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海外や外国人とのビジネスで恥をかかない「グローバルに通用するマナー」5つの原則

  • 2020.7.16
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働く環境もよりグローバル化が進む現代だからこそ、知っておきたいのが“プロトコール=国際儀礼”。真の国際化が問われる今こそ、身につけるべき教養なのだ。

国交を深める場の共通ルール、それがプロトコール

平成から令和へ時代が移り早1年。ビジネスの世界ではよりグローバル化が進むにつれ、外資系企業など国際的なシーンで働く人々はもちろん、ビジネスパーソンにとって、海外からのゲストをもてなす機会は増えると予想される。その際の知識と心構えは万全だろうか。

世界から注目を浴びる東京オリンピック
©西村尚己/アフロスポーツ

だからこそ身につけたいのが「プロトコール」である。聞き慣れない言葉かもしれないが、宮中晩さん会やサミットなど、公式行事や国際会議はすべてプロトコールに基づいて行われている。端的に説明すると「国交における、儀礼上の公式ルール」。国と国とがスムーズに交流を行うため定められたオフィシャルな規則であり、「一般社会におけるコミュニケーションのルール」である“マナー”とは異なることを理解したい。それぞれ日本語にすると「国際儀礼」と「礼儀作法」。ふたつは“似て非なるもの”なのである。

そこで、「日本人のすぐれた潜在能力を引き出し、日本を真の国際国家にすること」を理念に、27年以上にわたり各界のリーダーを指導してきた上月マリアさんに話を伺った。前述のプロトコールに精通し、国際的な紳士淑女の育成にも尽力している第一人者。言葉の随所に品格と重みが感じられる。

「まず歴史からお話しいたしましょう。礼儀作法の根底には、『自然界にあるすべての生命は尊い』という思想があります。ただ砂漠や寒冷地域など、生きていくのに厳しい環境では、自然は克服する対象になっていきました。そうした状況で生まれたものがキリスト教などの一神教で、やがてその教義や地域の慣習にのっとり国交が行われるようになります。しかし航海術が発達すると、宗教や文化の違いからトラブルが頻発するように。そこで19世紀初頭、イギリスとフランスの外交関係者が中心となって、現在のプロトコールがつくられたのです」

「世界中の皆が仲良く」という人間の英知の集大成

プロトコールが日本に入ってきたのは明治初期。国際社会へ仲間入りをするにあたって「国家として導入する必要がある」と、明治6、7年、当時の宮内省がイギリスのバッキンガム宮殿へ使者を送ったという。外交関係者をはじめ、皇室や華族、財閥など、当時外交の中心を担っていた人々が身につけたのが始まりだ。

「結局、プロトコールは“人の心と生命の安全”を重んじているのです。ゲスト全員に『私は大切にされている』と感じていただくために、ホスト側はどのように敬意を表現すればよいのか。どうしても平等に接することができない場合、どのように配慮すればよいのか。それらひとつひとつに応えるものなのです」ちなみに、プロトコールとはギリシャ語で“膠にかわ”を意味する。膠とは“のり”のようなもの。「違うもの同士でも、皆が仲良く」という当時の王族たちの思いが表れている。各国のマナーや信仰に配慮し、かつ合理的につくられたプロトコールにのっとることで、世界中で同じ格式が保たれる。もてなす側ともてなされる側の両方がくつろいだ気持ちで親交を深めることができるのだ。

▼グローバルな淑女のためのエチケット3原則
1. 人に好感を与えること
たとえば……「温顔」「足を踏まれた人も“Excuse me.”」
2. 人に迷惑をかけないこと
たとえば……「公共の場で騒がないこと」「TPOに合った服装と行動をすること」
3. 人を尊敬すること
たとえば……「敬老心」「レディファースト」「障がいがある人への配慮」 ▼インターナショナルな場で活用したいプロトコール5原則
1. 地域慣習と異文化・異宗教への理解【Local customs respected】
国同士の交流を円滑に行うためには、お互いの地域の慣習や文化を尊重することが第一。一方で自国の精神や文化も正しく理解する必要がある。
2. 序列に配慮【Rank conscious】
出席者に対する敬意表現として、並び順、入場順、席次、挨拶の順番まですべての場で序列が適用される。原則に従いつつ、TPOにより柔軟な対応を行う。
3. 右上位【Right the first】
レストランや乗り物での席、エスコート、国旗の掲揚に至るまで、右側が上位となる。テーブル席では、主催者の右隣に座る人が最上位の主賓者。
4. 答礼・相互主義【Reciprocation】
交流は必ず相互であること。接待を受けたなら、同様に接待の場を設けて返礼する。国際間の慶事や弔事でも、同程度の答礼を行うのが儀礼になっている。
5. レディファースト【Lady first】
建物の出入り、エレベーターの乗り降り、道を歩くとき(男性が車道側)など、宗教的な制約がある場合を除き、欧米諸国では日常生活に浸透している。

具体的には上に挙げた、国や時代を超えて大切にされる心のあり方「エチケット3原則」や、世界共通の敬意の表し方を示した「プロトコール5原則」に詳細が記されているので、ぜひ読み込んでもらいたい。そして最後に、プロトコールの核であり、“高貴な者の義務”などと訳される「ノブレス・オブリージュ」について触れておく。

「それはすなわち、社会的上位者が身につけるべき『人として望ましい心のあり方、振る舞い方』です。唯一無二であるお互いを理解し、敬う。そのために生まれたプロトコールは、長い歴史の中で培われてきた人間の英知の集大成といえるのです」

グローバルな女性の気品ある振る舞い10カ条
1. 1回1動作

落ちている物を拾う場合は「近づく」「しゃがむ」「拾う」「立ち上がる」。それぞれの動作をていねいに行う。すると精神が安定し、周囲にもその状態が伝わる。また「いつどこで何をしたか」に対して意識的になり、トラブルを未然に防ぐことができる。決して“ながら動作”はしないこと。

2. ゆったりと落ち着いて

「ゆったりと、はっきりと、ていねいに」は紳士淑女の会話の基本。スピーチも同様で、大勢の人々に1度に同じ内容を伝えるためには、滑舌を含めてこの手法が重要になる。また女性リーダーとしてチームを束ねる際にもこの心構えが有効。実践し続けることで自然に風格が備わる。

3. 下半身はしっかりと、上半身はふんわりと

大切なのは姿勢を正すこと。するとこのリラックスした状態が得られる。見た目が美しいことで周囲から信頼も得られ、脳に酸素が行き渡るので思考もさえるという最良の状態に。古今問わず、人間の潜在能力を引き出すのが「立腰りつよう」。リーダーたるもの、日々腰を立てることを意識して。

4. 首を曲げない、ヒジをつかない

貴族の教養で、一流のレストランでメニューを見るときなど、首や背中を曲げたり、ヒジをついたりするのは下品とされる。現代人はスマートフォンを見る姿勢に要注意。背筋を伸ばし、優雅な動作を心がけたい。

5. 髪は触らない、鼻はすすらない

海外のゲストからすると、髪や顔を触る行為は不潔であり、特に鼻をすする音は気持ち悪いと受け取られる。無意識に行ってしまうことが多いが、グローバルなシーンにおいては、意識して避けるべき行為である。

6. 拍手は評価

拍手とは“評価”であり、位の高い人(高位者)に拍手をしてはいけない。ゆえに、天皇が記者会見を行った場合、意見を述べたあとに拍手をすることはないし、するのはNG。これは知識として知っておきたい。

7. 高位者の前で足は組まない

上記6の拍手と一緒で、高位者の前で許可なく足を組むのは禁じられている。高位者が先に足を組んだ場合は「このあとはリラックスしてOK」という合図になることも。

8. 口に手は当てない

日本人がやってしまいがちなのが、口に手を当てる動作。言葉が聞き取りにくいだけでなく、外国人には「何かやましいことがある」と受け取られ、不信感を与えてしまう要因に。何より「コミュニケーションの意思がない」と判断されるので、ビジネスシーンでは絶対に避けること。

9. アイコンタクトを忘れずに

目は心の窓。アイコンタクトは挨拶から最後のお礼まで基本中の基本。目をそらすと「嫌われているのでは」というマイナスの感情を抱かせてしまうので注意。目を左右にそらすと注意力散漫という印象を与えてしまうので、見つめるのが苦手な人は、一瞬だけ下にそらすのがコツ。

10. 正しいマナーでエスコートする

プロトコールにのっとった正しいマナーでエスコートすることは、上位者への敬意表現。案内をするときは、「プロトコール5原則」に「右上位」とあるとおり、上位者に右側を譲り、2、3歩前を歩きながら、エスコートするのが美しい。

構成=本庄真穂 写真=AFP/アフロ、西村尚己/アフロスポーツ

上月 マリア(こうづき・まりあ)
一般社団法人日本プロトコール&マナーズ協会理事長
校長を務める「ノブレス・オブリージュアカデミー」にはさらなる研さんを積むため、全国からマナー講師が訪れる。「JOC国際人養成アカデミー」などのプロトコール講師も務める。

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