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KENTAが亡母を想い初のシングル「またいつでも帰っておいで。」をリリース【K-POPの沼探検】 #132

  • 2020.8.25
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韓国で夢を叶えてデビューしたKENTAさん。現在も日韓デュオJBJ95として韓国で活動していますが、このたび初めてソロとして、本名の髙田健太名義でデジタルシングル「またいつでも帰っておいで。」をリリースしました。作詞をKENTAさん本人が、作曲は旧友でシンガーソングライターの沙夜香さん(Play.Goose)、編曲にはJBJ95に楽曲提供もしているTOYOさんと本人も参加して意欲的に取り組んだこの曲は、3月に亡くなった母から贈られた手紙への返事として作ったものだそう。また、この曲を制作する過程で、あらためて家族について考えたというKENTAさん。曲に込めた想いについて伺いました。

取材・文 尹 秀姫

【ペンになってもいいですか!?】vol. 132

KENTA 1995年1月10日生まれ 群馬県出身。

--初めてのソロ曲であり、お母さまへの想いを込めた曲だということですが、まずこの曲を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

母に恩返しをしたいって気持ちがすごく大きかったですね。僕は歌手ですし、歌で何かを残せたらという気持ちがすごく大きかったんじゃないかなと、今となって思うんですけど……。正直、曲を作りはじめた時のことはあまりよく覚えていないんです。僕の性格上、思いついたら即行動! っていうタイプなので(笑)。恩返しをしたいという想いはもちろんあったんですけど、じゃあ曲を作ろう! という考えに至ったのは、寝て起きたら思いついた、という感じでしたね。ある意味、(アイディアが)降りてきたというか(笑)。

--曲を作ろう!という考えが降りてきた時、まっさきに思いついたのはどんなものでしたか?

僕はそれまでメロディを作ったことはなくて、歌詞を書いたことは何度かあったんですね。それが世に出たことはないんですけど。なのでメロディが思いついたというよりは、歌詞が降りてきたというか。自分の気持ちをまずは書き出してみたんですけど、全然まとまりがなかったのでどうしようかなと思ってた時に、ちょうど母からもらった手紙が出てきて、それを読んでいたら号泣してしまって……。文字から伝わってくる気持ちってあるじゃないですか。それで、この手紙に返信したいと思って、歌詞を書きはじめました。

--そのお手紙はいつもらったものだったんですか?

母が亡くなる前、最後にもらった手紙なんです。その手紙に「またいつでも帰っておいで」という言葉がありました。
歌詞にも書いたんですけど、僕が韓国に戻る日、母は先に仕事に出かけていて顔を見ていないので、「最後は顔を見ることもなく」というのも実話ですね。

--タイトルの「またいつでも帰っておいで。」というフレーズは、言われたい言葉でもあり言ってあげたい言葉でもあると思いました。お手紙にあった言葉の中でもこのフレーズをタイトルに選んだ意味は?

母が亡くなってからあの手紙を見て、「ただいま」「お帰り」「またいつでも帰っておいで」っていつも言われていたその一言がどれぐらい自分の力になっていたんだろうというのを再確認しました。誰かが待ってくれてるってすごく心の支えになるんだな、力をもらえるんだなって思えた言葉だったんですね。

それに、僕からも母に、またいつもでも僕らのいるところに帰っておいでねと言いたいですし。おたがいが向かい合って、支え合ってるようなフレーズだなと思ったので、この一文をタイトルにしました。この曲を聴いてくれた方も、親が子ども想う気持ちで聴いていただいてもうれしいですし、逆に子どもの立場から親御さんを想いながら聴いていただいてもいいですし、どちらからも理解してもらえるような曲にしたかったんです。

--作曲を旧友である沙夜香さんに、編曲をこれまでも一緒にお仕事された経験のあるTOYOさんにお願いしていますが、KENTAさんから2人にどんな曲にしたいという話をしましたか?

これはみなさん感じ取ってくれていると思うんですけど、僕の書いた歌詞が、文字だけ見るとそこまで明るくないというか。特に「最後は顔を見ることもなくバイバイもなく」っていう部分はリアルな歌詞なんですけど、それをリアルにしたくなかったので、そこをもうちょっと明るく、つらいけど前を向いてがんばっていこうと思えるような雰囲気にしたいというのは最初に伝えましたね。

僕も母が亡くなった後、悲しむばかりじゃいけないなと思ったんです。母が残してくれたことを、僕は母が亡くなった後にたくさん教わりました。命の大切さだったり、今しかないなっていうことだったり。家族のあたたかみもそうですよね。でもそれって決してマイナスではない、むしろプラスなことだと思うから、僕と同じような状況の方だったり、今はコロナのせいで会いたい人に会えない状況が続いているので、そういうあたたかい気持ちを受け取ってもらいたいなと思いますし、そういう気持ちは聴いてくれている方には伝わってるようなので、ありがたいですね。

--日本で初めてファンミーティングをされた時、家族が来ていると誇らしげに語っていたケンタさんを今もよく覚えていて、夢だったデビューを叶えたことをご家族はきっと喜んでいらっしゃったと思います。デビュー後のことで家族から言ってもらった言葉はありましたか?

僕は母から心配されることのほうが多くて、「大丈夫?」とか、そういう言葉が多かったですね(苦笑)。でも周りの人に聞いたら、僕のことをすごく自慢していたみたいです。母の前の職場の人だったりとか、僕の友だちとか(笑)。それを聞いた時はすごくうれしかったですね。少しでも親孝行できたのかなって。あと実家に帰るたびに色紙がたくさん準備されていて、ものすごい量のサインを書かされました。

手紙は普段からよくもらっていました。僕が悩んでる時とか、ごはんと一緒に置いてくれてたりとか、韓国に行ってからは、実家から韓国に帰る日とか。そういう手紙をたくさんもらってて、言葉とはまた違う、文字だから感じるものってあるじゃないですか。母の気持ちをダイレクトに感じられるので、すごくありがたいなと思いますね。

でも逆に亡くなった直後はつらすぎて(手紙を)見ることができなかったんですよ。僕はいまだに母の動画も見れないです。動いてる姿を見ると泣いちゃうので。でも手紙は動画よりは間接的というか、母のあたたかみを感じることができるので、僕も周りの人に文字で気持ちを残していこうって思いました。それに歌手としては今回、こうして母に恩返ししたいという気持ちを曲にできたのはよかったなと思いますね。

--JBJ95の相方サンギュンさんはこの曲についてどういうふうに言っていましたか?

歌詞を完全には理解できてない部分はもちろんあったと思いますが、曲を聴いた時、彼はもともと言葉が少ないんで、ただじーっと曲を聴いて、自分の中で気持ちを消化しながら聴いていたようなイメージでした。それが逆にありがたいなと思いました。感想を言われるよりも、「うんうん」と言いながら聴いているのがすごく印象的だったし、ありがたかったですね。伝わったのかなと思ったし。

--この曲をどんな人に届けたいですか?

「今は今しかない。だからこそ大切な人との時間を大切にしたい」というのが一番のメッセージですね。誰しも大切な存在ってあると思うんですよ。家族だったり、家族がいなくても大切な人だったり、人じゃなくてもペットだったり。その大切な人との繋がりによって学ぶこともあるし、力をもらうことがあると思うんです。今はコロナでなかなか人と会えない時期ですよね。この取材もリモートですし。でも、人と直接会うからこそ感じられるあたたかみってあると思うので、会いたい人に会えなくてさびしい思いをしている人や、行き詰まりを感じている人に聴いてもらいたいですね。

--最近は新型コロナウイルスの世界的流行により、活動もかなり制限されて不便な日々が続いていると思います。この間、新しく始めたことや挑戦してみたこと、ハマったことなどありましたか?

動画の編集を新しくはじめました! あと最近は今さらながらに韓国ドラマにハマりまして(笑)。今まで韓国にいるのに全然ドラマを見たことがなかったんですけど、最近やっとハマって、めっちゃ面白いと思って見ています。ドラマを見てると「演技してみたいかも!」って思っちゃいますね。最近は韓国ドラマを見ながら、セリフと感情をそのまま真似するというのをやっています。

そうすると言葉のニュアンスやイントネーションがわかるし、こういう感情の時ってこれぐらいの声量で言うんだ、こういう表情なんだというのがわかるので。ドラマを見ながら遊びみたいな感じでやってますね。機会があったら演技もしてみたいなと思いますし、韓国語学習にも役立つと思います。やっぱり語学って耳から入って口から出すのが一番いいので、おすすめです(笑)。

--動画編集といえば先日、KENTAさんがアップしていたファンミーティングへのお誘い動画はJBJ95のファンだけでなくK-POPファンの間でバズってましたね。

やっぱり僕だからこそわかる気持ちってあるじゃないですか。本当に大変だったので(苦笑)。こんなこと言ったらアレかもしれないですけど、今オタクしてる子たちってめちゃくちゃ恵まれてますから! 10年くらい前に僕がオタクしてた時なんか、めちゃくちゃ大変だったんですよ。特に、韓国のアイドルを応援するのって。情報もないですし、時代もまだそんなにグローバルじゃなかったので全部韓国語だったし、韓国に行った時も何が何だかわからないし、とか(笑)。

動画でも言ったんですけど、僕達自身もファンミーティングを見てもらいたかったんですよね。今回はオンラインだから少しでも見てみようかなと思ってくれた人を楽しませる自信は、僕にはあったので、だからそういう部分でアピールしましたし、共感してくれてたらうれしいですね。

--動画では他にも日本から韓国に帰った際の、2週間の自宅隔離の間の様子が興味深かったです。特に、2週間が明けた直後にコンビニに走っていったところがリアルで面白かったです。

本当にああなります(笑)。2週間も外に出られないと気持ちが落ちてくるんですよね。誰とも会えないし、日光にも当たれないし、風も感じられないという場所に2週間もいたらおかしくなってきて、最後はなんかもう全部爆発したかのように走っていきました(笑)。本当に!

もともとおでかけ好きなのに、一切外に出ちゃだめなので。本当に一切外に出なかったし、部屋とトイレしか行き来しませんでしたもん。もうどんどんどんどん自分の中で「うわあああああああ」ってなっちゃいましたね。本当にね、普通にごはんが食べられることだったり、外に出てコンビニに行くだけのことがどれだけありがたいことなのかっていうのが心底感じた2週間でしたね。今はコロナで大変な人たちがたくさんいるし、僕ももちろん大変ですけど、それでもマイナスにだけとらえるのはよくないなというのを感じました。

--コロナがおさまったらやりたいこと、考えていることはありますか?

実家に帰りたいですね。今まで日本に行くことがあっても実家には帰らなかったんですよ。実家に行っても日帰りとか、一泊くらいで。友達に会いに行ったり旅行に行ったりしてたので。だから僕の人生で初めてです、こんなに家族に会いたいと思うのって(笑)。そういうのもきっと母が教えてくれたんだなと思います。早く実家に帰りたいです。甥っ子、姪っ子が大きくなる前に、ちっちゃい時の様子を直接この目で見ておきたいなっていうのもありますね。あとは旅行に行きたいですね。日本でも、日本じゃなくても。

仕事では、今回は意味のある曲を日本語で出させていただいたんですけど、日本で活動したいというのはありますね。JBJ95としても、ソロとしてもバラエティ番組に出たり、ラジオに出たり、いろいろな方とコラボして、たとえば服を作ってみたり、化粧品を作ってみたり…。興味のあることがすごく多いので、いろいろな挑戦を日本でもしていきたいと思ってます。

--まだしばらく会えないかもしれない日本のファンのみなさんにメッセージをお願いします。

ファンのみなさんだけでなく、日本にいるみなさんに伝えたいんですけど、コロナでまだまだストレスも抱えて、大変な時間を過ごしている方がたくさんいらっしゃると思うんですけど、大切な家族や友達、気の合う人と会いながら、少しでも楽しい時間に変えていってもらいたいなと思います。

コロナを通して学んだこともたくさんありました。もちろん、みなさん一人ひとり学んだこともたくさんあると思うんですけど、学んだことを生かして、一緒にいい未来にしていけたらいいなと思うので、体調には十分気をつけていただいて、また僕が日本に行けるようになったら直接お会いできるのを楽しみにしています。なので、その時までどうかお体に気をつけてほしいです。早くみなさんに会いたいです!

Information

JBJ95 JAPAN Twitter @JBJ95_Japan

JBJ95 OFFICIAL(韓国語)@JBJ95_official

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