1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 一家の稼ぎ頭が死亡したら?遺族年金の受給額と貰えるケースを解説

一家の稼ぎ頭が死亡したら?遺族年金の受給額と貰えるケースを解説

  • 2020.8.2
  • 38183 views

遺族年金は大きく分けて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類あり、どちらがもらえるかは、死亡した本人が加入していた年金制度により異なります。また、どちらの年金も受け取るための要件として、「死亡した人」「遺族として認められるか」「保険料の納付」の3つを満たす必要があるのです。2つの年金制度と受給の要件について見ていきましょう。

■遺族年金がもらえる要件とは

遺族基礎年金と遺族厚生年金について、受給の要件を確認しておきましょう。

●遺族基礎年金

遺族基礎年金が支給されるには、以下の3つの要件を満たしていることが必要です。

①死亡した人の要件
1.国民年金に加入中である
2.国民年金に加入していた60歳以上65歳未満の人で日本国内に住所がある
3.老齢基礎年金の受給資格がある
4.老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある

②遺族として認められる要件
死亡した人に生計を維持されており、同居していた遺族の前年の年収が850万円未満、または所得が655万5,000円未満の場合や、別居していても仕送りや扶養親族として認められていれば、以下の要件において支給されます。

1.子のある配偶者
2.子(18歳到達年度の末日までの子、または障害等級1級か2級の20歳未満の子)

③保険料の納付要件
死亡した人の要件で、国民年金に加入中、または加入していた場合には、「死亡日の前日の段階で、死亡日が属する月の前々月まで加入期間があり、かつ保険料滞納期間が1/3を超えていない場合」を満たすことが要件となります。

●遺族厚生年金

遺族厚生年金については、以下の要件となります。

<受給の要件>
①死亡した人の要件
1.厚生年金保険に加入中である
2.被保険者期間の傷病が原因で初診日から5年以内に死亡した
3.障害厚生年金の受給を受けられる障害等級1級または2級の場合
4.老齢厚生年金受給者、または受給資格期間を満たしている

②遺族として認められる条件
優先度から順に見ていきましょう。
1.配偶者(夫が55歳以上)、子(18歳到達年度の末日までの子、または障害等級1級か2級の20歳未満の子)
2.父母(55歳以上)
3.孫(子と同様)
4.祖父母(55歳以上)

30歳未満で子のいない妻は5年間のみの受給となります。子や孫が婚姻している場合は遺族とみなされないようです。

③保険料の納付要件
遺族基礎年金と同様です。

■遺族年金の支給額ケース①死亡した人が自営業

死亡した人が自営業の場合、「遺族基礎年金」が支給されます。ここでは、 『死亡した夫(自営業)、妻(42歳)、長男(16歳)、長女(13歳)』の4人家族を例として支給額(年額)を計算してみましょう。

遺族基礎年金(年額)は、781,000円と「子の加算」によって支給額が決まります。「子の加算」は1、2人目まではそれぞれ224,500円(3人目以降は74,800円)となるため、長男、長女分を加算すると、当初の支給額合計は1,229,100円になります。

長男が18歳を迎え長男分の加算がなくなると、支給額は1,004,600円となり、長女が18歳を迎えると支給されなくなります。

■遺族年金の支給額ケース②死亡した人がサラリーマン

死亡した人がサラリーマンの場合、「遺族厚生年金」が支給されます。さらに、遺族基礎年金の支給対象でもあるため、「遺族基礎年金+遺族厚生年金」が支給額となるのです。ケース①と同じ家族構成で『死亡した夫がサラリーマンであり、厚生年金加入期間が35年、平均標準報酬額を30万円』というケースの支給額について見ていきましょう。

遺族厚生年金の支給額は、死亡した人の厚生年金加入期間や報酬額により異なります。今回のケースを計算に当てはめると、遺族厚生年金(年額)の支給額は、517,955円です。

これに、ケース①と同じ遺族基礎年金の支給額1,229,100円を加算すると、合計の支給額は1,747,055円となり、長男が18歳を迎えると1,522,555円になります。

遺族基礎年金の場合は末子が18歳を迎えると支給されなくなりますが、遺族厚生年金の場合、妻や子の年齢要件によって、妻が65歳になるまで「中高齢寡婦加算」として586,300円(令和2年度)が支給されます。

■遺族年金の支給額は家族構成によって違う!急な不幸の前に手続きも

一家の稼ぎ頭である夫が死亡した場合、加入している年金制度や収入により、同じ家族構成でも全く異なることが分かりますね。家族に急な不幸があった場合、適切な支給を受けるためにも、必要な書類や手続き方法などを一度確認しておいても良いかもしれません。分からないことがある場合には、住所のある市区町村役場や年金事務所などに相談してみてください。

文・木村千賀子

元記事で読む
の記事をもっとみる