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三浦春馬、美しき瞬間。

  • 2020.8.18
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今回は、映画の紹介はしません。フィガロジャポンのある連載名について書きます。

『FIGARO HOMME彼との瞬間。』この連載がスタートする時、新連載が始まる時はいつでもそうなのですが、どういうタイトルにするかとても悩みました。どんな媒体もそれは同じだと思います。素敵な男性の表現者やクリエイターを紹介する内容で、読者に対してどんなメッセージを投げかけたいか。読者は取材対象者の姿に恋するような気持ちを抱いていると仮定したら、そのページを開いた「瞬間」に世界が変わる――そんな写真を掲載することがこの新連載の定義。「彼」の表情や佇まいや言葉で、そのページと出会った読者の世界までも美しくしたい。そういう想いをどういうタイトルで表すべきか。

フィガロジャポン2015年10月号より。三浦さんの回は、「パリの恋人。」という見出しでした。パリのムーリスなどで撮影されています。今回このブログを書こうと思ったきっかけは、ある方が送ってくれた映像です。三浦さんの突然の不在を知った時、その方は、電波が届きにくい秩父の山奥で撮影していたそうです。濡れたような花や緑が奥深い映像でした。

三浦春馬さんを初めてテレビの画面で観た時、真面目な表情から笑顔に変わる瞬間、世界がすーっと変わりました。とても若い頃の三浦さんでした。俳優という表現者にとって、絶対的な資質を持っている人だな、と思いました。その表情で、佇まいで、ひとつの世界観を創りだして、観る人たちに感慨を与える。表現者・三浦春馬さんからインスパイアされた想いから、「彼との瞬間」という言葉を提案し、現在も続く連載名に落ち着きました。この連載に実際に三浦さんが登場してくださったのは、Vol.15になってからでしたが。

突然の不在のニュースを耳にした時に、嘘であってほしいと思い、いまでも心身の一部が抉られ、ぽっかり穴が開いてしまったように虚無感を感じている人は多いと思います。

開いた窓の前で立ち止まらずに、見過ごすことは難しいのかもしれません。映画『ホテル・ニューハンプシャー』でロブ・ロウが演じた繊細な心の持ち主、ジョン・ベリー役なんて、三浦さんが演じたらとても素晴らしかっただろうなどと、ふと空想したりもします。

ただ、三浦さんが出演した作品の中に、美しい「瞬間」がたくさん存在しています。その残像を観て、世界が変わる「瞬間」が、きっとこれからもたくさんの人々の心の中に生まれると私は信じています。

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