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医療費が高額になったらお金が戻ってくる!高額療養費のしくみとは

  • 2020.9.17
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20代、30代の皆さんでも、急な病気やケガで入院や手術を受け、高額な医療費がかかることがあります。そんな場合に備え、健康保険制度の「高額療養費」について、あらかじめ知っておくことはとても大事です。実際に高額療養費制度を利用すれば、高額な医療費が戻ってくることがあるのです。
しかし、高額療養費は、全ての医療費に対応していないため、制度について正しい理解が必要です。今回は、知っていれば大変おトクな高額療養費のポイントをわかりやすく話します。

高額療養費はいくらから対象?

高額療養費とは、1カ月以内(毎月1日から末日まで)に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が「自己負担限度額」を超えた場合、超過分があとで払い戻される制度です。
「自己負担限度額」の金額は、以下の表で計算式を確認することができます。

自己負担限度額〈69歳以下の方の場合〉

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」を参考に筆者作成

年収約370~770万円の人が医療費100万円の治療をうけた場合、自己負担3割として30万円を病院の窓口で支払うことになります。
しかし、高額療養費の自己負担を計算してみると、以下の式になります。

自己負担限度額=80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円

自己負担限度額は87,430円となり、それ以上の窓口負担分、つまり21万2,570円は戻ってくるということがわかります。

計算式の「医療費」には、医療機関でかかった費用の総額が入ります。つまり、窓口で30万円を支払った場合は、100万円が実際の医療費です。窓口では、3割負担分のみ支払うため、医療費は30万円と誤解するケースがありますので、気をつけましょう。
また、高額療養費として払い戻しを受けた月数が1年間(直近12カ月間)で3回以上あったときは、「多数回該当」となり、4回目からは自己負担限度額が更に引き下げられます。

では、高額療養費の申請はどこにすればいいのでしょうか。確認してみましょう。

高額療養費を申請するには

高額療養費の申請は、加入している健康保険によって異なります。
あなたが会社員で、会社の健康保険に加入しているのであれば、会社の健康保険事務担当者を通して申請します。
国民健康保険に加入しているのであれば、市役所、区役所、町役場の健康保険の窓口に申請します。
どちらの場合も「高額療養費支給申請書」を提出し、約3カ月後に自己負担限度額を超過した医療費が払い戻されます。

もしあなたが、事前に負担する医療費が高額になると分かっているのであれば、各窓口で「限度額摘用認定証」を請求しておきましょう。
あらかじめ、病院に限度額摘用認定証を提出しておけば、窓口負担は自己負担限度額までとなります。あとから戻ってくるとはいえ、高額な医療費を払う負担が軽くなるので助かりますね。

高額療養費制度の対象は保険診療の範囲のみ

高額療養費の対象となる医療費は、健康保険が適用される治療費のみで、保険外のものは対象ではありません。
たとえば、入院費用のうちの「食費」、入院中の光熱水費が対象の「居住費」、1~4人以下の部屋などに入院した際の「差額ベッド代」、公的医療保険の適用にならない「先進医療費」は対象とはなりません。
つまり、健康保険で適用される治療費とは、3割負担の治療費や、投薬代のみです。

また、歯科で行う人工的な歯の根っこを埋め込むインプラント、美容や審美を目的とした審美矯正・ホワイトニング、眼科で行うレーシックのような自由診療も、高額療養費から外れます。

万が一に備えよう

高額療養費は、急な医療費の負担を緩和する大変便利な制度です。万が一に備え、申請方法などを確認しておきましょう。
ただし、全ての医療費が対象となる訳ではないため、違いを理解することも重要です。

執筆者:2級ファイナンシャル・プランニング技能士 舟本美子

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