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第五のウニは大型|怪魚の食卓⑮

  • 2020.8.7
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これを知っていたら本当のウニ好き!見た目がグロテスクだったり、生態が摩訶不思議だったりする怪魚たち。日本にいるまだまだ知られていない美味しい怪魚をご紹介します。

第五のウニは大型|怪魚の食卓⑮

■夏が旬の南のウニ「シラヒゲウニ」

ウニ好きを自負していても、シラヒゲウニを知っている人は少ないだろう。たいていはムラサキウニ、バフンウニどまり。詳しい人ならキタムラサキウニ、エゾバフンウニまでわかるだろうがそれで十分。日本ではこの4種類が主に食べられている。”第5のウニ“というべきシラヒゲウニとなるとかなり地域が限定される。

シラヒゲウニは南方のウニで、多くは奄美諸島から琉球諸島で水揚げされる。沖縄でウニといえば実はこのシラヒゲウニである。トゲが短くてバフンウニに似ているが、それよりも大きくて殻径10㎝、殻高6㎝に達する。殻全体に無数の白いトゲを持つ。その名の通りに白髭をはやしているようで、ちょっと気持ち悪い。初めて見た人は尻込みするだろう。

ほかのウニと同様、生殖巣を食べる。南方の海の幸によくあるように少し旨味に欠けるという人もいるが、それが決して欠点にはなっていない。ほかのウニにないおおらかな食味があり、それが大きな特長になっている。濃厚さがほどよく、ふっくらとした甘さはどこか若々しい。ウニの身の部分の明るく鮮やかな黄色はトロピカルで、南国の果実を思わせるような香りさえ感じる。いや何よりもその食べ応えは魅力だ。殻を縦半分に切り、スプーンですくって食べると一個で大満足できる。ウニ丼もいい。身がたっぷりあるから、大きめの丼を用意したい。たいてい、ウニとごはんの間にきざみのりを散らす。これは風味を高めるだけではなく、ごはんの熱でウニの味を損なうのを防ぐための工夫である。

シラヒゲウニ丼
①丼にひと肌ほどの温かさのごはんをよそう。きざみのりをのせる。
②シラヒゲウニの殻を縦半分に切り、身をとり出す。きざみのりの上にのせる。

シラヒゲウニ丼
シラヒゲウニ丼

――解説

「野村祐三」

日本全国の漁師町を精力的に取材して50年。漁師料理に関する経験と知識は右に出る者なし。『旬のうまい魚を知る本』『豪快にっぽん漁師料理』など地魚の著書多数。


文:小泉しゃこ イラスト:田渕正敏

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