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「マルチタスク」は知らぬ間に心を乱す? 職場の雰囲気悪化に要注意

  • 2020.6.23
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複数の手でパソコンを操作し、マルチタスクをこなしている男性

マルチタスクは表情にどう影響?

頭を抱える男性

ひとりでさまざまな種類の仕事をこなしていくマルチタスク。もともと最近まで企業は効率を追求してきた結果として、人手不足が顕著になっていました。そうして一人当たりの仕事量が増える傾向がありました。一度に多くの種類の仕事をこなすのは大変です。それはメンタルに悪影響を及ぼすことがあるのでしょうか。

このたび米国カリフォルニア大学を中心とした研究グループは、ワーカーの表情の分析をして、マルチタスクの影響について調べました。2つのグループをつくり、ひとつのグループは文章を書く仕事をしてもらい、最初だけメールによって作業を中断。もうひとつのグループは文章を書く仕事をしてもらうのですが、頻繁にメールにより作業を中断するようにして、文章を書く仕事を邪魔したのです。そのうえで、2つのグループの表情の違いを比べました。

職場の雰囲気を無意識に変えているかも

パソコンやケイタイなど複数のツールを扱う女性

こうしてわかったのは、メールによる作業の中断が1回だけの人では表情がほぼ自然なままだったのに対して、何度もメールで中断されたグループでは表情に怒りの要素が現れるということ。1回ですべてのメールの処理を終えたほうが、表情への影響はないわけです。

もっともメールに返信することによる表情に見られた嫌悪感は長続きしないということ。研究チームはメールに返信すれば解決されるといいます。問題は通常のオフィスなどでは可能というわけではないとも。

研究グループは、マルチタスクを強いられると、悲しそうな表情が見られるといいます。さらに、集団でこうしたマルチタスクを強いられると、悲しみと恐怖の表情が混じり合ってくるといいます。マルチタスクを強いることで、精神的にプレッシャーが加わって、ストレスを上昇させるというのです。マルチタスクによって、こうしたネガティブな感情が続く問題を示しているわけです。職場の雰囲気を悪くする原因にもなり得るようです。

今は在宅勤務が一般化してしましたが、これから出勤する人も増えてきて、たまった仕事を次々とこなさなければならない人も増えそう。マルチタスクによって起きてくる、職場の雰囲気を悪くするという面は、気をつけておくとよいかもしれません。研究グループは、こうした変化が無意識に広がる可能性があると注意を促しています。

<参考文献>

Multitasking in the workplace can lead to Negative Emotion
https://uh.edu/news-events/stories/2020/may-2020/05112020-multitasking-in-workplace-and-negative-emotions.php

Emotional Footprints of Email Interruptions(CHI ’20: Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems)
https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376282

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