです。

私たちが他人の幸福をうらやむ理由

ある人は25歳でさっと結婚できたけど、毎年ハワイに行ける幸運には恵まれていません。他のある人は、毎年ハワイに行ける幸運に恵まれているけれど、30歳を過ぎても結婚できません。

そんなふうに、わたしたちはみな、「自分が持って生まれてきたもの」に沿って生きるしかありません。
そして、もっとも素晴らしい人生とは、自分が持って生まれてきたものを全部出し切る人生です。たとえば、トップアスリートが素晴らしいのは、実はそのパフォーマンスではなく、そのパフォーマンスの向こうにある「その人が自分が持って生まれてきたものを全力で出し切ろうとしている姿」です。

それと同様に、わたしたちも自分が持って生まれてきたものを全力で生きるといいのです。自分がなにを持って生まれてきたのかは、焦らないとわかりません。友だちが結婚したことに焦ることによって、少なくとも「わたしはこの歳で結婚するようなものは持って生まれてきていないのだろう」とわかるように、なにかに対して焦らないと見えません。
その意味で、友だちの結婚に焦るというのはいいことです。自分がなにを持って生まれてきたのかという、誰も教えてくれない答えに近づけるから。

焦らせてくれてありがとう

もっと広く言うなら、結局のところ、「自分がなにを持って生まれてきたのかがわかっていないから」わたしたちは他人の幸運をうやらむのです。

――わたしは看護の仕事をとおして、具合の悪い人を助けるという使命を持って生まれてきた。こう感じているしっかりした人って、20代でもいますが、そういう人はそこまで結婚に焦らないものです。とりあえず看護の仕事をがんばって、良縁に恵まれたときに結婚しようとしか思っていないはずです。それでも彼女も人間だから、焦ることがあるかもしれませんが、それは「ふつうの人」とはまたちがった種類の焦りであるはずです。

「目に見えない方の時間」において成就しないことを考えるとは(結婚できないできなさについて考えるとは)、つまり、自分を知ることなのです。

「いい結婚」って、自分を知っていないと無理でしょう?イケメン&金持ち男子と結婚したものの、自分を知らないばかりに、結婚したのちに彼との性格の不一致が発覚してすぐ離婚した――こういう人っていっぱいいるのですよ。友だちの結婚に焦る気持ちは、あなたをより幸せへと近づけてくれている気持ちなのです。だから、「焦ってイヤな気持ちになる」と思うのではなく「友よ、焦らせてくれてありがとう」と思うといいのです。

(ひとみしょう/作家・コラムニスト)

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