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舞台『ハミルトン』のDisney+での配信がミュージカル界にとって重要な4つの理由

  • 2020.7.4
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ディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」にて、ブロードウェイミュージカルの『ハミルトン』が2020年7月3日に世界同時独占配信がスタートした。舞台をそのまま撮影した本作が配信されるのは、ミュージカル界にとって革新的であると言われているけれど、その理由は一体?(フロントロウ編集部)

大人気の舞台、『ハミルトン』

ブロードウェイ・ミュージカルの『ハミルトン』は2016年のトニー賞で作品賞を含む11部門を受賞したばかりではなく、グラミー賞のミュージカル・シアター・アルバム賞、ピューリッツァー賞 戯曲部門など数々の名だたる賞を受賞してきた名作。

画像1: ©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

本作は、アメリカ建国の父アレクサンダー・ハミルトンの伝記をもとに作られたミュージカルで、その歌のほとんどがラップで構成されている。ハミルトン、トーマス・ジェファーソン、ジョージ・ワシントンなどアメリカの有名な白人の歴史的人物が、黒人やヒスパニックの俳優によって演じられていることで、歴史を扱った作品に新しい風を吹き込んだ。

ブロードウェイのオリジナルキャストでの公演中には、バラク・オバマ大統領(当時)や、ビヨンセ、エマ・ワトソンなどのセレブが観劇に訪れ、最もチケットが入手困難な作品のひとつと言われたことも。

そんな本作が、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」にて2020年7 月3日より世界同時配信スタート。日本国内では16:00より配信開始となった。

配信される『ハミルトン』は、2016年の6月にブロードウェイのリチャード・ロジャース・シアターにて上演された舞台を“そのまま”撮影し、映像化したもの。舞台をそのまま映像にして配信するというのは珍しく、革新的なことでもあるため、この『ハミルトン』がDisney+で配信されることはミュージカル界にとって大きな意味を持つ。そのポイントを4つに絞って解説。

1 配役を変えないオリジナルキャストである点

画像2: ©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

『レント』や『レ・ミゼラブル』など、人気のブロードウェイミュージカルは、映像化されることが多い。そして一般的に名作ミュージカルが映像化されて大衆に公開される際は、映画やドラマ界で有名な俳優がキャスティングされる。ところが今回は舞台の映像をそのまま使うため、ミュージカルの演者が総出演。これにより、普段は舞台を中心に活躍している俳優も、世界中の何万人、何億人という人の目に触れることになり、彼らが活躍するチャンスもぐっと上がる。

さらに、『ハミルトン』を2016年に演じたオリジナルキャストはすでに『ハミルトン』を離れてしまっているということもあり、オリジナルキャストでの舞台は永遠に見ることができないと言われていたけれど、今回「Disney+ (ディズニープラス)」で配信されることで、その幻の公演を多くの人が楽しめるようになった。

2 超高額で買収された点

画像3: ©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

ディズニーが舞台『ハミルトン』の映像化権にあたって支払った金額は、なんと約82億5千万円(7,500万ドル)とされており、この金額は、1つの作品に対する買収額としては最大規模だと言われている。購入が決定した際、ディズニーのCEO兼会長のボブ・アイガーは「オリジナルのキャストで『ハミルトン』を見た人は誰でもその素晴らしい体験を忘れることができません。ですので、同じブロードウェイでの体験を世界中の何百万人もの人々と共有できることを嬉しく思います」と公式声明でコメント。ミュージカル作品が“動画配信サービスでの配信”という新たなプラットフォームを得たこともミュージカル業界にとってビッグニュースだけれど、その扉を開いた『ハミルトン』がここまで高額を勝ち取ったことは、今後のミュージカル業界のさらなる発展に期待が高まる出来事。

3 配信されることで世界中の人に見てもらえる点

画像4: ©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

ブロードウェイミュージカルは、アメリカNYのブロードウェイにある劇場で上演されている。そのため、近くに住んでいるか、旅行で行かない限りはなかなか見ることができない。そのうえ『ハミルトン』は2015年に初演されて以来、全ての公演のチケットが完売するというチケット倍率がものすごく高い舞台で、驚きの高額でチケットが転売されることも。それが今回「Disney+ (ディズニープラス)」で配信が決定したことで、見るためのハードルが高いショーをもっと多くの人が楽しめるようになるということは、これまでブロードウェイと縁がなかった世界中の人にとって嬉しいばかりではなく、ブロードウェイで働く人々にとっても、新たな観客をゲットできるという点でプラスになる。

4 ブロードウェイは2021年まで再開延期となっている点

画像5: ©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年春ごろから公演中止となっていたブロードウェイミュージカルは、広がり続けるウイルスへの懸念から、劇場再開が2021年1月3日まで延期されてしまった。延期された演目の中には、ヒュー・ジャックマンが久々の舞台復帰となる『ザ・ミュージック・マン』などもあった。そんななか『ハミルトン』が、舞台そのままの映像で、ソーシャルディスタンスを保ちながら見られるようになったのは画期的なこと。この手法は、これから様々な作品に取り入れられていくのでは、と言われている。

「演劇」と「映画」、そして「動画配信」、それぞれが持つ最高の要素を融合させた、全く新しい方法で体験できる『ハミルトン』は、2020年7月3日16時より、「Disney+ (ディズニープラス)」にて、世界同時独占配信がスタートした。(フロントロウ編集部)

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