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産業医が教える、職場の「なぜか自分を攻撃してくる人」を賢くかわすワザ5つ

  • 2020.7.27
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緊急事態宣言が明けて出社する人が増えるにつれ、「テレワークのおかげで社内の苦手な人と距離をとれてよかったのに」とテレワークを惜しむ声も。今後、テレワークと出社のハイブリッド型勤務が可能な時代に、どうやったら苦手な人とうまく距離をとることができるのでしょうか。精神科医で産業医の井上智介さんに聞きました。

オフィスで話し合うビジネスウーマンのグループ
※写真はイメージです(写真=iStock.com/metamorworks)
苦手意識の根底にあるのは価値観の違い

人間関係で悩んで転職を考える人は多いでしょう。でも転職先でもきっと「苦手な人」はいます。なぜ、どこに行っても「苦手な人」がいるのか。

この苦手意識の根底には「価値観」の違いがあります。自分の心地いいと思える価値観が、人の好き嫌いに大きく関わっているのです。

私たちがもつ価値観は、幼少期から身につけてきたものです。幼少期に両親や先生など教育者から教わったことが根強く残っていて、それがベースになっているのです。

たとえば、親から「『いただきます』と言ってから食べなさい」と厳しく言われて育った人なら、それが自分の当たり前になって、みんなと食べるときも、一人で外食するときも、食べる前は「いただきます」と言います。

でも、そこまで強く言われずに育った人もいます。そうすると「いただきます」と言うように言われて育った人は、「なんで、あの人は『いただきます』って言わないの」と、ふと引っかかる。良い悪いではなく、自分の価値観に引っかかるんですね。それが価値観のズレであり、イライラの原因になってくるのです。

苦手な人の口癖は「あなたのために言うけど」

育った環境が違う以上、価値観が違うのは当然です。人間関係で肝心なのは、それをどこまで尊重できるかということです。

「苦手な人」というのは、たいていそこを尊重せずに指摘してくる人。そういう人は、価値観を尊重しないばかりか、自分の価値観を押しつけてきます。「あなたのために言うけど」というマジックワードで攻めてくるので要注意。プライベートにズカズカと踏み込んで攻撃してくる人もいます。それがけっこうしんどいという人は多いですね。

会社という組織は、友達選びとは違いますので、上司や同僚、部下などを自分のタイミングで選ぶことができません。「苦手な人」がいても遠ざけることが難しいのです。

実はこういう苦手な人対策として、リモートワークは非常に有効でした。人間は心の距離と物理的な距離が合致していると心が安定します。リモートワークなら心理的に距離を取りたい苦手な人と、自然と物理的な距離を保つことができたわけです。

それが、緊急事態宣言が明けて、また出社するようになると、意識して心の距離をとっていかないといけません。

土足で踏み込む相手に「無関心」でいる方法

では、どうやったら心理的距離をとることができるのでしょうか。いちばん距離をとれるのは「無視」です。リモートワークでは、「無視」することも可能だったわけです。出社が当たり前になってくると、とくに相手が上司の場合は無視するわけにはいきませんから、その一歩手前の「無関心」が大きな解決策となります。

とはいえ無関心を装うのも、なかなか難しいもの。そのときに有効なのが、あるイメージ像をつくって、そこに自分を寄せていく方法です。「キャラを演じる」と言うとわかりやすいでしょうか。私がおすすめしているイメージ像は「凛とした自衛官」。表面的には丁寧で穏やか、凛としたいい人だけど、正直何を考えているかわからない、自分を第一に考えて守る自衛官。これは特に自分を攻撃してくる人に有効なイメージ像です。

攻撃してくる人というのは、相手の反応がわかると、面白がってより攻撃してきます。でも何を考えているかわからない人は攻撃しにくい。攻撃欲求をそぐのです。

攻撃的な人の攻撃欲求をそぐ5つのポイント

攻撃的な相手を前にしたら、次の方法でうまく逃げましょう。

① リアクションを減らす

思わず泣いてしまったり、言葉に詰まったりして感情をさらけ出すと、相手の思うツボです。なにしろ相手はリアクションをしてほしいわけですから、こちらが感情を乱すと、攻撃欲求を刺激してしまうので気をつけましょう。

② 表情をさとられない

相手に自分の表情をさとられないことも大事です。そういう意味でマスクは、非常にいいツール。感染対策と関係なく、大いに活用しましょう。

③ 言葉数を減らす

攻撃する人は、こちらの言葉の揚げ足をとって、そこから自分のペースに巻き込んでいくので、こちらがしゃべるほどリスクが生まれます。「こう思う」「その理由は」なんて、自分のことを話すのはNG。「沈黙で間をとる」ことも強力な武器になります。

④ 主語を大勢にして答える

たとえば「結婚しないの?」と悪気なく踏み込まれたときは、「今どきの若者は晩婚ですから」と主語を自分ではなく、その他大勢にして、のらりくらりかわすとよいでしょう。

⑤ 短く言い切る

うわさ話に巻き込まれたら「あ、そうなんですね」と言葉としても短くいい切って、第三者的に乗り切ることが大切です。その話には全く興味がないというふうに装いましょう。

社内の人全員に対して一貫して「凛とした自衛官」キャラを演じるのもありですが、それもなかなか難しいでしょうから、まずは苦手な人に対してだけ、なりきってみるとよいでしょう。

とはいえ、特定の相手にだけ無表情にすると、逆に怒らせることもあるので、極端に振り切らないこともポイントです。無表情にしていればいいというわけではなく、泣いたり困ったり……といった感情を出さないこと。つまり相手が期待するようなリアクションをとらずに淡々とフラットにいることが大事なのです。

上司に認められるより大切なこと

いくら苦手な上司とはいえ、将来のことを考えると、上司にはある程度、認められたい、嫌われたくない、という思いは当然あると思います。でも、そこは気にしないほうがいい。

やはり働いている人は、自分を守ることが第一の業務です。自分が傷ついてまで、昇進を目指す必要があるのかどうか疑問ですし、そもそも昇進して活躍することも自分の健康があって初めて成立するものです。

認められる場所は、職場だけではありません。それよりも自分を守り、もっと自分が輝ける場所を探していくことが大切なのではないでしょうか。

写真=iStock.com

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

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