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申告漏れするとどうなる?追加の税金を払うだけではだめ?!

  • 2020.7.7
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企業や有名人などの、「相応の税金を納めていないのでは?」という税金トラブルのニュースが流れることがありますね。「申告漏れ」などという言葉を目にしますが、これは、納めるべき税金の額を少なく申告した場合のことを指します。

納税は、憲法で義務づけられていますので、悪意はなかったとしても、所定の要件を満たしていない場合には罰則が科せられることになっているのです。申告漏れしたときの追徴課税には、どのような種類があるのか、解説します。

■申告書を提出しなければならないのはどんな人?

国に納める税金は、納税者が税務署へ申告を行い、それによって確定した税額を自分で納付することになっています。これを「申告納税制度」といいます。

申告書は、事業者だけでなく、給与所得やそのほかの所得がある方で一定の要件を満たす方も提出しなければなりません。

主な対象者は以下になります。

  1. 給与所得がある方で、年間収入金額が2,000万円を超える方
  2. 2ヵ所以上の会社から給与を受けている方で、一定の条件を満たす場合
  3. 本業の給与以外の所得が20万円を超える方
  4. 公的年金、退職所得のある方で、一定の要件を満たす場合
  5. 個人事業主
  6. 相続や遺贈などにより財産を所得した方で、合計額が基礎控除額を超える場合
  7. 個人から贈与により財産を取得した方で、一定の要件を満たす場合
  8. 過去10年以内に5年以上日本に住所のある方で、その年の末日において5,000万円を超える国外財産を所有している場合
  9. 法人

■追徴課税はペナルティーが加算されることがある

税金の申告・納付などの期限は、それぞれの税法により定められています。

申告書を提出したあと、税額を多く申告していた場合は「更正の請求」、少なく申告していた場合は「修正申告」を行って内容を訂正することができます。「修正申告」は、いつでもできますが、国税局や税務署から調査の通知を受けたり、正しい納税額を指摘されたあとで納付したりするときは、本来納めるべき税金の残額だけでなく、加算税がかかる場合があります。

加算税には次の4種類があります。

・過少申告加算税
正当な理由がなく、税金を少なく申告して税務署などから調査の通知があった場合に加算されます。通知前に自主的な修正申告を行った場合には加算されません。

・無申告加算税
正当な理由がなく、一定の申告期限内に申告しなかった場合に加算されます。

・不納付加算税
正当な理由がなく、源泉徴収して、納付しなければならない税額を、一定の納付期限内に納付しない場合に加算されます。

・重加算税
過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税が課される場合で、税務署が悪質だと認識した場合に課されます。

また、納期限から納付する日までの日数に応じた延滞税、利子税を併せて納付しなければならない場合があります。

■追徴課税はいくら支払うの?

追徴課税を払うことになったら、いくらくらいの税金を納めることになるのでしょうか?

納めるべき税額が100万円だったにもかかわらず、確定申告をしていなかったために、税務調査を受けて指摘されて納付したケースで、税額を計算してみましょう。

無申告加算税は、50万円以下に15%、50万円を超える部分に20%の税率がかけられます。このケースでは、納めるべき税額100万円と無申告加算税17万5,000円を納付日までの延滞税として納めることになります。ここに、納付日までの延滞税が加算されます。例えば、納期限から70日後に納付した場合の延滞税は、6,500円となります(2020年度の場合)。

さらに、不正が認められた場合は重加算税の課税対象になります。重加算税は、無申告加算税に代わり40%の税率で計算されます。したがって、納めるべき税額100万円と重加算税額40万円、延滞税6,500円を納めなければなりません。

もしも過去5年以内に無申告加算税、重加算税を課されたことがある場合、重加算税は50%もの高い税率で計算されることになっています。

■税金は正しく申告して納税しましょう

「納税の義務」は、「勤労の義務」「教育の義務」と合わせて、国民の三大義務とされています。納税が適正に行われるために、加算税のほかに刑事罰の規定も設けられています。納税者である私たちは、正しく税金を納め、税金の使い道にも関心を持ちたいですね。

なお、新型コロナウイルスの影響を受けた方で、納税が困難な場合は猶予制度が定められていますので、国税庁ホームページや最寄りの税務署でぜひご確認ください。

文・藤原洋子(ファイナンシャル・プランナー)
生命保険会社で営業職を経験し、AFP資格を取得。現在は、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、執筆、相談、セミナーを通して活動しています。

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