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Withコロナでも旅は楽しめる。星野リゾートが提案するこれからの旅の形

  • 2020.7.6
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もうすぐ迎える夏休みシーズン。本来ならばこの時期は海外や国内旅行に出かけ、のんびり過ごしているけれど、今年に限っては諦めた……、という人も多いのではないだろうか。まだまだ旅行に対してはポジティブになりにくい中で、星野リゾートは「近隣でも非日常体験ができる」新たな旅のスタイルを打ち出している。一体どんな楽しみ方ができるのか、そしてコロナが収束しない中、これからの旅行自体、どうなってしまうのか?グループの中でもいち早く新たな旅の形に挑戦する「OMO5東京大塚」の支配人、磯川涼子さんに聞いた。

旅行のトレンドは3密のない「近場旅」へ

「旅行業界全体でいえば、今が大変な状況であることは間違いありません」

こう話すのは、星野リゾートのホテル、「OMO5東京大塚」で支配人を務める磯川涼子さん。新型コロナウイルスの影響で訪日客が大幅に減った中で、経営が厳しいのはもちろん、ホテルの価格が値崩れするなど、業界全体が苦境に直面しているという。

OMO5東京大塚 支配人 磯川涼子さんHarumari Inc.

しかしその一方で、世間の思いはネガティブに偏っているわけではないとも語る。

「国内での『旅がしたい』という気持ちは依然、多くの方がお持ちになっていることがわかっています。地方の温泉旅館などでは、個室の食事処があったり、露天風呂がついていたりと、3密にならずに過ごせる条件が揃っている施設もあります。そういったところでは、車で移動できるような県内のお客様を中心に、ご利用が増えてきているんです」

磯川さんによれば今、旅行は「近隣」のニーズが高まっているというのだ。しかし、有名な温泉地が多いわけでもない、広大な自然があるわけでもない関東近郊に住む私たちは、近隣で旅行などできないような気がする。

「現在、首都圏近郊の方でも『息抜き・リフレッシュ』ができるプランの提供を始めています。外出が制限されて、毎日、変化のない日常を過ごすことにたいしてストレスを感じる人は多くいらっしゃると思うので、気持ちを切り替えられる場所、そういった時間が持てることが、まずは必要だと考えています」

東京の人も「近場旅」ができるOMO5の新プラン

首都圏に住む人でも3密を裂け、旅行気分を味わえるよう企画されたプラン。それが、OMO5東京大塚で6月からスタートしたばかりの「お泊まりカフェプラン」と「夜通し居酒屋プラン」だ。

最大の特徴は、テイクアウトフードが持ち込み可能であること。いわゆるビジネスホテルならともかく、ホテルに食べ物を持ち込むというイメージはあまりないかもしれない。しかし大人数でのビュッフェなどには感染リスクもあるため、こうした形に行き着いたそう。

「リモートの飲み会も流行っていましたが、やはりリアルにはリアルの良さがある。外では人に会いにくいという方でも、こうしたプランなら楽しんでいただけるかと思っています。あとは首都圏でリモートワークをされている方が、たまには自宅とは違う環境で、リフレッシュのために利用していただければと」

大塚の街には、イタリアンやフレンチなどの洋食から、おにぎりや天ぷらといった和食のフード、そしてビールスタンドまで、あらゆる食べ物が揃っている。これらのテイクアウトフードを部屋に広げれば、さながら持ち寄りのパーティーのような気分が楽しめるのだ。

実は「OMO」自体、「街を楽しんでもらう」ことをテーマにした、都市観光ホテル。提供するサービスに「ご近所ツアー」があるなど、宿泊客や街との距離が近いのが特徴である。今回のプランも、これまでに培った街との関係性によって、多くの飲食店がテイクアウトに協力してくれたことで実現。様々な名店の味が部屋で楽しめると、注目を集めているという。

「6月15日からスタートしたばかりなのですが、おかげさまで、7月8月あたりの予約も大きく動き始めています。これはすごく嬉しいですね。予約をしている方は都内、神奈川、埼玉あたりにお住まいの方が多いです」

利用客の増加は、新型コロナウイルス感染防止対策の取り組みを地道に続けてきたことも大きい。

「星野リゾートでは以前から、利用者の皆様にアンケートを実施しているのですが、コロナ対策についての項目も、5月から追加しました。全宿泊者の2割ほどの方から回答を得ているのですが、感染防止対策に関しては満足をしていただけている数字が出ています」

検温の実施や、透明なアクリルボードで受付を囲う、といった基本的な部分はもちろんだが、ホテルの様子を動画で撮影し、ホームページに掲載。チェックインから、パブリックスペースのソーシャルディスタンス、部屋の中の除菌清掃の様子に至るまでしっかり見られることが、安心につながっていようだ。

これからの旅はどうなる?

スタートは好調の、OMO5東京大塚。しかし気になるのはこれからの旅行だ。

「代表もよく話していることなのですが、今までは遠くに行くことが、旅をする価値だと考えられていました。ですがこれからは、遠くに行くよりは、近場で非日常を体験できること、知らない街並みを歩いて、面白い体験ができると感じてもらうような旅が、新しいトレンドになってくると考えています」

星野リゾート代表、星野佳路氏Harumari Inc.

新しい旅のトレンドを抑えながら、最大限楽しんでもらえる旅にするにはどうしたら良いか。それは、磯川さんを始め、星野リゾートが常に考えていることだという。

「特効薬が開発されるまでは、新型コロナウイルスとの共存を考えないといけないので、まずは安心してもらえる環境づくりをしていきたいです。海外からのお客様が戻ってくるのは早くても1年後か1年半後とみていますので、今は国内のお客様に満足いただける旅を提供したいですね」

さらに磯川さんは続ける。

「今、リモートのコンテンツも登場していますが、出かけたい、リフレッシュしたいという気持ちは、リモートでは満たしきれないと思っています。それに、ちょっとした非日常に身を置いてリフレッシュするというスタイルは、どれだけデジタル化してもなくなりはしないと考えています。観光業がそういったニーズに寄り添って、これからも、安心して様々な『体験』ができる場を提案していきたいですね」

時代にあった旅行を提案し続ける星野リゾートでは、今後も近隣で楽しめる旅プランを打ち出す予定だ。以前と同じように旅に行けるのはまだまだ先になるかもしれないが、これから登場する「新しい旅」は、今まで以上の旅の楽しみを教えてくれるかもしれない。

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