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イカは世界に450種類?特徴に合わせたおいしい食べ方・さばき方を解説

  • 2020.9.13
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イカはお刺身や煮付け、天ぷらなど日本料理には欠かせない食材のひとつです。年間を通して私たちは、頻繁にイカを食べますよね。さらに、さきいかやイカの燻製などイカを用いた加工食品も、お酒のおつまみなどとして人気です。

私たちに身近な「イカ」、実は、世界を見渡すとなんと450種類以上ものイカが生息しているんだそう。日本近海だけに限っても80種類以上のイカが生息しており、私たちはさまざまな種類のイカを日常的に食べています。

今回の記事では、イカがそもそもどんな食材なのか、私たちが普段食べている主なイカの種類と特徴、そして新鮮なイカの食べ方やさばき方についてご紹介します。




■イカってどんな食材?
一年を通して私たちの食卓に並ぶイカ。そもそもイカってどんな食材なんでしょうか? イカの特徴について、簡単にご紹介します。

・低脂肪で低カロリー


イカは、ほかの魚、たとえばサケやさんまなどと比較するとカロリーが低い魚介類です。

種類にもよりますが、イカ100gあたりのカロリーはおおむね75〜90kcal。さらにイカはほかの魚介類と比べて脂肪が低いことも特徴です。含まれる糖質も0.1g程度であり、ダイエット中にも食べやすい食材です。

ただ、塩辛やさきいかなどイカの加工品には、味付けのためにカロリーや糖質、塩分が添加されていることが多いため、制限している方は注意が必要です。なので、イカそうめんなど生のイカを食べる分には、カロリーも糖質も少ない食材といえます。

・高タンパク質


魚介類全般にいえることですが、イカにも多くのタンパク質が含まれています。あまり意識しないで食事をとると、タンパク質が不足しがちになりますので、手軽にタンパク質をとる食材のひとつとして、イカを食事に取り入れると良いですね。

繰り返しになりますが、イカはカロリー・脂肪・糖質も低いため、日常の食事だけではなく、ダイエット中にもおすすめの食材といえます。

タンパク質のほかには、イカには血中コレステロールを減少させる効果が期待できるタウリンも入っており、私たちの健康に大切な栄養をイカからとることができます。

・「イカ」の語源とは?


「イカ」の語源は、その体の形状が「いかめしい(厳しい)」ことに由来するなど諸説ありますが、はっきりした由来は明確にはなっていません。

イカは、漢字では「烏賊」と書きます。カラスを意味する「烏」という漢字に、「山賊」などの言葉に使われ、悪者を意味する「賊」が組み合わさっています。この漢字の由来は、海に泳ぐイカを食べようとしたカラスに、イカが巻きついて逆にカラスを食べたという中国の故事が語源の一説と考えられています。カラスにとっては、イカが悪者、つまり賊のような生き物に見えるということなんですね。

またイカをどのように数えるのかは、イカの状態によって異なります。イカが生きているときには、1匹、2匹と数えますが、漁船や釣りで水揚げされたイカは一杯、イカの丸干しなどは一枚、二枚と数えます。

■イカの種類と数




イカの種類ってどのくらいあるんだろうと想像してみると、すぐには思い浮かばないかもしれませんが、実は世界には多くの種類のイカが生息しているんです。

・世界に450種類以上


イカの種類は、世界でなんと450種類以上にものぼります。特に日本ではイカが多く消費されていて、世界で漁獲されるイカのうち約40%程度が日本国内で消費されているといわれています。

イカは、日本以外のアジアでも広く愛されている食材です。さらにヨーロッパではギリシャやスペイン、イタリアなどでも好んで食べられています。イタリア料理のいかすみを使ったパスタやリゾットは有名ですよね。南米でも人気の食材なんだそうですよ。

しかし、一部の国では、その見た目からイカはタコと同様に不吉な生き物と見なされており、好んで食べられない地域もあります。

・日本近海で80種類以上


世界で450種類以上が生息しているイカですが、日本の近海だけでも80種類以上ものイカが生息しています。

そのうち私たちは、30種類くらいのイカを日常的に食べています。イカの有名な産地というと、函館などが浮かぶのではないでしょうか? 日本国内のイカ漁獲量の都道府県別のランキングは、北海道が1位。2位青森、3位長崎になっています。

漁港別の漁獲量のランキングをみると、1位が青森県の八戸、2位が北海道・函館、3位が宮城県・石巻です。日本の北から南まで、広範囲の地域にイカが生息しているんですね。

■代表的なイカの種類【特徴とおいしい食べ方】




ここからは、私たちが日常的に食べることが多い代表的なイカの種類のその特徴、おいしい食べ方をご紹介します。

・スルメイカ


スーパーなどでよく目にするイカの代表格がスルメイカ。旬の時期は5〜9月ごろ。旬のはじめの時期は小ぶりなもの、9月になると大ぶりのスルメイカが出回ります。

スルメイカの中には、腹痛の原因になるアニサキスなどの寄生虫がいることがあるため、料理をする際にはよく気をつけて使う必要があります。

スルメイカはあまりクセがないため、さまざまな食べ方があります。新鮮なものはイカそうめんや刺身など生で食べられますし、そのほか塩辛、天ぷら、唐揚げなど幅広い食べ方が楽しめるイカです。

・ヤリイカ


北海道・宮城県・青森県などが主な産地であるヤリイカ。旬は2〜4月です。頭部の部分が尖っていて槍のように見えることから、ヤリイカという名前がつけられました。

こちらのヤリイカは高額な値段で取り引きされることが多く、スーパーなどに出回ることは多くありません。主に寿司店・料亭で味わうことできるイカです。新鮮なうちに刺身やお寿司など、生でヤリイカの甘みを味わう食べ方がおすすめです。

・ケンサキイカ


長崎県や佐賀県で採れる「呼子イカ」など、有名なケンサキイカ。主に日本の暖かい地域で漁獲されます。このケンサキイカをアカイカと呼ぶ地域もあるんですよ。

旬の時期は4〜7月で、幅広い料理に使われているイカです。イカのなかでは高級な部類に入り、寿司店や料亭などで多く使われています。

甘みが強いことが特徴で、刺身など生で食べるのに適したイカです。イカそうめんなどにも向いています。

・アオリイカ


こちらもよく耳にする種類のイカ「アオリイカ」。日本では、沖縄から北海道まで広い地域に生息しており、さまざまな漁港で漁獲されています。5〜8月が旬で、ほかのイカと比べて体が大きいところが特徴です。

濃厚な甘みがおいしいイカですので、刺身・お寿司のみならず、塩辛や天ぷら、唐揚げでもとてもおいしく食べられます。一夜干しなどの干物としても有名です。

・ホタルイカ


次にご紹介するのは、ホタルイカ。体長8cm程度の小さなイカで、4〜6月に旬を迎えます。夜になると発光することから、ホタルイカと呼ばれます。

産地以外では釜揚げにされて販売されることが多く、酢味噌で食べるのが人気のイカですよね。そのほか沖漬け、煮付け、串に刺して焼く串焼きにも使われます。

・コウイカ


頭の部分に硬い板のような器官が入ったコウイカ。いかすみを多く持っていることから、スミイカとも呼ばれています。旬の時期は10〜4月です。

コウイカは、旬の早い時期には寿司や刺身として楽しまれ、遅い時期には天ぷらや煮物に多く使われていますよ。

・ヒイカ


体の大きさが15cm程度と小さなヒイカ。水深の浅いところに生息しており、11〜2月の冬に旬を迎えます。

火にかけても身が柔らかいため、お湯にさっと通した湯通しで食べるとおいしくいただけます。

・モンゴウイカ


少しコウイカに似ている見た目なのが、モンゴウイカ。主に西日本に生息していますが、輸入されることも多くあります。体の大きさは40cmになることもあり、大型のイカの一種といえます。

身が分厚いことが特徴で、ねっとりとした甘みを感じられます。刺身・天ぷら・焼き物として楽しまれていますよ。

・ソデイカ


ほかのイカと比べてとにかく大きいソデイカ。その重量が20kgをこえることもあります。体の色が赤いことが特徴で、沖縄や九州などの暖かい地域に生息しているそうです。

回転寿司などによく使われてるイカの一種で、天ぷらなどでも食べられていますよ。

・ミミイカ


次は、珍しいミミイカ。日本全域に生息していますが、漁獲量はあまり多くありません。香川県の一部の地域で漁獲され、特産品として人気があります。体のヒレの部分が耳の形に見えることから、ミミイカという名前がつけられました。

ミミイカの身は、とてももちもちしているので、塩茹でをして酢味噌で食べるととてもおいしいです。

・シリヤケイカ


日本近海でしか見られないシリヤケイカ。湾内に生息しており、瀬戸内海や東京湾などで漁獲されます。釣りでも比較的簡単に採ることができます。

火を通しても身が固くなりにくいため、煮付けなどでもおいしく食べられています。

■新鮮なイカの選び方【種類別】




スーパーでイカを買うとき、どのようなものを選んだ良いのでしょうか? ここからは、新鮮なイカの選び方をご紹介します。

・スルメイカ


まずはスルメイカからご紹介します。生きている状態でスーパーなどで売っているものがあれば、それが一番新鮮です。

しめたものが売られている場合には、その身に透明感があるものを選びましょう。身が白っぽくなっているものは新鮮ではなくなっている可能性があるので、避けることをおすすめします。

・ホタルイカ


お次はホタルイカです。そもそも生で売っているホタルイカは多くないですよね。スーパーなどに出回っているものは、ゆでたものが主流だと思いますが、身の色がきれいな赤色に茹でてあるものを選ぶと良いです。

体の色が茶色っぽくなっているものは、獲れてから時間が経っている可能性がありますので、避けるようにしましょう。ホタルイカは、体に入ったみそがおいしいため、大きな体のものを選ぶといいですね。

・ヤリイカ


ヤリイカの新鮮さを判断するには、ヤリイカの目を確認すると良いです。目がぷっくりと盛り上がっていて、黒目と白目の境いがはっきりとしているものが新鮮だといわれています。

また、ヤリイカの身に傷などがないものを選ぶとより良いです。

■イカの種類と釣りの豆知識

・イカの種類と釣りの時期


イカの旬の時期はその種類によって異なり、一年中をかけてさまざまなところでイカ釣りが行われています。

特に有名なスルメイカをとるためのイカ漁は、夜の海にイカ釣り漁船を浮かべ、集魚灯という光を使って海を照らします。この光に集まってきた小魚を食べるイカを釣り上げる…という漁の方法です。

この集魚灯で使われる電気量は250kWにもなり、漁を行う船の上のは、まさに昼間のような明るさになるんだそう。この電気量は、1時間の漁で一般の家庭が1ヶ月で使用する量にも相当します。




この漁を行っている様子は浜からもみることができ、その光は漁火(いさりび)と呼ばれています。イカの旬の時期に見られる幻想的な漁火の風景は、日本らしい名物景色のひとつとなっています。イカの産地のひとつ函館では、6~12月にこの集魚灯を使った漁が行われています。

そのほか、海底近くに生育しているコウイカ類は、定置網漁や底曵き網量で獲られています。

しかし、個人でイカを釣る場合は、こんな大掛かりなことはできませんよね。手軽な方法だと、防波堤で行う釣りでアオリイカ、ヤリイカなどのイカを釣ることができます。とくにアオリイカは、一年を通して釣りやすいイカなので初心者にもおすすめです。

・イカのしめ方


あまりイカをしめることは自宅ではないかもしれませんが、もし釣りなどで生きたイカが手に入った場合には、イカをしめる必要があります。とくにアオリイカの場合には、生きたまま移動させるといかすみを吐いてしまって黒くなってしまうので、しめてから運ぶようにします。

具体的な手順は次の通りです。

  1. 胴の部分と頭の付け根の部分に対して、胴側に斜め45度にナイフを刺す
  2. その後、同じ部分に対して、今度は頭側に斜め45度にナイフを刺す
  3. イカの体色が白くなったら、しまっている証拠です




■イカのさばき方とポイント




次は、イカのさばき方と気をつけるポイントをご紹介します。

・内臓はゆっくりと引っ張る


イカの内臓を取り出すときには、ゲソ部分をしっかりと持って、ゆっくりと引っ張るようにしましょう。勢いよく引っ張ると、内臓とゲソが切れてしまいうまく剥がれなくなってしまいます。

・流水や水の中につけながら処理する


イカをさばいているとヌメリなどがあるため、適宜流水で洗い流しながら処理するようにしましょう。また、内臓をとったあとの胴の部分は、しっかりと流水で洗うことが大切です。

・吸盤は熱湯をかけてから包丁の背でしごく


ゲソの唐揚げなどゲソをおいしく楽しむには、吸盤についた固い部分をしっかりとる必要があります。包丁の背でしごいて落としますが、熱湯かけてからしごくと吸盤が簡単に取れますよ。

・イカのさばき方


ではイカのさばき方をご紹介します。

  1. 胴の中に親指を差し込んで、内臓と背の部分を引き剥がします
  2. ゲソ部分を持ってゆっくりとひっぱり、内臓を取り出します
  3. 胴の中央に固い甲の部分があるので、それを引っ張って取り除きます
  4. 胴のなかを水でよく洗ってヌメリや残った内臓をきれいに捨てます
  5. とったゲソは、目と内臓の部分を切り離して捨てます
  6. ゲソについた吸盤は包丁の背でしごいて取り除きます
  7. ゲソをきれいに洗ったら完成




■イカのおすすめレシピ【種類別】




イカをおいしく食べるおすすめのレシピ3種類をご紹介します。

・イカ焼き


イカ焼きにおすすめのイカの種類は多くありますが、露店などで使われているイカはスルメイカがメイン。スルメイカ以外のイカでもおいしく食べられます。

ここでは、おうちでも簡単に作れるイカ焼きの作り方もご紹介します

  1. イカの胴部分に1cm幅の切り込みを入れます
  2. フライパンに油を強いて火にかけ、胴とゲソを焼きます
  3. 両面に焼き色がつくまで焼きます
  4. 酒・醤油・砂糖みりん・生姜で煮絡めたら完成です
・イカめし


ヤリイカで作られることが多いイカめし。イカのおいしい香りが染み込んだお米がたまらなくおいしい料理ですよね。

イカめしの作り方は次の通りです。

  1. もち米に細かく切ったゲソと醤油を混ぜて、ヤリイカの胴につめ、つまようじで口を閉じる
  2. 鍋に砂糖・しょうゆ・酒・みりん・水・生姜を入れて一煮立ちさせる
  3. イカを入れて蓋をし、弱火で25分程度煮込む
  4. 火をとめて冷まし、味が染み込んだら完成
・塩辛


新鮮なスルメイカが手に入った場合には、自宅でお手製の塩辛を作って楽しんでみてはいかがでしょうか。塩辛は買うものという印象があるかと思いますが、意外にも塩辛の作り方は簡単です。

  1. さばいたイカの胴部分を、1cmの幅に細長くきる
  2. イカからとったワタを取り出して、10gの塩と混ぜる
  3. 細長く切ったイカと混ぜる
  4. 冷蔵庫で4~5日保存したら完成



■時期ごとに旬なイカを楽しもう




一年を通してお寿司屋さんやスーパーで見かけるイカ。ご紹介した通り、日本ではさまざまな種類のイカが食べられています。種類ごとに旬の時期は異なりますので、もしイカの種類を選べるならば、その季節に合わせたおいしいイカを楽しみたいですね。

イカを使ったレシピはさまざまありますので、お好みのイカをぜひおいしく食べてみてください。

《参考》
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

(AYA)

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