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金価格が高騰!今から買っても間に合うのか

  • 2020.9.10
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金価格が高騰しているのをご存知ですか?2020年7月、9年ぶりに最高値を更新し現在も最高値近辺で推移しています。今回の金高騰を機会に金の投資に関心を持たれている方もいらっしゃるかと思いますが、高値の状況で買ってもいいのかと二の足を踏んでしまう人も多いのではないでしょうか?

今回は、これまでの金価格高騰の推移を確認し、具体的な金の購入方法についてご紹介します。

なぜ金は上がったのか

2020年7月に金価格は史上最高値を更新しました。金の価格はこの1年で30%以上上昇したことになります。

金価格高騰の理由には、コロナウイルス感染拡大による経済の混乱や先進国を中心とした低金利政策、量的金融緩和、金ETF(上場投資信託)の存在が挙げられています。

金は「有事の金」といわれるように、経済的に大きな混乱が起こりそうな時には買われる傾向があります。経済的に大きな混乱時は、株価も大きく下がることがあります。このような株価が大きく下がる時に「有事の金」は安全資産として買われる傾向が強くなり、金価格は上昇します。特に金は、有事の際に保有資産全体の下落を抑えられる効果が期待され、選ばれてきた投資対象です。

今回のコロナウイルス感染拡大は世界的な「有事」です。「有事の金買い」につながり金価格上昇に影響したとみられています。

また日本や他の先進諸国の低金利政策が続いて、低金利の債券への投資メリットが低くなっています。これまで債券投資に回っていたお金が金投資に向けられているのも、金価格上昇要因の一つに挙げられています。

さらに量的金融緩和によって世の中にお金が大量に供給され、行き場のないお金が金買いに向けられ、金価格が上昇しているともいわれています。

様々な要因が影響し金価格が上昇していますが、史上最高値を更新したというニュースを聞くと心配になるのが、今、高い値段で買って良いの?ということですよね。有事が収まると金を買う人が少なくなり今後は下がるという見方もできます。
ただ、まだ金価格は今後も継続して上がっていく可能性があるとみています。その理由は金ETFの存在です。

年金基金などの機関投資家は最近、金ETFを通して金投資を増やしています。年金基金などの機関投資家は、株式や債券などの有価証券にしか投資することができなかったのですが、2003年の金ETFの登場によって、金ETFという有価証券を通して金投資が可能になりました。年金基金は長期投資を行う機関です。

今回の金価格高騰要因には、年金基金などの機関投資家による金ETF購入増も挙がっています。今後も年金基金などの機関投資家は、運用成果の向上やリスク分散を図るため金ETFへの投資を継続する可能性は高いです。このような機関投資家の動きから金価格は今後も上がっていく見込みはあるとみています。

SARSや米国同時テロなど有事の時はどうだったのか
NY金(ゴールド)ロングチャート

資料:楽天証券HPより引用

今回、大幅な金価格上昇にはコロナウイルス感染拡大という有事が大きく影響しているとみていでしょう。過去の「有事」の際、金価格はどのように動いたのか気になるかと思います。楽天証券が公表している過去45年間の金価格の値動きを表したグラフを参考にしながら確認してみましょう。

新型コロナウイルスと関連して思い出すのが、2002年11月に中国で生じたSARS(重症急性呼吸器症候群)です。SARSは2003年7月に終息宣言が出されていますが、2003年頃の金価格の動きをみてみましょう。2001年の米国同時テロという有事をから金価格が上昇基調に入り、その後2003年にSARSが流行し上昇は続きました。この頃、同時に起こっている有事にはイラク戦争があります。

その後、2008年にリーマンショックという有事があり、金価格はさらに上昇し、日本ではアベノミクス効果もあってか経済回復とともに下落に転じていきます。再び金価格が上がり始めるのは2019年あたりからです。この頃の有事としては米中貿易摩擦問題の深刻化、北朝鮮問題、新型コロナウイルスの感染拡大などが挙げられます。

このように、過去の金価格の動きを見てみると、金は有事の影響を受けて上がる特徴があるということはいえそうです。

金を買うならどうやって買うの?【金地金・金貨】

金地金は一般的に「金の延べ棒」といわれているものです。金貨で有名なのはオーストリア造幣局発行の「ウィーン金貨ハーモニー」や、カナダ王室造幣局発行の「メープルリーフ金貨」などがあります。金地金も金貨も買うということは金そのものを保有することになるので、眺めているだけで金投資の実感を味わうことができるのが魅力ですね。金地金、金貨とも宝飾店や地金商、百貨店などで購入できます。

金地金は5g、10gといった小さなものから1㎏と様々なサイズから選ぶことができ、直近の1gあたりの販売価格は7416円となっています。(2020年9月1日時点の田中貴金属工業の税込小売価格。バーチャージおよび手数料は含まない)金貨は1オンス(31.1035g)、1/2オンス、1/4オンス、1/10オンスの4サイズが一般的です。直近1/10オンスサイズは26,412 円で購入することができます。

金地金や金貨には盗難リスクがいわれています。仮に、コツコツ小さなサイズを毎月購入していくとすると保管場所の心配がでてきて貸金庫などの検討も必要になってくるかもしれません。

金を買うならどうやって買うの?【純金積立】

毎月一定金額で金を購入していく純金積立でも金を買うことができます。毎月の積立額は月々3000円からが一般的で1000円単位で積立金額を設定でき、積み立てた金の売却はいつでも可能です。売却した金は現金化以外に、ジュエリーや金地金、コインなどへも交換できます。まとまったお金がなくても金を購入でき盗難リスクがないのも純金積立の魅力です。

純金積立は年会費、積立手数料、保管手数料などコストがかかります。特に積立手数料は毎回の積立額に対して2%前後かかる設定にしていることが多いです。
手続きは地金商や銀行、証券会社などで取り扱っています。

金を買うならどうやって買うの?【金ETF】

金そのものを購入するのではなく金ETFを購入する方法もあります。ETFとは日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動する運用成果を目指す投資信託で、上場株式と同じように証券取引所で売買ができます。金ETFは、指数を金価格の動きに設定し金価格に連動することを目標に運用される金融商品です。

盗難リスクもなく、純金積立よりも低コストで金への投資が可能です。ただ、最終的に金ETFを金に交換できる商品もありますがそれは一部の商品ですので、金ETFの購入は低コストで金投資を活用し資産を増やしていきたい方向けになります。

金そのものを手に入れることにこだわらないなら、金を投資対象にした通常の投資信託での積立投資も投資初心者にはおススメです。

金を買うなら、投資する目的を考えて

株式や債券といった金融資産の中に金を一部組み込むことで値動き幅を抑える効果が期待できます。イチかバチかで大きな価格上昇を狙うのではなく、長期で資産形成を継続する上でリスクを下げることを期待して投資対象とするなら金は今買っても大丈夫だと思います。

執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)寺野裕子

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