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ウエイトリフティングに、心臓まわりの悪玉脂肪を落とす効果がある?

  • 2020.9.16
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運動や、健康に良い食事をし始めると、体重が落ちウエストラインがスリムになる。うれしいことだけど、もっと見えないところにある脂肪、特に、心臓のまわりにつく脂肪を落とすことも、健康にはとても重要。『JAMA Cardiology』誌に掲載された新しい調査結果によると、筋力トレーニングが心臓についた脂肪を落とすには最も効果的とのこと。詳しくみていこう。

心臓脂肪には大きく分けて、2つの種類がある。ひとつは、心膜下脂肪と言って心臓を覆っている心外膜の内側で、心臓の筋肉や冠状動脈につく脂肪のこと。もう一つは、心外膜の外側につく心膜外脂肪だ。

どちらも似たような場所にある脂肪組織だが、それぞれ異なる性質がある。心膜下脂肪は心臓から血液を直接受け取っていて、心膜外の脂肪組織は別の血管の血液に触れている。

心膜下脂肪は、心臓の血液と直接的に関係しているため、心血管系の病気リスクを高める大きな原因となる。心膜外脂肪のリスクについては、血液を心臓から直接得るわけではないが、専門家によると冠状動脈や心機能に対して、間接的にではあるが、深刻なダメージを与える可能性があるそう。

上述の新しい調査結果に話を戻そう。この調査は、ランダムに選ばれた50人の内臓脂型肥満の人々を対象に実施されたもので、持久力トレーニングとウエイトトレーニングが、心膜下脂肪と心膜外脂肪の両方に効果を及ぼすかどうかを調べるものだった。

調査期間は12週間で、参加者は3つのグループに分けられた。高負荷の持久力トレーニング(HIIT)を週3回やるグループ、持久力トレーニングとウエイトトレーニングの両方を週3回やるグループ、何も運動をしないグループの3つ。

運動をした2つのグループは、どちらも最大酸素摂取量が向上した。そのうち、ウエイトトレーニングをしたグループについては筋肉量の増加も確認できた。さらに注目すべきは、持久力とウエイトトレーニングをしたグループは、心膜下脂肪が、それぞれ32%、24%まで減少していたことだ。

心膜外脂肪はどうだったかというと、持久力トレーニングだけのグループでは結果がでなかった。ウエイトトレーニングをやった参加者のみが、心膜外脂肪を32%落とすことができていた。

心躍る結果ではあるが、研究を主導したコペンハーゲン大学病院のレギッツェ・ホイガード・クリステンセン医師によると、これを即座に治療に生かすのはまだ難しいだろう、とのこと。しかし、食事内容は同じであっても、どの運動をするかによって、心臓脂肪に与える影響が異なる、というのは画期的な発見である、とも話している。

ウエイトトレーニングを取り入れたグループでは、2種類両方の心臓脂肪の減少が見られたが、持久力トレーニングでは1種類だけだったというのは驚きの結果だ、と、クリステンセン医師は言う。

その理由としては、ウエイトトレーニングの方がより多く筋肉を刺激し、基礎代謝を上げるということが挙げられる。クリステンセン医師によると、運動後に体を休めている間も、体を機能させるためにより多くのカロリーが必要になるそうだ。筋肉量が多いほど、運動の後もより長い時間カロリー燃焼が続く。これが、心臓脂肪を減らすのに役立っているのかもしれない。

最も理想的なのは、ウエイトトレーニングと持久力トレーニングを常に組み合わせて行うことのようだ。持久力トレーニングは心膜下脂肪の減少率が大きかったが、ウエイトトレーニングは、心膜外と心膜下、両方の脂肪を落とした上に、筋肉量の増加にも効果があった。

「心血管のトラブルを引き起こす心臓脂肪は見落とせない深刻な問題です。病気を予防するために、いろいろな種類の運動をやるべきだということを、どうか覚えていてください」と、クリステンセン医師は語った。

※この記事はランナーズワールドから翻訳されました。

Text: Elizabeth Millard Translation: Nao Ayatani

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