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世界を動かす、中華系とインド系の富裕層はどうやってお金を増やすか

  • 2020.9.1
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シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。多文化、多民族のシンガポールでは世界中から人が集まります。子供のインター校ではアジア各国の富裕層が多く、特に中国とインドから来たお金持ちが集まります。今回は、人口的にも世界の多くを占める、二つの民族のお金の使い方についてお伝えします。

貯金箱にコインを入れる娘を見てほほ笑む母親
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Deepak Sethi)
メンツが命の中華系だが、普段はケチ?

娘を1歳の時にシンガポールに連れて来たため、3歳から現地のインターナショナルスクールに入れました。この学校は、メインランドチャイナから母子留学で来ている家族が多く、オリエンテーションなどで出会った中国系のママたちはブランド品で全身を飾っていました。親向けのクラスでは部屋が寒いこともあって、皆ショールを羽織っていたのですが、まるでスクールユニフォームのように皆がルイ・ヴィトンのショールを広げているのです。さすが長期間、7~10%経済成長を続けてきた国から来た勢いを感じました。

最近、中国のテレビドラマ「三十而已(Nothing But Thirty)」のあるシーンがSNS上で注目を集め、中国でエルメス熱が盛り上がっていると聞きます。主人公が、いわゆるセレブ妻の集まりにシャネルのバッグを持って参加した際に、他のメンバーがみんなエルメスのバーキンやケリーを持ってきていた。その後SNSに投稿された集合写真から彼女だけが切り取られていたのを見て、コネを駆使して3日でケリーバッグを手に入れる。そして次の集まりではそのバッグを持参し、仲間として認められるというシーンです。

インター校に娘を入れたばかりの私は、まさにドラマでシャネルのバッグを持った主人公ママの気持ちだったのです。これはまずいのではと思い、ブランド品をいくつか買ってしまいました。田舎から東京の青山学院大学に上京して来たときも同じことをした記憶があります。

後から気づいたのですが、こうしたブランドを持っている人の多くはメンツからくる一点豪華消費をしているだけで、普段は非常に質素倹約生活を送っているようでした。学年が進むに連れて、ごく普通の家庭も学校に増えてきて、かえって自分の方が派手で恥ずかしくなってきました。結局、ブランドのバッグの多くを現地の中古ブランド品売買サイトで売却しました。もともとセールや中古で半値で買っていたので、手数料を差し引く前の価格はほぼ同じ額で売却できた品物も多かったです。ほとんど使っていなかったのと、損切りが早くてよかったと思いました。ついでにOL時代に買い集めていたケイトスペードのバッグたちもかなりいい値段で売れました。私が売ったバッグを仲がよい友達が中古で買ったと持っていたので驚きました。中華系は、このように工夫をして着飾るのだと思わされた出来事でした。

超合理的なインド系だが、かけるところはかける

6歳になった子供の友達はインド人家庭が多いのですが、ママもいわゆるGAFAMで働いているなどのキャリア系の共働きカップルが多いのです。ヨーロッパのボーディングスクールを出ている人も多く、育ちはかなりよさそうです。ただ、インド系はかなり資産を持っている人もお金にはすごくシビアなので驚かされます。

ある友達はカフェには絶対に入らずにいつも無料ラウンジを使っていました。現在はコロナ禍のため、ラウンジ等の無料利用が難しいのですが、一緒にスタバに入ってまさかのノーオーダーのこともありました。常に水筒やミネラルウォーターのボトルを持ち歩き、映画に一緒に行った際に私が飲み物を買おうとしたら私の分まで差し出してくれました。あまり財布を開いているところを見たことがなく、最初から決めていて必要がある物を買っているところしか見たことがありません。

ただ、インド系もいつもケチなわけではなく、かけるべきところにはお金をかけます。例えば、食べ物です。子供にはよい食事を与えたいということで、おやつには高級なオーガニックのチョコレートを与えるなどしています。高価なブランド品は持ちませんが、中古は着ないなどこだわりもあるようです。また、贈り物にシルバーのドア飾りをくれるなど、本物派です。とにかく消耗品や衝動的な買い物にはお金をあまりかけずに、食事、子供の教育費、生命保険(ただし定期保険)、住居、資産としてお金や銀、体験などにはお金を使ってもよいと考えているようです。

中華系との違いは見栄やメンツによる消費は一切ないということです。インド系の富裕層はよほどの大金持ちを除いてはブランド品で着飾るより、生地の良いサリーや地元で買った洋服などを着ている人が多いです。見た目や流行よりも素材の質などを重要視するようです。

二つの民族から日本人が学べることとは

倹約上手な中華系とインド系ですが、実は仲良くしているグループをあまり見たことがありません。以前に学校のクラスのパーティーでインド系のママたちが仕切っていて、中華系が手伝っていた時のこと。インド系はきっちりマニュアル通りやりたいし、数が割り切れないとパニックになるようです。他方で中華系は大らかなので手順通りではなくても気にしません。インド系のイライラが伝わってきました。私も子供の数だけバナナなどを持って行かなかった(といっても他のフルーツを持ってきていて好きなものを選べるようにしていた)ので、追加で買って来るなど大変なことになりました。「全員がバナナを食べるのかな?」という疑問もあるのですが、それ以来、どんなに余ってもクラスの人数分以上の食べ物を持参するようになりました。

中華系も中華系同士、しかもABC(アメリカ生まれの中華系)とメインランドチャイナ出身者とでも微妙な関係性があるようです。インド系もインド系で集まります。インド系も欧米育ちや長い間外に出ていると欧米人に近いかなという感触も持ちます。クッション役のような日本人はどのグループの中にも入れるというメリットがあります。

さて、中華系とインド系から学ぶお金を貯めるコツとしては目的意識を持つということでしょう。中華系は見栄のため、インド系は実利のためと目的は違えど無駄遣いはしません。最近、両方から学んだ私が取り入れている節約の方法としては、「お金を増やしてから欲しいものを買う」ということです。最近は株価が非常に堅調なのですが、欲しい商品と欲しい株とを天秤にかけるのです。そうしたところ、1万円などのちょっと欲しいけど不要な物を我慢して、株を買うという行動を取れることが多かったのです。外国株は1万円程度から一単位が買える物が多いですが、日本でも、ひな株(単元未満株取引)があります。例えば、大和証券グループでも「CONNECT」というアプリを2020年7月からスマホ向けに開始しました。無駄遣いをやめて、投資をするので、たとえ株価が下がって一時的に元本が減ったとしても無駄遣いをするよりよかったのではないかと思うこともできます。

私は1~2年分程度の生活費は現預金にしていて、カードなどの決済口座とは分けてプールしているのですが、それ以外は株式やETF(上場信託投信)で運用をしています。将来お金が必要になった時に株などは換金をすればよいと思っています。そうすると、安易に売りたくないので節約しようという意識が働きます。また、普通預金にお金をたくさん置いていないので、リスクに備えて稼ごうという意識も高まります。これは私が中華系とインド系を見ていて考えたマイブームの方法です。よければ取り入れられるところを取り入れてみてください。

写真=iStock.com

花輪 陽子(はなわ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。

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