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J-REITと不動産投資型クラウドファンディングはどう違う? それぞれのメリット・注意点は?

  • 2020.9.4
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不動産投資に興味はあるけど、いきなり高額のお金を投資するのは心配…。そんな人にピッタリの、「J-REIT」と「不動産投資型クラウドファンディング」ですが、違いはどのようなところにあるのでしょうか。
J-REITと不動産投資型クラウドファンディングどちらにも、それぞれメリットと注意すべき点がありますので、投資の目的や状況に応じて使い分けるのが正解です。

では、具体的に、見ていきましょう。

J-REITと不動産投資型クラウドファンディングの違い

J-REITと不動産投資型クラウドファンディングの説明の前に、まずは不動産投資について確認しましょう。不動産投資とは、不動産を購入して、次の2種類の利益を得ることを目的としたものです。
①賃貸にして家賃収入を得る(インカムゲイン)
②値上がりしたタイミングで売って売却益を得る。(キャピタルゲイン)

インカムゲインの仕組み

図:筆者作成

キャピタルゲインの仕組み

図:筆者作成

このような不動産投資が手堅い投資に思えても、最初に高額な不動産を買うため、ハードルが高いと思う人も少なくありません。
しかし、J-REITや不動産投資型クラウドファンディングなら数万円から始めることができます。

J-REITは、投資信託の一種。投資家から集めたお金をひとつにまとめ、不動産運用のプロが複数の不動産に投資します。運用で得られた利益は投資家に分配される仕組みです。
また、J-REITは証券市場で取引されているので、現金が必要になったら売却しやすいことが特徴です。

不動産投資型クラウドファンディングは、一般的にひとつの不動産への投資を、複数の投資家で行う仕組みです。たとえば、ワンルームマンションやホテルなどの物件を複数の投資家で購入し、不動産投資会社が運用します。運用益は投資家に分配されます。
ただし、証券市場では取引されていないので、基本的に運用期間中の現金化は難しくなります。

不動産クラウドファンディングの仕組み

図:筆者作成

J-REITのメリット、注意点、税金

では、J-REITのメリットと注意点はどんなところにあるのでしょうか。

メリット1:分散投資ができる

J-REITは、不動産投資信託と言われます。運用のプロが、投資家のお金をまとめてさまざまな不動産に投資をします。国内外の居住用や商業施設用など、投資先は多岐にわたります。そのため、ひとつの物件で損失が出ても、全体で損失をカバーすることで利益を確保することができます。

メリット2:売却益を得ることができる

J-REITは証券市場で取引されています。つまり、J-REIT自体に値がつけられ、株式のように値動きするということ。ですから、値上がりしたところで売れば売却益を得ることができるのです。

メリット3:現金化がしやすい

証券市場で売れるということは、現金化しやすいということでもあります。投資を始めても、予定が変わって急に現金が必要になることがあるかもしれません。そんな時でもJ-REITなら、売却すればいいので慌てずにすみます。

注意点1:投資先を指定できない

J-REITの投資先は、運用のプロが決めています。不動産選びの方針は示されていますが、具体的な物件については投資家が指定することはできません。
具体的な物件選びがしたい人には、J-REITは物足りないでしょう。

注意点2:値動きなどの情報はチェックが必要

値動きを見ていて、値下がりしてきたら要注意。不動産投資がうまくいっていないと市場が判断しているのかもしれません。投資で損失を出していれば配当に影響が出ますし、値下がりすれば売ろうにも売れなくなってしまいます。

税金

J-REITの分配金は、配当所得として20.315%の税金がかかります。源泉分離課税にすることで、分配金を受け取る時には税金分が差し引かれているため確定申告をする必要はありません。
ただし、NISAを利用すれば20.315%の税金は非課税になります。NISAは年間の投資額上限は120万円までです。J-REITをするなら、非課税枠を上手に利用しましょう。

不動産投資型クラウドファンディングのメリット、注意点、税金

一方、不動産投資型クラウドファンディングはどうでしょうか。

メリット1:投資物件を選べる

不動産投資型クラウドファンディングは、どの物件に投資するのかが明確です。その意味では、自分が不動産を買って運用する、不動産投資のイメージに近いでしょう。物件ごとにしっかりと検討ができるので、納得して投資に取り組めます。

メリット2:1万円から始められる

不動産投資型クラウドファンディングは、1口1万円からでも始められるので、大変始めやすい投資です。

メリット3:損をしにくい仕組み

不動産投資型クラウドファンディングでは、優先劣後方式がとられていることで、損失を出しにくい仕組みが採用されています。これは、投資家だけではなく運用会社も出資をして、損失が出たら運用会社が損失を引き受けることで、投資家の損失が限定的になるという仕組みです。

優先劣後方式

図:筆者作成

注意点1:現金化しにくい

不動産投資型クラウドファンディングは市場で取引されませんので、運用期間中は、基本的に解約はできず現金化ができません。

注意点2:投資をしたら待つしかない

不動産投資型クラウドファンディングはいったん投資を始めたら、運用期間が終了するまでは何もすることはないと考えて差支えありません。投資内容の変更などができないのですが、逆に考えるとほったらかしいでいいとも言えます。
本業が忙しい会社員など、不動産投資のわずらわしさ抜きで運用できるので、かえってメリットに感じる場合もあるかもしれません。

税金

不動産投資型クラウドファンディングの配当は雑所得です。配当金から20.42%の税金が差し引かれて受け取ることになります。会社員の場合、給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。

J-REITと不動産投資型クラウドファンディングの違いを、表でまとめました。

J-REITと不動産投資型クラウドファンディングの違い

図:筆者作成

自分の投資スタイルに合うものを選ぼう

J-REITと不動産投資型クラウドファンディング、どちらも少額から始められる、不動産を対象にした投資ですが、いろいろな違いがありました。
預貯金の残高や、運用期間、投資目的や投資スタイルの好みに合わせて選ぶといいですね。まずは、どのような投資先になっているか、チェックをしてみてはいかがでしょうか。

執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP) タケイ 啓子

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