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坂口拓、重い刀で骨折「よく死なずに終わったなと思います」

  • 2020.9.1
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坂口拓さん
坂口拓さん

映画「狂武蔵」で主演を務める俳優の坂口拓さん。同作は慶長9年、宮本武蔵(坂口さん)の道場破りで面目をつぶされた吉岡道場一門は、全員で武蔵を襲う計略を練ります。決闘場の周りに身を潜める一門100人と金で雇った他流派300人の前に、突如現れた武蔵が襲いかかり…坂口さんが77分ワンカット撮影に挑んだアクション時代劇です。

オトナンサー編集部では、坂口さんに単独インタビューを実施。77分演じきったときの心境や宮本武蔵のイメージ、得意なアクションなどを聞きました。

指が折れ、脱力するきっかけに

Q.園子温監督との作品が中止になり、この作品が生まれたと聞いています。ストーリーも変わったのでしょうか。

坂口さん(以下敬称略)「全部変わりました。宮本武蔵の話でもありませんでした」

Q.77分ワンカットアクションを演じきられていかがでしたか。

坂口「もともと、園子温監督との企画では10分ワンカットの予定でしたが、話が頓挫してしまいました。でも、何カ月も準備してきて、そのままつぶれてしまうのが嫌だったので、撮影機材の返却日の前日を狙って70分以上のワンカットのアクションに挑戦したいとスタッフにお願いしました。

現場で見た感じは男らしく見えたかもしれませんが、心では泣いていました(笑)本当にできるのかなと。でも、かっこつけてみせました。撮影で使った刀は樫の重いものを使っていて、当たれば骨は折れますし実際折れました。よく死なずに終わったなと思います。開始5分で指が折れたのはラッキーで、脱力するきっかけになりました」

Q.ワンカットの長回しアクションに再度挑戦したいですか。

坂口「難しい質問ですね。本音を言うとしたくないです。PTSDにかかり、1年間棒に振りましたから。でも、求められれば挑戦します。ただ、77分なんてけちなことを言わずに、3時間くらいでしたいですね。爆発も入れて、村とか燃やして火の中で戦いたいです。

危険なものは俳優さんではなく、自分がするべきだと思っています。自分がアクション監督を務めるときは、俳優さんにそんなことはさせません。現場で立ち回りをしっかり覚えてもらっています。かっこよく見せることは誰でもできるのですが、きれいなアクションを見せたくないんですよね。役者さんの人間性が見えた方が面白い、不格好でも一生懸命な姿を見せた方がかっこいいと思っています」

Q.宮本武蔵のイメージを教えてください。

坂口「剣術家の方々に宮本武蔵の印象を聞くと、強いとは言わないです。佐々木小次郎との決闘のときは遅刻をして、吉岡一門との決闘のときは子どもを斬ったり、武士道からは考えられないじゃないですか。きっと、人間らしくて弱かったんじゃないかなと思います。そこが好きです。どんなことをしてでも生きることを選んだ人なんだと思いました」

Q.「狂武蔵」の現場の雰囲気を教えてください。

坂口「9年前に撮影した77分の部分は、撮影中以外のことはほとんど記憶がないですね。園監督とのプロジェクトが撮影に入りかけてつぶれて、また入りかけて、またつぶれてを繰り返していたので、映画に出る精神状態ではありませんでした。

そんな中で、かっこつけて出ていたので、前後の記憶はほとんどないです。去年撮影した追加の撮影は、お蔵入りしていた作品を復活させたいとスタッフたちが頑張ってくれたので感謝の気持ちでいっぱいでした」

Q.武器と素手のアクションはどちらがお好きですか。

坂口「素手の方が好きです。相手が武器を持っていても対抗する技があります。刀にこだわるポイントとしては、侍の文化や伝統を残したいからです。昔の俳優さんたちは、侍の存在がまだ身近だったと思いますが、今はそんな存在もなくなってきました。令和の時代で、合戦を経験したことがあるのは僕しかいないので、侍を極めていきたいと思います。リアリズムを追求し、うそ、ごまかしなく表現できる人間でありたいです」

Q.普段のリフレッシュ方法を教えてください。

坂口「リフレッシュすることがないです。自分で自分を追い詰めるようにしています」

映画「狂武蔵」は公開中。

オトナンサー編集部

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