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注目のPCIT育児とは?親子関係が変わると子育ては楽になる

  • 2020.7.3
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長引いた休校措置や習い事の休講、学校が始まっても短縮・分散登校になったり、習い事がオンラインになったりと、普段以上に子どもといる時間が増えている家庭が多いと思います。子どもと長く一緒にいるとイライラすることも増えてしまうということはありませんか?

子どもの問題行動に怒鳴ってばかりでは、親のイライラが募るだけではなく子どもの行動も改善しません。近年、子どもと親の関係がよくなって、怒らなくてもしつけが出来るようになるPCITが注目されています。PCITとはどんなことで、どのように育児に活かせるのでしょうか。

しつけの為の体罰は厳禁

緊急事態宣言が解除されたとは言え、新型コロナ感染防止の為に外出を控えている家庭も多いと思います。子どもと過ごす時間が増えることでちょっとしたことでイライラするなどストレス増加を訴える親が増えています。長く一緒にいることでやるべきことをやらない、子どもが自分の思い通りにならず駄々をこねるなどの行動が普段以上に目につくようになり、親の負担が増えていると言われています。

こうした親のストレスは暴力や虐待へのリスクを高めるという警告もなされています。体罰については、2020年4月の法改正で禁止されるようになりました。体罰の問題は「心身の発達に悪影響を及ぼす」「深刻な虐待につながる可能性がある」と言われています。子育てする側からは「しつけのために多少たたくなどはやむをえない」という声もありますが、法改正ではどんなにかるい体罰でも「身体に何らかの苦痛を与える行為」「意図的な不快感をもたらす行為」であれば禁止すると定めています。

しつけについては「子ども自身を伸ばし、自立できる様サポートする行為」と明示しています。法規制されたとはいえ、罰則などはありません。体罰を行ってしまった親を責めたり追い込んだりすることが目的ではなく、体罰をしない子育てを推進する目的のもとに改正されました。体罰を行ってしまう、または行ってしまいそうになる親にも悩みがあることを理解し、気軽に相談や支援を行える社会にしていくことが必要です。

PCITとは

子どもが言うことを聞かずイライラしてしまいがちな毎日ですが、最悪なのはそこから体罰や虐待に発展してしまうことです。しかしイライラせずに日々を過ごすことが出来ればそれが一番ですよね。

そんな子育ての為に近年注目されているのがPCITです。PCITとは親子相互交流療法(Parent Child Interaction Therapy)と言う心理療法で、1970年代前半にシーラ・アイバーグ博士により開発されたプログラムです。日本でも小児科やメンタルクリニック、児童相談所などで取り入れられており、世界でもヨーロッパ、オーストラリア、台湾などに広がっています。

PCITは子どもの問題行動が減り、発達障害の症状が和らぎ、虐待の再発防止に役立つということで注目を浴びています。幼い子どもの心や問題行動と親の両方に対して働きかけ、12歳までの子ども、特に2~7歳の子どもに有効です。

基礎となる理論は2つの柱からなっており、愛着理論では「親が子どもへの波長合わせを学ぶこと」、行動理論では「親として権威を持って子どもの行動に限界を与えること」となります。

目指すべき親子関係

親子関係は大きく分けると4つのタイプに分けることが出来ます。それぞれを見てみましょう。

1. 許容的:子どもの意思を尊重するが、なあなあになっている関係

2. 関係性欠如的:あまり関与せずに放置する関係

3. 独裁的:子どもの意思を尊重せず親に無理に従わせる

4. 権威的:子どもの意志を尊重しつつルールには厳格に従わせる

4つの内で目指すものは「権威的」な親子関係です。基本的には子どもの意志を尊重してやりたいことをやらせ、親は見守ることとします。しかし一度定めたルールは例外を作らずに守らせることが大切です。

子どもに根負けしてルールを変更してしまうと、駄々をこねればルールを守らなくてもいいと学習してしまいます。一度決めたルールは例外を作らず一貫して守らせることで、権威的な関係を築きます。

PCITを参考に、1日5分の特別時間を作ろう

PCITはカウンセリングなどでセラピストと共に段階を踏んで行う療法ですが、家庭でも取り組むことで親子関係が改善すると注目され関連本も出版されています。PCITをどの様に活用出来るのかをご紹介します。

親子関係を良くするために行うのは、1日5分の「特別な時間」という遊びです。この「特別な時間」の間、親は『Don'tスキル』を使わない、「Doスキル」をたくさん使うというルールで、子どもと一緒に遊びます。

・Don’tスキル

まずは親が意識するべき8つのスキルを覚えましょう。

Don'tスキル(避けること)は、「命令しない」「質問しない」「批判しない」の3つです。

親はつい子どもに「ダメだよ」「間違っているよ」というダメ出しや、「泣くのをやめなさい」「手を出してはいけない」などの禁止をしてしまうことがあります。こうした批判は自己肯定感を下げ親子関係が悪化する原因にもなります。間違いを指摘するだけでは正しい行動が分からない為、子どもがどう振舞えばいいのか分かりません。

・Doスキル

Doスキル(心がけるべきこと)は、「ほめる」「繰り返す」「まねをする」「行動の説明」「楽しむ」の5つ。

例えば「ほめる」ときのポイントは具体的にほめることです。「上手だね」だけではなく「鉛筆で丈夫に書けたね」「使った鉛筆をきちんと片づけられていい子ね」などと具体的に言えば、子どもは何の行動をほめられているかが分かるのでそういった行動を増やそうとします。

スキルを意識することを続けると、子どもは親が自分に関心を持って言葉を繰り返したり、具体的に褒めらるのでとても喜びます。たった5分といえどこの時間がとても楽しくなり、子どもから誘うようになります。

・指示を出す時の5原則

子どもとの関係が良い循環になってきたら、次のステップ「親のいうことをきかせる」へ進みます。これは関係性を作ってから行うことがとても大事です。指示を出す時の5原則は「直接的」「肯定的」「一度に一つ」「具体的に」「丁寧に」です。

「ちゃんとしなさい」などの何をすればいいか分からない言葉ではなく「静かに座っていなさい」「おもちゃを箱に入れなさい」など、具体的にしてほしい行動を言います。その行動が出来たらすぐに「言ったことをすぐにしてくれてありがとう」などと具体的に褒めます。この流れを時間限定で行っていくのです。

子どもが否定的な行動を起こしたり、言うことを聞かない場合は無視をします。親の一貫した態度によって子どもが言うことを聞くようになり、親が主導権を持つことができるようになります。

命の危険があることやどうしても見過ごせないことはもちろん止めます。そこまでではないことと選択をしながら注目をしていきます。例えば、おもちゃを出したら片づけてほしいのに注意しても行わない、もしくは言えば渋々行うけど怒りながらおもちゃを片付けるとイライラするかもしれません。

しかし命に関わることではありませんよね。怒りながらであってもおもちゃを片付けていれば、行動は出来ているので「片づけてくれてありがとう」などと言うようにします。「怒りながら」という行動には反応せず、親が言った行動に注目して褒めると、注目されない行動は減っていきます。

他にも、例えば汚い言葉を使ってきた時に「やめなさい」などと反応せずにスルーします。親が反応しないことを続ければ、親の反応を期待していた子どもは徐々にその行動を行わない様になっていきます。

最初は難しく「出来ない」「効果がない」と感じるかもしれません。しかし1日5分だけと考えれば出来そうだと思いませんか?少しずつでも意識することで親子関係が変わってくれば、子どもの行動も変化しイライラすることも減っていきます。「Don’tスキル」と「Doスキル」を徐々に意識出来る様になっていくといいですね。

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