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脅し文句に要注意!保育園で実践している、ほめ方・しかり方【トイレ編】

  • 2020.8.18
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こんにちは、保育士の中田馨です。前回から「子どもへのほめ方・しかり方」についてお伝えしています。今回は、子どものおむつはずれやトイレのときに、保育士が現場で実際にどのような声かけをしているかお話します。

良かれと思って言ってしまう言葉を言い換える

おむつはずれの時期は、ちょうどイヤイヤ期と重なるので、親の思い描くようには進まないものです。子どもを励ますためにも、ママが工夫して様々な声かけをすることが大切だと思います。

まず、良かれと思って言っている言葉を一度見直して、言い換えてみましょう。

例えば「トイレでうんちできるようにならないと、サンタさんが来ないよ」と言ったとします。ママとしては子どもに頑張ってもらおうという思いで声かけしていますが、子どもは言葉のままストレートに受け取ります。

「トイレでうんちができなかったらサンタさんが来ない」

これがプレッシャーになって、余計トイレに座れなくなるのです。もし、パンツの中にうんちをしたとしても「うんちが出てスッキリしたね」と、うんちが出た気持ちよさにフォーカスを当てるようにしましょう。

大人は当たり前にトイレに行きますが、子どもにとってはやはり難しいもの。体の発達と精神的な成長の準備が整ってようやく、トイレでおしっこやうんちができるようになるので、子どもの成長を楽しみながら進めていきましょう。

「トイレに座りたくない」と泣くとき

つい先日まで、トイレにすんなり座っていたのに、急に「トイレ、いや!」と座らなくなることがあります。順調にトイレに行けるようになっていたからこそ、ママとしては「どうして?」と不思議に思うことでしょう。抱きかかえてトイレまで連れていき「おしっこするよ!」と言って、走って逃げられた! なんて経験のある方もいるのではないでしょうか。


子どもがトイレを嫌がる原因はさまざまです。遊んでいる途中だからイヤ、何度もトイレに連れていかれるのがイヤ、トイレの空間が怖い、おもらししたときに怒られた経験からイヤになった、などなど。とにかく、今はトイレに座るのがイヤなのですから、一回休憩しても問題ありません。しばらくおむつ生活をして、生活の節目に誘うことから再チャレンジしましょう。

トイレに座れたら「やったね! トイレに座れたね。ママと一緒だから大丈夫だったね」と座れたことをほめます。トイレに座りたくなさそうなときはやめてもOKですが、保育所ではこんな方法も試してみています。子どもが「イヤ」と言っているときは、大人の言葉を受け止める余裕はありません。ひとまず膝の上に抱きしめ、そして、トイレ前でしばらく2人で座ります。このとき、多くは声かけしないのがポイントです。「そうか、トイレに行きたくなかったんだね」と気持ちに共感するくらい。ゆっくりと気持ちを受け止めてもらった子どもはしばらくすると「トイレ行く」と自分から行くことが多いです。おしっこが出たら「おしっこ出てスッキリしたね!」と思い切りほめてあげましょう。

「パンツはイヤ! おむつがいい!」というとき

順調におむつからパンツに移行していたのに、突然「パンツはイヤ」宣言をする子がいます。パンツを履くことは成長の大きな変化。だからこそ、おむつに戻ることに抵抗を感じるママも多いかと思います。そんなとき、「おむつは赤ちゃんが履くものだよ」と言って、子どもの気持ちをなだめようと声かけすることもあると思います。

でも、ここは子どもの気持ちを尊重して「OK! じゃあ、おむつをはこう」という声かけにしてみましょう。おむつを履くことで成長が遅れるわけではありませんので、心配しなくても大丈夫。とはいえ、もう一度パンツを履いてもらいたいと思いますので、子どもが好きなキャラクターのパンツを一緒に買いに行くのもいいでしょう。

再びパンツが履けたときは「カッコいい!(かわいい!)」「似合ってるねえ!」と言って大袈裟なくらいほめましょう。また、子どもの「パンツはイヤ!」は、「このパンツがイヤ!」という場合もあります。他のパンツを見せるとすんなり履くことがありますので、子どもが何に「イヤ!」と言っているか、ゆっくりした気持ちで聞いてみましょう。

遊びに夢中になっておもらしをするとき

遊びに夢中になっている間に、おもらしをしてしまうことはよくあります。「トイレに行こう」と誘っていたにもかかわらずおもらしをするので「ほら、言ったでしょ!」「トイレでしなさい!」と言ってしまうこともあると思います。


保育士は、子どもがおもらしをしたときは大騒ぎしないように心がけています。「おしっこ出たね。着替えようか」と言って、お風呂に連れていき体を洗って着替えをするだけです。子どもが一番失敗してしまったということをわかっています。ですので、この場合は誘うときの言葉を考えていきましょう。

例えば数字が読める子なら「時計の長い針が1に来たらトイレだよ」と誘います。他には「ピピっと鳴ったらトイレに行こうね」とタイマーを使ってもいいです。遊んでいる途中で急に「トイレに行こう」と言われてもなかなか行きにくいものです。ですので、トイレに行く目安を先に大人が示してあげます。そして、時間になりトイレに立つことができたら「トイレに行けたね! すごい!」とほめましょう。


トイレ周りでの子どもの困った行動は、大人の気持ちと言葉を換えるだけで、子どもへの伝わり方が変わります。今回の【トイレ編】に関しては、ほめることは多くありますが、しかることは正直ありません。しかるとすれば「便座の上に立った」など危険なことをしたときだけ。焦らず子どものペースに合わせつつおむつはずしを進めていきましょう。


著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨

0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。『いっぺんに作る 赤ちゃんと大人のごはん』(誠文堂新光社)も発売中!

ベビーカレンダー編集部

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