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全てが事足りる街、有明ガーデン【辛酸なめ子の東京アラカルト#41】

  • 2020.8.10
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(2階のプロムナードには座れるスペースがあって、右を見ても左を見てもマンションという人工的な景色を観賞できます)

このご時勢なので、ひっそりと開業していた巨大商業施設がありました。東京湾岸エリア最大級、200店舗以上の大型ショッピングセンター、有明ガーデンです。

周辺はタワーマンションが林立しているので住民の方にとっても朗報だと思われます。商業施設好きとして、開業して2週間後くらいに伺いました。

全てが1000単位というスケール感

地図を見ると、有明ガーデンの敷地には、有明四季劇場(ライオンキングのロングラン公演を開催)、約6800平米の有明ガーデンパーク、ホテルヴィラフォンテーヌグランド東京有明、3000平米もの温泉施設「泉天空の湯」、8000席もある劇場型ホールといった施設がショッピングセンターの周りを囲んでいて、全てが1000単位というそのスケール感に圧倒されます。

しかも珍しいのは住友不動産によるショッピングセンターというところ。三井不動産グループのららぽーと、東急のグランベリーモール、セブン&アイのアリオやグランツリー武蔵小杉、などそれぞれテナントの傾向やカジュアル度など感覚的にわかる感じですが、住友不動産系は初体験で予測がつきません。

行ってみて、ショッピングセンターの建物の雰囲気はグランツリー武蔵小杉とちょっと似ている印象がありました。1階には広大なスーパーがあり、イオンスタイル有明ガーデンが入っています。トマトだけで一列が埋まる程の充実ぶり。

これだけ種類があればタワマン住民同士でもかぶらなさそうです。すごい広いのでかなり運動になりました。

幸せファミリー像が想像できる施設

2階はファッションや雑貨、カフェなどもある楽しい空間。どこからか拍手が聞こえてくると思ったら、誰でも自由に弾けるという「LovePiano」が設置してあり、列ができるほど人気でした。

(誰でも弾けるフリーピアノコーナー。皆さんかなりレベルが高く、ギャラリーも多いので半端な演奏はできなさそうです)

おじさんがショパンの「月光」を情感こめて弾いている姿を、奥さんらしいマダムが動画で撮影していたり、ゆずの曲をアレンジして弾きこなす若者がいたり、常にギャラリーが取り囲んで拍手が巻き起こっていて、かなりの注目度でした。有明の住民は音楽の嗜みがある方が多いのでしようか。

アパレル系は、他のショッピングモールでは見かけることが多いユナイテッドアローズとかビームス、ジャーナルスタンダードといったセレクトショップがないのが意外でした。メジャー系ではアーバンリサーチとH&Mが入っていて、あとはマイナーなカジュアルブランドが多かったです。有明の住民は、マンションが高額なので衣服代は抑え気味なのかもしれません。

3階には有明のマンションを売り出している住友不動産販売が入っていたのですが、7000万円から億ションまでかなり価格帯が高いです。

安くても4000万円代という感じで、4億8000万円(366平米)の物件もありました。タワマンは1億円前後して、富士山や運河が見えるという眺望を売りにしている部屋も。東京を眼下に見渡せるし、こんなに便利な施設もあるし、住んだら有明からほとんど出なくても良いくらいです。

しかも4階には子供服やおもちゃの店、ガーデニング用品、書店、保険の店、学習塾まで揃っていて、この施設で人生の全てが揃うといっても過言ではありません。幸せファミリーの一生の走馬灯が流れていきます......。

(やっぱりマンションには植物を置きたい......という住民のニーズに応えたガーデニングのお店も)

5階の飲食フロアは衣服に比べて充実していて、タワマンのローンを返していくエネルギーを養えそうです。豊洲市場が近いからか寿司など魚介料理も豊富そうでした。

(5階の水のテラスには噴水や、水が吹き上げる設備もあって有明の子どもたちが楽しそうに遊んでいました)

有明ガーデンシティのショッピングセンターを歩き回っただけで一生終えたような心地よい疲労感が。そのあとに進む天国的なスポットは、大規模天然温泉「泉天空の湯」です。

本来は天然温泉で、コロナの関係で手続きが遅れて当面は上水だそうですが、そんなことが気にならないくらいきれいで充実したスパ施設でした。炭酸泉や寝ころび湯に浸って、つかの間の極楽を堪能。一生の走馬灯から死後の天国まで体感できて、人生の経験値が高まったようです。

(「泉天空の湯」の女性専用休憩スペース、マーメイドラウンジがかなりゴージャスでした。レインボーブリッジも見えます)

辛酸なめ子

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。

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