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個人事業主が知っておきたい税金対策まとめ!賢く節税するテクニックをFPが解説

  • 2020.6.23
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新型コロナウイルス感染症の影響軽減のため、1年間の納税猶予制度が設けられましたが、節税に悩む個人事業主の方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、節税を考える個人事業主や起業したばかりで税金対策について知識がない方に対し、節税のポイントと効果的な具体策をご紹介します。

個人事業主の節税のポイントは課税所得を抑えること

個人事業主の節税のポイントは課税所得を抑えることです。税金は売上ではなく課税所得に税率をかけて計算するため、課税所得を抑えられれば税金も安くできます。

1.個人事業主にかかる税金と課税所得

個人事業主にかかる税金は次の4つです。

消費税以外は確定申告した課税所得に対する税金であるため、課税所得を抑えることができれば所得税や住民税、個人事業税が下がり節税できます

2.課税所得を抑える3つの要素

個人事業主の税金を左右する課税所得は次のようにして求められます。

  • (課税所得)=(売上)-(必要経費)-(各種控除)

計算式より、課税所得を抑える3つの要素は次のとおりです。

  • 売上(収入)を抑える
  • 必要経費を増やす
  • 各種控除を増やす

この3つの要素を満たすことが、個人事業主の節税対策となります。

3.課税所得を抑えるための3つのポイント

3つの要素を満たし課税所得を抑えるためのポイントは次のとおりです。

  • 3つの要素のうち節税効果の大きい必要経費、各種控除をメインに節税対策を行う。
  • 必要経費、各種控除に対する優遇制度などを活用する。
  • まめに、漏れなく必要経費を計上し、各種控除を利用する。

以上の3つのポイントをふまえて、必要経費・各種控除の優遇制度や、経費計上(以下、「必要経費として計上すること」)を忘れがちな費用などを具体的に紹介します。

個人事業主の節税に必要経費を活かす方法

最初に、必要経費を活かして個人事業主が節税する方法・テクニックを解説します。

事業に関係するものは必要経費、まめに漏れなく計上

事業の関係する費用はすべて必要経費です。1件1件の額は小さくても、1年間の必要経費を合計すると思った以上に高額になることもあります。必要経費として計上できるものを理解し、可能なものはまめに漏れなく経費計上することが節税の基本です。

経費計上できるもの

個人事業主が必要経費として計上できる主な費用は次のとおりです。

  • 売上原価(原材料費・仕入費用など)
  • 従業員への給与、・賃金
  • 事務所などの地代、家賃
  • 固定資産の減価償却費(費用を所定の法定耐用年数に分割して計上)

上記以外にも、消耗品費(文具・備品など)や交通費・出張費、光熱費、通信費、接待費など仕事に関係するさまざまな費用が対象となります。

税金も必要経費に

必要経費で落とせる税金や公的な負担金のことを「租税公課」といい、下記の税金などが該当します。

  • 国税(登録免許税、印紙税、収入印紙など)
  • 地方税(固定資産税、不動産所得税、償却資産税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、自動車重量税、個人事業税など)
  • 公課(印鑑証明書、住民票の発行手数料、公共サービスに対する手数料など)

所得税や住民税は必要経費にはなりませんので注意しましょう。

家事按分による必要経費の計上

個人の私的な支出と、事業用の支出の両方を兼ねる費用について、事業用分を経費計上することを家事按分といいます。

起業したばかりで自宅を事務所として使用している場合の家賃、水道光熱費、通信費などが対象です。たとえば、自宅の1/3を事業用として使用している場合、家賃の1/3を必要経費として計上できます。

自動車を個人用と事業用で兼用している場合も、レンタル料やガソリン代を家事按分することができますので、漏れなく必要経費にしましょう。

短期前払費用の特例の活用

短期前払費用の特例を活用すれば、本来は資産計上すべき費用を、支払った事業年度の必要経費として計上可能です。

短期前払費用は、「前払費用」として支払った金額のうち、支払日から1年以内に継続的にサービスの提供を受けるものが対象で、下記のものが該当します。

  • 地代・家賃
  • 工業所有権の使用料
  • 保険料
  • システムのリース料

ただし、1年以上先の費用や製造物の原材料費(サービスではない、収益に直接かかわる費用)は対象外です。

少額減価償却資産の特例の活用

少額減価償却資産の特例を活用すれば、本来は数年に分けて減価償却すべき費用を、支払った事業年度に一括して必要経費として計上できます。

通常は、文具・パソコン・自動車などの物品を購入した場合、10万円未満なら「消耗品」として一括経費計上し、10万円以上の場合は法定耐用年数に分割して経費処理します。

少額減価償却資産の特例では、青色申告者限定で10万円~30万円の物品購入費についても一括して必要経費として計上できるため、特例を有効に活用しましょう。ただし、必要経費にできるのは1年間の合計が300万円までなので注意が必要です。

経営セーフティ共済の活用

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入すると掛け金は必要経費として計上できます。

経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産した場合に無担保・無保証人で借入れできる制度です。掛け金は月額5,000円~20万円、融資額は掛け金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れることができます。

個人事業主の節税に所得控除を活かす方法

次に、所得控除を活かして個人事業主が節税する方法・テクニックを解説します。

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青色申告特別控除の活用

青色申告によって確定申告を行うことにより最大65万円の所得控除が受けられる青色申告特別控除を活用すれば、課税所得を大きく削減できます。

青色申告するためには、税務署への「所得税の青色申告承認申請書」提出や複式簿記による記帳、決算書(損益計算書・賃借対照表)作成などの手間がかかりますが、節税効果が大きいためチャレンジすることをおすすめします。

青色申告特別控除を受けるための条件

青色申告特別控除を受けるための条件は令和2年分より変更されました。特別控除額は、確定申告方法により10万円、55万円、65万円と異なります。

白色申告にはない青色申告だけのメリット

青色申告には、白色申告にはない税制上のメリットがあります。下記の税制上のメリットを活かせば、「青色申告特別控除」や前述の「少額減価償却資産の特例」以外により大きな節税効果が期待できます。

法人化していれば、家族だけでなく自分の給与まで必要経費にできたり、純損失の繰越し可能期間が9年になるなど、税金を安くする方法が増えます。

しかし、法人設立時の費用や時間、手間のかかる法人税の申告、従業員の労働・社会保険料の会社負担分など、さまざまな負担が増えることになります。

iDeCo(イデコ)の活用

iDeCo(イデコ)を活用すれば、掛け金全額が課税所得から控除されます。また厚生年金未加入の個人事業主にとっては、老後生活資金準備にも有効な一石二鳥の制度とも言えます。

iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」とも呼ばれ、自分で掛け金を拠出し資産運用を行う年金制度です。掛け金は全額が所得控除されるうえに、運用益は非課税、受け取る年金は公的年金等控除の対象となるため税制上の大きなメリットがあります。

ただし、掛け金には上限があり就業形態によって上限が異なります。個人事業主の場合は、掛け金の上限が月6.8万円(年間81.6万円)です。

資産運用はリスクがあって嫌だという人についても、安全性の高い預金商品で運用を行えば、利回りは低いですが節税効果が大きいため魅力ある制度といえるでしょう。

その他の各種控除

個人事業主は、事業に関する所得控除以外に個人に対する各種控除を受けることができます。

  • 基礎控除(※令和2年度より基礎控除額が38万円→48万円に変更(所得2,400万円以下の場合))
  • 医療費控除(※セルフメディケーション税制と選択)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除
  • 生命保険料控除・個人年金保険料控除・地震保険料控除など
  • 社会保険料控除 ※国民健康保険料・国民年金保険料など
  • 小規模企業共済等掛金控除 ※iDeCo(イデコ)など
  • 寄附金控除

会社員なども同様ですが、毎年使える控除なので、まめに漏れなく申告する習慣をつけましょう。最初はわからないところがあったり面倒ですが、習慣化することや、前年度の確定申告資料を残しておくことで早めに慣れることをおすすめします。

個人事業主の節税対策に関するまとめ

ご紹介したとおり、節税対策として必要経費に計上したり所得控除できたりする費用や優遇制度は数多くあり、必要経費と各種控除を漏れなく確定申告するかどうかで税金は大きく異なります。

節税のためにわざわざ車を買ったり保険に入ったりしなくても、最初は面倒かもしれませんが、青色申告という手続きを踏んできっちりと申告するだけで税額を下げることが可能です。節税だけでなく老後生活資金の準備もできるiDeCo(イデコ)も、一度は検討してみることをおすすめします。

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