1. トップ
  2. 本は「聴く」時代へ。急成長するオーディオブックの新しい読書体験

本は「聴く」時代へ。急成長するオーディオブックの新しい読書体験

  • 2020.6.18
  • 2019 views

今、オーディオブックが面白い。小説やエッセイ、占いまで。様々な本を朗読し、音声データとして聴くオーディオブックは最近利用者が急増し、2024年には市場規模が260億円になると予想されている。また芸能人が朗読をした有名作家の小説など話題のコンテンツも増加中。どうして今、オーディオブックなのか? 提供されている注目のコンテンツと共に、その理由を紹介しよう。

コンテンツの充実度の高まりによる利用者の増加

オーディオブックは誕生からコンテンツの進化を続けており、人気声優が朗読者を務めた作品が公開されたことを皮切りに、有名文学作品を豪華俳優たちが朗読する、という作品も増えた。普段は本を読まないという人にとっても、オーディオブックという存在が本を身近に感じるきっかけになっていることは間違いない。こういったコンテンツの拡充による影響は、オーディオブック業界の人も感じていることのようだ。

「オーディオブックの利用者が増加しているのは、10年ほどかけてコンテンツの充実度が高まってきたことが理由のひとつにあります。さらに、ここ数年でオーディオコンテンツ自体の需要が高まってきたことも相まって、利用者が急増しているのではないでしょうか」

そう語るのは、株式会社オトバンクの広報、佐伯帆乃香さん。2007年にリリースされたオトバンクの「audiobook.jp」は、国内のオーディオブック専用オンラインストアの先駆けと言われている。そんなaudiobook.jp、会員数60万人を突破した2018年12月から、わずか9ヶ月で100万人を突破したという。

SNSやVODサービスなど、スマホ上では多彩なコンテンツがひしめき合うなかで、会員数100万人は決して少なくない。一体どんな魅力がオーディオブックには、あるのだろう。

手と目が忙しい現代人だからこそ”聴く”コンテンツが向いている

オーディオブック人気が高まっている理由は、コンテンツの拡充だけでなくユーザーのライフスタイルの変化が大きいということだ。

「オーディオブックの魅力は、時間を有効活用できることです。スマートフォンの普及もあり、現代は目と手がひたすら忙しい時間と言えますが、意外と”耳の可処分時間”は活用しきれていません」

忙しない時間を過ごすなかでも、聴くだけのオーディオブックであれば”ながら読書”を楽しめる。移動しながら、家事をしながら…と、生活のあらゆるシーンを読書時間に変えられるのだ。

「疲れていて、文字を読むのもひと苦労、というシーンもありますよね。そんなときでもオーディオブックであれば、耳だけで読書を楽しめます。特に最近はリモートワークで目が疲れている方も多いと思いますが、オーディオブックなら目を休めながらでも読書が可能です」

寝る直前まで、何かしらの画面を見ていることも多い。ほとんどの人が目を酷使する生活を送っている今、本を読むという行為は結構な気持ちの集中が必要になる。元々本好きだった人も、ここ最近は読書から遠ざかっていたという人は多いだろう。しかし、そんななかでアイマスクをしながらでも利用できるオーディオブックは、まさに現代向けのサービスと言える。

月額750円で聴き放題のaudiobook.jpの注目コンテンツとは

オトバンクが提供しているaudiobook.jpでは、ビジネス・小説・ライトノベルなど、幅広いジャンルのコンテンツが楽しめる。月額750円で対象作品が聴き放題になるプランもあり、対象作品は毎週アップデートされているため、飽きることもない。

「audibook.jpでは、原作の魅力を音で伝えるにはどのように作るのがベストか、作品ごとに常に考えて制作をしています。“音の職人”のこだわりを、ぜひ聴いて実感いただきたいです」

ここからは、現在audibook.jpで提供されている、注目のコンテンツを紹介していく。

読破できなかった大作に再チャレンジ

『完訳 7つの習慣』
長期的な成功のためには、自分の内面人格を磨くことが欠かせない。本書では、人格を磨くための具体的な7つの習慣が紹介されている。

『LIFE SHIFT』
100年生きることを前提に、人生設計が必要となる現代。人生100年世代に必要な考え方とは、生き方とは。人生の問い直しをせずにはいられない1冊。

『人を動かす』
あらゆる自己啓発書の原点と言われている本書。人間関係を円滑にするための30の方法が、実話・実践と共に描かれている。

3冊とも、誰もが1度は読んでおきたい定番のベストセラー作品だ。しかし、完読したいという気持ちはありつつも、なかなか読破できなかった方もいるだろう。一度諦めてしまった作品も、オーディオブックなら気軽に再チャレンジできるはずだ。

こだわりの小説の世界をよりリアルに

『モモ』
「時間貯蓄銀行」と称する男たちよって奪われた時間を取り戻そうと、1人の少女が奮闘するストーリー。仕事・育児・プライベートと忙殺されがちな現代人の必読本。

『かがみの孤城』
とあるきっかけで引きこもりになった主人公が、似た境遇の7人との出会いをきっかけに変化していく。生きづらさを抱える全ての人に届けたい1冊。

『罪の声』
「グリコ・森永事件」をモチーフに描かれた作品。父の遺品に残されたテープをきっかけに、未解決事件の真相を追った主人公が辿り着いた先とは。

文字で読んでいるときと、耳で聴いているときで、空想の自由度は変わらない。むしろオーディオブックなら声優さんの豊かな表現力で、リアルな情景が脳内にイメージしやすくなることもある。

「ひとりでじっくり読み聞かせしている作品もあれば、複数キャストで臨場感のあるつくりになっている作品も。各オーディオブックならではの世界観をお楽しみください」

ファン必聴の話題本も逃せない

『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』
しいたけ.さんの占いは、毎週楽しみにしている方も多いだろう。『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』には、聴くとハッピーになる開運アドバイスが満載。巻末にはしいたけ.さんご本人がお悩みに回答する「しいたけ.のラジオ」も収録されている。

『筋トレが最強のソリューションである』
『筋トレが最強のソリューションである』の朗読は、ターミネーター役の吹き替えなどでも有名な人気声優・玄田哲章さんが担当。筋トレ好きにはもちろん、ターミネーターファンにとっても逃せないコンテンツだ。

オーディオブックで読書をより手軽に

オーディオブックサービスは、audiobook.jpだけではない。洋書を楽しみたい方には「audible」もおすすめだ。さらに、本の要約サービス「flier」、絵本アプリ「森のえほん館」など、音声だけにとどまらない、新しい本の楽しみ方も広がりつつある。

「オーディオブックというものがあるらしい、という認識は徐々に浸透しているので、次は新たな使い方が開拓されていくのではないかと考えています。“自分なりにオーディオブックを楽しむコツ”のようなものがどんどん出てくれば面白いですね」

読書は間違いなく人生の肥やしだ。小説を読めば異なる世界を旅できるし、ビジネス書や自己啓発書を読めば、誰かの人生や経験から得た知識を一気に得られる。忙しくて読書の時間を確保できない。いざ時間ができたとしても、他の誘惑に負けてしまう。そんな方にこそ、オーディオブックを利用して欲しい。“ながら”が通用するオーディオブックなら、ハードルがあがってしまっていた読書も、手軽に感じられるはずだ。

取材・文:ながた さや

元記事で読む
の記事をもっとみる