リモートワークで業務時間が曖昧に。断るにはどうしたらよい？

Q．定時を過ぎたら仕事はしたくない…対応策は？

正社員で月給制で働いていますが、リモートワークになり、上司から業務時間以外の仕事を求められます。メールが業務時間後にきても、「どうせ外出できないでしょ？」とのニュアンスを出されるとすぐに対応しないといけない雰囲気です。今後も全てではないもののリモートワークは継続されるようで、残業も申請できない状況なので定時を過ぎたら仕事はしたくないのですが、どう対応すればいいでしょう？

A．「定時外の仕事はしない」スタンスを保ちましょう

withコロナ時代、リモートワークによるリアルコミュニケーションが制約を受ける中、相談者さんのような悩みはオフィスで急増しています。毎日顔を合わせて、表情や顔色、何気ない仕草や声のトーンなどで同僚たちの様子を知る機会がないのですから、大変です。連帯感のない「自宅職場」で働くだけでも相当なストレスがかかっていると思われます。リアル職場とのつながりであるオンライン会議やメールやチャットツールも万能ではないので、様々な制約や課題が浮き彫りになっています。

まずははっきり、定時外の仕事はしないことを伝えてみて

働きすぎて体を壊しては元も子もありませんし、定時内でできない仕事は、そもそも仕事の振り方や内容が不適切だと考えてみてください。生命の危機にかかわることなどで、どうしても時間外に対応しなければならない仕事はありますが、一般的なオフィスワークで求められる仕事としては、業務時間内でやれないならば、おかしなことかもしれません。上司には、率直に「定時外の仕事はお断りします」と、はっきり告げるようにしましょう。

上司自身も慣れないリモートワークで仕事の振り方に戸惑っているのかも

ただ、今回の相談者さんの具体的な職種や業種がわかりませんが、上司自身も慣れないリモートワークで仕事の振り方が乱暴になっている様子です。どうせ外出できないからできるよね？と頼むのは、いかがなものかと思います。

本来、職場は大人同士が信頼関係によって分業して支えあっている、尊い居場所でもあります。

相談者さんが、定時内にやることがないとか、やる気が出ないからと業務をさぼっていて、定時外で自宅で趣味や余暇を楽しみたいというわけでないなら、与えられた時間内で「生産性を上げる」ための業務に集中してください。仕事は「チーム」で行うものです。みんなが、定時内に仕事を仕上げることが理想です。しかし、一緒に働く誰かが定時以外でのしわ寄せを大きく被っているのであれば、上司を含めた関係者で納得のできる働き方ができるように話し合い、業務プロセスを改善する必要があるでしょう。

リモートワークだからこそ可能な業務もありますし、リモートでしかできない業務を引き受け、リアル職場に貢献するという考え方もあります。「定時内に仕事を完結できるように能動的に働きかけること」も、正社員で月給制で雇用が保証されている相談者さんの業務には含まれてくることに気づいてくれると、キャリアカウンセラーとしては嬉しいです。

身近な上司とのコミュニケーションから変化の波を起こしてみて

一朝一夕には職場の雰囲気や体質は変わりませんが、コロナ禍による急激なリモートワークへの変化は、働く人の心身の負担を増大させました。職場の規模の大小にかかわらず、適切な対応を模索する過渡期です。労使関係、経営状況、職場の雰囲気、業態、職種、働く人たちの意識等によって、解決策は千差万別ですが、大変さを分かち合おうとする心を持ち続けることは忘れないでほしいです。

未知の感染症によって、世界中に命の危機や不幸せが蔓延していますが、心身の健康が最優先に考えられる社会、安全な職場になることがすべての人の願いです。職場が心理的・物理的に安全であれば、その職場で提供される財やサービスを受け取る顧客にも幸せの連鎖がおこります。与えられた時間内で職場に貢献できる仕事のプロ意識をもって、身近な上司とのコミュニケーションから変化の波を起こしていきましょう。