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大好きな彼との今後について迷っています・・・【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2020.7.11
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“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお悩みの中からひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えしていきます。

「りかさん51歳」のお悩み

はじめてまして。大学生と高校生の娘がいるバツイチです。母と自営業をしております。

店に14年前から来ている3歳年上の営業マンと父の死をきっかけによく話すようになり、その頃12年別居していた旦那とはっきりさせて自営を継いで実家に娘たちと帰ることにした4年前。離婚が成立したことを話すと飲みに誘われて。
その日にキスされてホテルに誘われました。私は逃げて帰りましたが、店に来てる彼に憧れていましたので、遊ばれてもいいから一度だけ、思い出だとデートして、次のデートで結ばれました。もう誘われないだろうと思っていたのですが、会いに来てくれて付き合うことになり、もう4年経ちました。

店に来ている営業マンと取引先の私が付き合ってることを彼はずっと隠していて、私は彼の友達にも家族にも会ったことはありません。
4年の間に、既婚の元カノと2人で飲みに何度か行っていたこと、一緒にいた時の夜の11時にやはり営業先の女性から電話がかかって来たりとその度にただ飲んでただけだ、仕事の電話だからと言う彼を信じることが出来ません。別れようと言ったこともあります。彼は信じてくれの一点張りで私も様子をみよう、と現在まで来ました。

私は残りの人生を一緒に歩ける人と付き合いたいです。彼のことは大好きですが、結婚願望もないそうで、私も結婚はしなくてもいいのですが、まだまだ落ち着きのない彼といられるかしら?と思っています。
最近は彼の周りでも彼女がいることや、母親にも隠したりはしていないようですが、ずっと独身で50を越えるとこんなもんなのか?
旦那も若い子と不倫して家を出たので、私に原因があるのか?と考えてます。

彼は自由で明るい人で、私じゃなくてもすぐに相手はいそうだし。私は彼を縛ってしまうと思うから別れた方がお互いにいいんじゃないのか? などと言いましたが、そんなこと言わないで今を大事にして一緒にいよう!と言ってます(笑)
私の友達には好きなら一緒にいれば?嫌なら他にも探せば?あなた次第でしょ?と言われて、その通り!と思うのですが。
ひとみしょうさんのご意見をお聞きしたく、よろしくお願いいたしますm(__)m

〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜

これは相談メールにある「憧れ」というのがポイントですね。具体的にいうと、りかさんが彼に対して憧れの気持ちを持っているというのが、なんとなく彼との関係がしっくりしない原因だということです。

憧れについて

恋愛に憧れの要素があるとうまくいかないのかといえば、そうでもないですよね。

たとえば、2~30代くらいの女子が、少し年上の彼に憧れて結婚した場合、それなりにうまくいっているカップルはうまくいっていますね。彼が仕事が忙しいとかなんとか言い訳しつつ、週に2日くらいしかまともな時間に家に帰ってこなくても、彼女は彼のことを憧れの視線で見ているので、とくになんということもなしに夫婦生活が回ったりしますよね。

この場合、彼は外に愛人がいるのかもしれないし、奥さんのことより仕事が好き(仕事中毒)なのかもしれません。がしかし、奥さんは旦那の「収入の良さ」と「仕事ができるかっこよさ」と「セックスのうまさ」に文字通り憧れているので、なにひとつ問題なく(問題が表面化することなく)暮らしていけるのです。

がしかし、ぼくたちの年齢になれば(ぼくは今年で45になります)、そうはいかないですよね。性愛と純愛の違いがわかる年頃になり、仕事仕事と言いまくっている生き様もそれはそれでいいけどなにか違うと思うようになれば、若いふたりの「憧れ」のようにはいかないですよね。

憧れとは「身分のちがい」みたいなもの

憧れって、身分のちがいみたいなものです。
たとえば、ビートたけしに憧れてたけし軍団に弟子入りした人が何人もいますね。りかさんやぼくの世代だと、彼らの顔と名前が浮かびますよね。
彼らはたけしに「憧れて」弟子入りしました。今現在、軍団の中でたけしと同等かたけしを超えた人がいるかといえば、きっといないと答える人のほうが圧倒的に多いでしょう。

憧れにおける「身分差」って、そういうことなんですよね。
仮に、師匠と仲良くフランクに話せる関係になったとしても、憧れている人は、憧れの対象よりもつねに身分が下なのです。これはなにも憧れの対象者が「おれの方が偉い。おれはお前らとは違う」などと差別的なことを考えているからではないのです。
憧れる側の気持ちの問題なのです。憧れるというのは、いわば「下から上を仰ぎ見る」ということだから。

恋愛に話を戻しましょう。憧れの気持ちでうまくいった恋も、世の中にはありますね。たとえば高校生の頃や大学生の頃に、憧れからはじまった恋がうまくいって、すごくいい思い出になっている人って、きっと探せばきっといるはずです。
でも、ぼくらの年齢になれば、憧れよりも「自分はこういう人生(老後)を送りたい」という「WANT」が先に出てきますよね。それはとても自然な感情だと思うんです。
ぼくらは高校生とちがって、「死」というものをわりと日常的に意識する年齢になっているから。

もしも彼が結婚することがあるとすれば

もしも彼が結婚することがあるとすれば、それは彼が「自分と同等なかんじで生きている人/自分のことを憧れをもたずに対等に見てくれる人」と出会ったときだと思います。
こういうの、たとえば芸能人の「報道されないカップル」もおなじです。

超イケメンの芸能人と超かわいい女優さんとの熱愛報道の影で、報道されないカップルがいますね。たとえば、超有名アイドル(男)が、素人のどこからどう見てもごくごく普通の女子と付き合っているというのは、あまり報道されません。そういうカップルが、ホノルル空港のJALの待合室に堂々といても、なぜか報道されないのです。

彼は「自分に憧れてくる女子」ではなく、高校時代の同級生みたいな「憧れ抜きにふつうに話せる女子」に安らぎを覚えたから、彼女と付き合い、ホノルル空港のJALの待合室でファーストクラスへの搭乗案内を待っていたのです(と言い切れないものの、でもそういうことだとぼくは思います。なんといっても「彼クラス」になれば、彼に憧れている美女は山と寄ってくるでしょうから)。

りかさんが幸せになるために

最後に、りかさんのことについて触れておきます。
憧れの要素がある恋愛って、それはそれで楽しいし、キラキラしていていいものだと思いますが、でも正直疲れませんか?

それより、憧れの要素抜きで友だちみたいに話せる相手と恋したほうが楽しいし、お互いの人生が豊かになるし、なにより地に足のついた生き様になると思うんですよね。

憧れのいい面も残酷な面も、性愛の素晴らしい面もエグイ面も、お互いに知っている年齢だから、憧れについて思うところを述べました。
アフターコロナの世界でなにかと大変かと思いますが、お互いがんばっていきましょう。(ひとみしょう/作家・コラムニスト)

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