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会社を辞めて、こうなった。【第14話】 盗難に合い、格闘する。

  • 2015.4.28
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会社を辞めて、こうなった。【第14話】 盗難に合い、格闘する。

37歳、独身、彼氏なし。長年勤めた出版社を退社し、なんの保証もないまま単身サンフランシスコに乗り込んだ女性が、異国の地で繰り広げられる新鮮な毎日を赤裸々にレポートします。

【第14話】盗難に合い、格闘する。
サンフランシスコの街中では、携帯を使わない、持たない。これは鉄則です。iPhoneなんて路上で使ったら、一発で盗られますから! 本当、気をつけて。
そこでいつものようにカバンの中に携帯を潜め、バスを待っていました。
場所はサンフランシスコの大通りMarket street×6th streetあたりのバス停。すると突然です! アフリカ系アメリカ人の男性(歳の頃は40〜50代)が私のカバンの中に手を突っ込んできて、買ったばかりのiPhone6と財布を盗ったのです。奪い返そうと格闘の末、手を軽く負傷。走り去っていったので2ブロックほど“Please stop him!”(彼を止めてーー)と叫びながら、追いかけました(残念ながら、誰も止めてくれなかったけど。その理由は、彼が銃やナイフを持っているかもしれないからだそうです)。

「しつこいなぁ、面倒臭そうだな、このアジア人」とでも思われたのでしょうか、途中でクレジットカードやら銀行のカードなどを落としていきました。そこでそれらは無事確保。けれども携帯やら鍵やらは盗られてしまいました。その後一部始終を見ていた人が警察に通報し、彼と一緒に何が起こったのかを説明。「本当によくあることなんだよ。気の毒に…」と警官や周囲の人達に言われ、とにかく悲しかったです。ちなみにこういうときにみんな、「I’m sorry…」といいますが、この場合は「ごめんなさい」と謝っているのではなく、「お気の毒に…」というニュアンスです(みんなよく使います)。

次に、まずは個人情報を消さねばとApple Storeへ行き、すべての携帯情報を消しました。購入時の保険は盗難には適用されないとのことで、必要なら再び新しいものを買い直さないといけないとのこと。ここでも店員さんがお決まりのフレーズ「I’m sorry…」。「あーあ」と思いつつも、この場合のI’m sorryはどちらのニュアンスも含むなぁと思いました。

「お気の毒に…」の国

その後、携帯キャリアのMetroPCSに事情を説明しに行くと、「中古のiphone6が今なら税込み599ドルで販売できるわよ! 今日だけの特別よッ」と言ってきます(だいたいいつも今日だけと言って売り込んできます)。「しかしこれもおそらく盗難品なんでしょうねぇ…」と思いながらも背に腹は変えられないと購入しようかなと「で、64GBあります?」と聞いたら「ある! ある!」と。「購入前に確認できます?」と言ったら、「う〜ん、購入後には確認できるわよ!」となんだか胡散臭い…。「購入前に確認できないと購入できません」と言ったらしぶしぶ確認しはじめ、16GBということが判明。あー、危なかった。危なかった。また騙されてお金を失うところだったよ。そう私はサンフランシスコという街を飛ぶ1羽のネギを背負ったカモなのです。ピューピュー(こちら、カモの鳴き声。イメージと違いました?)TOEFL頻出単語的に言えば、この街のそこかしこに捕食者たち(Predators)が居て、私はその格好の餌食(Pray)ってこと。(※ここでの文法的な注意点は、Predatorは可算名詞なので冠詞(a)がつけられ&複数形にもできますが、Prayは不可算名詞なので冠詞もつかず、複数形にもなりません)

ようやく2か月間勉強に集中できる環境になってきたと思ったらコレですよ。

う〜ん、この街合ってないのかなぁ…?!?! もしくは前進しようとすると必ずストップが入るってことは私の目指している道ってなんか間違っているってこと?! 幸いにして今の家には3人もハウスメイトがいるので、彼らに不満をぶちまけたらちょっとスッキリしました。でも「うん、僕もこの前の通りで盗難にあって格闘の末、肩を骨折したんだ」とか「私もBOSEのヘッドフォンしてたらつかみ盗られたよ。でも格闘なんてしたら命が危ないから諦めたほうが得策だよ」とか、なんだか物騒極まりない…。緑豊かで季候も良くて交通の便も発達していて文化的で適度に都会のエッセンスもあって…と素晴らしい環境なんだけどな、サンフランシスコって。

この街でよいのか?

実は先日クラス分けテストを受けてカウンセラーと話した結果、秋からこちらのCITY COLLEGE(短大)で生物、数学と心理学の勉強をしながら大学受験勉強しようかなと思っていました。となるとサンフランシスコに冬まで滞在することになります。そこにこの事件です。そこでなんとここにきて(連載でもサンフランシスコとタイトルがついているのに!!スミマセン)この街でよいのか、この州でよいのか、さらには私がやりたいことは本当に自分に合っていることなのか…。全てを再び考え直さなきゃいけないのかなとも思っています(ただしTOEFLの勉強は面白くなってきたのでこれは続行しようと思います、アハ!)

SEE YOU!

とはいえベイエリアの自然は最高です。 【関連記事】

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PROFILE 土居彩

会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。」まとめ

編集者、ライター。14年間勤務したマガジンハウスを退職し、’14年12月よりサンフランシスコに移住。趣味は、ヨガとウォーキング。ラム酒をこよなく愛する。目標は、カリフォルニア大学バークレー校で幸福心理学を学ぶこと。

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