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家族や友人が落ち込み、不安になっていたらどう接するべき?NGワードは?

  • 2020.7.20
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落ち込んでいる人にどう対応する?
落ち込んでいる人にどう対応する?

新型コロナウイルスの流行を機に、それまでの生活が大きく変わった人も多いのではないでしょうか。中には、「仕事を失い、経済的に苦しくなった」「感染が怖くて自由に外出できない」「将来が心配」などの悩みを抱え、不安になったり、気持ちが落ち込んだりすることもあるかと思います。

もし、家族や友人、知人といった身近な人が落ち込んでいたり、不安になっていたりした場合、どのように対処するのがいいのでしょうか。また、その際、相手に掛けてはいけない言葉はあるのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

相手を鼓舞する言葉はNG

Q.落ち込んでいる人や不安にさいなまれている人が身近にいた場合、どのように対処するのがいいのでしょうか。

小日向さん「相手との関係性によります。家族や親友などかなり近い存在であれば、こちらから、『落ち込んでいるみたいだけど大丈夫?』などと声を掛けた方がよいですが、それほど親しい存在でない場合は、積極的に関わることはせずに様子を見た方がよいでしょう。

相手もそれほど親しくない場合は、感情でなく、事実だけを伝えてくることが多いです。例えば、新型コロナウイルスの影響を受けた人が『行政に給付金申請したよ』などと話すケースです。そうしたときは詳細を聞きだそうとせず、『そうなんだね。何か自分に手伝えることがあったら遠慮なく言ってね』といった受け身の姿勢で対処するとよいでしょう」

Q.落ち込んでいる人や不安になっている人に掛けるべきではない言葉はありますか。

小日向さん「『頑張れ』といったような鼓舞する言葉は避けましょう。落ち込んでいるとき、不安が強いときというのは心が疲れている状態です。そうしたときに鼓舞する言葉を掛けると、相手をさらに追い詰めることになってしまいます。

また、『もっとつらい人はいるんだから』といった比較表現も、相手との間に強い信頼関係がある場合以外は避けた方がよいでしょう。その人にとっては周りなどどうでもよく、『今の自分』がつらくて大変だと訴えているのです。人は、何とも比較されることなく、今の自分だけを受け止めてもらえたと感じたときに、初めて心を開いてその人からのアドバイスや意見に耳を傾けるようになれるのです」

Q.人から悩み相談を受けた場合に心掛けるべきことや注意点はありますか。

小日向さん「心掛けていただきたいことは『相手を否定しない』ということです。相談されたことが自分の価値観と異なったり、社会倫理に反したりすることであっても、それがその人にとっての真実なのです。『この人の真実はこうなのだなあ』と俯瞰(ふかん)的に聞いていれば、腹が立ったり、意見をしようとしたりという気持ちは起きません。

ただし、『相談されて無条件に受け入れる』という関係をむやみに続けていくと、相手に依存されてしまう可能性や自分自身も相手の世界にはまってしまい、『共依存』関係に陥る可能性もあります。

相手の感情に寄り添いつつ、良好な関係性を築くことは、テクニックとシステム(中立的な他者の介入など)を必要とします。相談されることがつらいと感じるようになったら、感情面のサポートはやめましょう。代わりに専門家への相談をすすめたり、情報だけを提供したりするなど、違う面でのサポートに切り替えることをおすすめします」

Q.相手に通院をすすめた方がよい目安はあるのでしょうか。

小日向さん「目安としては、通常の社会生活が送れなくなっているときです。職場の同僚であれば、最近1カ月で遅刻や欠勤が続いたり、仕事のミスが急に増えたりしたような場合です。『最近何かあった?』といった聞き方から入り、相手から睡眠障害、倦怠(けんたい)感、食欲不振や過食、抑うつの状態が2週間以上続いていると打ち明けられたときは、医療機関での受診をすすめてあげてください。

また、ハラスメントなど原因があってうつ状態になっている場合でも、問題解決と並行して、医療の介入により身体症状を楽にしていくことは大切なことです。同様に受診をすすめてください。

必ず医療機関の受診をすすめていただきたいケースは、相手から『死にたい』などの消滅願望が出たときです。信頼関係が構築されている相手の場合、様子がおかしいと感じたら単刀直入に『死にたいっていう気持ちはある?』と聞いても構いません」

Q.相手ではなく、自分が落ち込んでいるときや不安にさいなまれているときは、どのように対処したらいいのでしょうか。

小日向さん「落ち込みや不安の原因が分かっているときはそれをどうしたら取り除くことができるのか、その方策を考えましょう。そして、『誰かに相談してみる』『ストレスとなるものをやめてみる』など具体的な案が浮かんだら、それを試してください。ただ、ストレス除去に没頭し過ぎると、それが新たなストレスになるというジレンマに陥りがちです。必ず適度に気分転換を挟みながら問題解決を進めることが大切です。

ここで注意していただきたいのが、あまりにも心が疲れてしまうと『考える』という作業自体がおっくうになることです。例えば、『方策を考えると聞いただけで憂鬱(ゆううつ)になる』『頭が働かず物事の選択ができない』という症状が出てきたら要注意です。なるべく早く医療機関を受診してください」

オトナンサー編集部

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