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心理学者が解説、なぜ職場で男が集まると人の悪口と噂話ばかりになるのか

  • 2020.9.2
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とくにビジネスシーンにおいて、女性同士と比べて男性同士で人間関係を深めることは難しく、表面的な付き合いにしかならないことが多いのだそうです。それを克服するために男性たちがしているコミュニケーションとは――。

女性の同僚を見つめながらうわさ話をする2人の男性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Rawpixel)
男性には“親友”が少ない傾向

男性と女性の人付き合いの違いを調べてみると、女性のほうが人付き合いはうまく、友情を感じやすいということがわかっています。これは、まあ、何となく想像ができます。

女性は、いつでもグループで行動することが多いですし、楽しそうな女子会なども頻繁にやっているようですが、男性は、あまり積極的に人付き合いをしようとしません。

カナダにあるグラントマキュアン大学のデビッド・ワトソンの調査によると、男性は、あまり親友と呼べる人をつくりませんし、友情も感じにくいとのこと。

男性というのは、特にビジネスシーンで顕著なのですが、ものすごく表面的なお付き合いしかしていないのですね。事務的な付き合いというか、人間関係が冷え切っているわけです。もちろん、男性だって、親密な人付き合いを求めていないわけではないと思いますので、今回は、そんな男性が、男同士の関係を深めるためにどのような行動をしているのか探ってみましょう。

ゴシップの意外な効果

結論から先に言うと、ワトソンによると、男性が友情を深めるには、「ゴシップ作戦」が有効だということです。「だれとだれがデートしているのか」「職場の人がどんな人物なのか」といった情報型のゴシップを話すことによって、男性は友情を高めることができるのだそうです。

「経理課の○○さんって、○△みたいな男性が好みらしいよ」
「部長って、ああ見えて、高校と大学で体育会系の空手部所属だったんだって」

こういうゴシップをしていれば、男性同士でも、どんどん仲良くなることができますし、友情を感じることもできるのでしょう。

ちなみに、ワトソンによると、女性は、もともとゴシップに頼らなくとも、普通の話をしているだけでお互いに強い友情を感じられるそうです。男性にとってみると、簡単に友情が育める女性はとてもうらやましいですね。

ではなぜ、ゴシップを話していると、仲良くなれるのでしょうか。

その理由は、だれかについてのゴシップを共有するということが、何やら悪いことを一緒にやっているような、“共犯者意識”を高めるから。「秘密の話」を共有することで、お互いに親密になれるのです。

そういえば私にも、学生時代には、先生の悪口やらゴシップなどを話して、クラスメートと仲良くなった、という記憶があります。「担任の○○は、どうみてもカツラだよな」などと友達と面白おかしく語り合っていると、いっぺんに親しくなれてしまうのですから、男というのはまことに不思議な生き物です。

職場の人のうわさ話はマナー違反なのか

よくあるビジネスマナーの本を読むと、「職場の人のうわさ話などは、絶対にしてはなりません!」と注意されていたりはしますが、まあ、それはそれとして(きれいごとはきれいごととして)、たまにはゴシップを話すのも、悪いことではないのではないでしょうか。いや、悪いことかもしれませんが(笑)、関係づくりが苦手な男性たちにとっては必要なことなのです。

天気の話やら、政治や経済の話やら、「どうでもいいようなこと」しか話さないのであれば、「どうでもいいような人間関係」しか築くことはできません。人と親密になりたい場合、他の人のゴシップを話すことも大切なのです。

(参考)Watson, D. C. 2012 "Gender differences in gossip and friendship." Sex Roles ,67, 494-502.

ゴシップは社会的な絆を強める

私たちは、モラルに反した行動をとっている人をみると、ゴシップを言いたくなります。「ああいう人にはなりたくないよね」と話し合うことで、裏を返せば、「俺たちは善人でよかったね」という気持ちを高めることができ、社会的な絆が強化されるのです。

オーストラリアにあるクイーンズランド大学のキム・ピーターズは、ある人が空き缶を投げ捨てる(または空き缶を拾う)という映像を見せて、「あなたは、この話をどれくらい人に話したいか?」と尋ねてみました。

すると、「空き缶を拾う」という善行をしている映像を見たときには、「そんなに話したくもない」という回答が多かったのですが、「空き缶を投げ捨てる」というモラルに反した行動を見たときには、「だれかに話したい」という気持ちが高まることがわかったのです。

ピーターズによると、モラルに反したことをゴシップとして話すことによって、「自分たちは素晴らしい人」という気持ちになることができ、さらに仲良くなることができるのだそうです。

「○○部長は、会社のお金で飲み食いしてるんだって」
「○○先輩は、勤務時間中に喫茶店でサボっていることが多いよ」
「後輩の○○は、夜の街関係の情報に詳しいらしいよ」

そういったゴシップのネタを展開することで、男性たちは絆を深めていくのです。「まったく、うちの会社の重役どもは、どうしようもないね」とお互いに笑い合っていれば、仲良くなれないわけがありません。

うわさ話を振られたらどうすべきか

うわさ話をしなくても仲良くなれる女性たちはにとっては、ばかばかしく見えるかもしれません。では、男性たちのうわさ話にどう対応すればよいでしょうか。自分からはうわさ話をしたくないと考える女性も多いでしょう。

私は大学の先生もしていて、教え子たちとはものすごく仲がいいのですけれども、その理由はというと、ここだけの話ですが、他の先生の悪口を聞いてあげるからです(さすがに自分からは言いません)。

「○○先生は、課題が厳しすぎる」とか、「○○先生は、かわいい子にだけエコヒイキする」とか、そういう教え子の話を、「ふむ、ふむ」と聞いてあげるだけで、けっこう親しくなることができます。

自分からは、どうしてもゴシップを話したくないというのであれば、ゴシップの聞き役になるのもひとつの手かもしれませんね。

それでも十分に、人は仲良くなれるものなのです。

(参考)Peters, K., Jetten, J., Radova, D., & Austin, K. 2017 "Gossiping about deviance: Evidence that deviance spurs the gossip that builds bonds." Psychological Science ,28, 1610-1619.

写真=iStock.com

内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
立正大学客員教授。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。『世界最先端の研究が教えるもっとすごい心理学』(総合法令)など、心理学を応用したビジネススキルに関する著書多数。

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