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モノを買わないイマドキ若者が、コロナショックで目を付ける高額商品とは

  • 2020.6.16
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コロナショックは、若者たちの金銭感覚や消費行動にも大きな影響を与えているようです。今回は、外出自粛中に買ったものからコロナ以降に流行りそうなものまで、大学生5人が本音でトーク。そこで話題になった意外すぎる商品とは? 原田曜平さんの司会と解説でお届けします。

若い女性マッサージ椅子でリラックス
※写真はイメージです(写真=iStock.com/djedzura)

(座談会参加者)
宮本 恵理子さん/早稲田大学4年生。バンドサークルなどに所属。趣味はドラム演奏。女性
磯部 卓冶くん/早稲田大学4年生。広告研究会に所属。趣味はサーフィン。男性
門戸 美礼さん/慶應義塾大学3年生。ダンスサークルなどに所属。趣味は筋トレ。女性
山本 里沙さん/慶應義塾大学1年生。放送研究会に所属。趣味は映画鑑賞。女性
加藤 耀くん/東京理科大学1年生。趣味は音楽鑑賞や動画鑑賞。男性

若者の消費意欲が止まらない!

【原田】今、コロナによる外出自粛で消費が大きく落ち込んでいると言われているけど、若者の間ではどうなんだろう。皆は自粛中に何か新しいものを買った?

【山本さん】「人をダメにするソファ」って言われているビーズクッションを買いました。これは固い面とやわらかい面があって、きちんと座りたい時と寝転びたい時で使い分けられるんですよ。家で大学の課題をやったりテレビを見たりする時間が増えたので、どっちにも使える椅子がほしくて親に買ってもらいました。

【宮本さん】私は美顔ローラーやコルセットなど、美容グッズをたくさん買いました。外出自粛になってから、自分の中で買い物のハードルが低くなった気がします。今までは「ほしいけどちょっと高いな」って我慢していたものをポンポン買うようになりましたね。他にも話題の石けんとか3万円ぐらいのスニーカーとか、ネットの口コミで評判がいいとすぐポチる(通販の購入ボタンを押す)ようになっちゃいました。

【門戸さん】私は水をたくさん買うようになりました。YouTuberが美容にいいって言っていたので、今は1日2リットルぐらい飲んでいます。ずっと家にいるので持ち歩く必要もないし、トイレが近くなっても大丈夫だから(笑)。

おじさん・おばさん向けの健康グッズが気になる

【原田】消費意欲がかえって旺盛になった子もいるんだね。自粛で時間ができたことで、ネットでほしいものを探す機会が増えたのかな。宮本さんの話を聞くと、金銭感覚にも変化があったようだね。

【磯部くん】金銭感覚は確かに変わったかもしれないです。僕はルーズになったかな。今までは少しずつ買っていた電子タバコをまとめ買いするようになったり、これまで入っていなかった動画配信サービスに複数加入したり……。最近は通販でアコースティックギターも買いました。

【原田】そうした中で、コロナ以降は何が流行るようになるんだろう。若者の間で人気が出そうな商品やサービスを挙げてみてくれるかな。

【宮本さん】今、女子の間ではスキンケアや筋トレなどの「おうち美容」が流行っています。中でも特に人気なのが半身浴。だから、スマホやタブレットを乗せられるバスタブトレーを買う人が増えるんじゃないかな。お風呂にゆっくり浸かりながらドラマを見たい人は多いと思うんですよ。それと、いかに非日常を演出するかも大事なので、アロマやキャンドルも人気が出そうです。

【山本さん】美容グッズもそうですが、健康グッズも流行りそうな気がします。家で過ごす時間が増えて、皆、今まで以上に体のことを意識するようになったみたいなんです。これまでは年配の人向けだった商品に注目する子も増えていて、例えば腰痛予防のための腰当てクッションとか、私の周りでも2~3人買っていますよ。体に負担の少ないワークチェアを買った子もいました。

【宮本さん】それわかる! 私もマッサージクッションやマッサージチェアにおじさんのイメージがあったんですが、外出自粛になってからはよく使うようになりました。周りにも健康志向の人が増えているので、そうしたものを使いながらオンライン授業を受ける若者も出てくると思います。

【磯部くん】椅子は大事ですよね。普通の椅子って長く座っているとお尻が痛くなるので、これからはもっと快適な椅子を求める人が増えるんじゃないかな。外出自粛が解けてもオンライン授業は続くわけだし。そう言えば「人をダメにするソファ」は、僕の友達2人も買っていました。

【原田】今まではおじさんおばさんが買っていたような健康グッズに、若者が目を向け始めているのか。それは面白いな。確かに、大学生も家でオンライン授業を受けているわけだから、そこで欲しくなるものはリモートワークをしている会社員とあまり変わらないよね。

主婦向けだった商品が若者にウケる可能性

【原田】美容や健康グッズ以外では、どんなものが流行りそうかな?

【加藤くん】僕は体験型イベントの「リアル脱出ゲーム」が気になりました。何人かのグループで会場からの脱出を目指すものなんですが、最近は3密を考慮してマスク着用&会話なしで進めるタイプが登場しています。面白そうだし、安心して参加できそうだなと思いました。

【宮本さん】私はオンラインレッスンが主流になってくる気がします。コロナの影響で、今後2~3年はリアルの教室やジムには通いにくくなると思うんですよ。オンライン講師やパーソナルトレーナーから、家でレッスンを受ける人が増えるんじゃないかな。

【門戸さん】料理の時短グッズも人気が出そうです。外出自粛で料理をする若者が増えたと思うんですけど、日常が戻ってきたらなかなか時間がとれなくなりますよね。私も100均で売っているハンドミキサーとか、安くて時短になる商品に注目しています。これがもっと種類豊富になったら、若者も料理やおうちカフェを続けていけると思います。

【原田】なるほど。時短グッズと言えば主婦向けというイメージがあるけど、これからは若者にもPRしていったほうがよさそうだね。他に「こういうものがあったらいいのにな」という意見はある?

おじさんっぽくないマッサージチェアが欲しい

【宮本さん】マッサージチェアは、黒い皮製だとやっぱりおじさんっぽいので、もっとインテリアに映えるカラーやデザインがあるといいですね。それと私たちの世代はSNSでの評判を見て買うことが多いので、インフルエンサーが使っていればすぐに広がりそうです。

【加藤くん】今後も外出の時はマスクが必要だと思うんですが、マスクをしているとスマホの顔認証が使えないんですよ。それができるようなマスクが発売されたらうれしいです。

【原田】それはヒットしそうだね。コロナをきっかけに、若者もこれまで以上に自分の健康を気づかうようになっているんだね。それに、外出自粛が解けたとしても「しばらくは用心すべき」という慎重さを感じたよ。体を気づかいながら家で過ごすという傾向は、コロナ以降も続いていきそうだね。

外出自粛による「巣ごもり生活」で、若者の消費行動にも変化が起きているようです。美容や健康グッズの需要増は幅広い世代で言われていることですが、若者の間では中高年層向けや主婦向けの商品に着目する動きが出始めています。また、ネットを見る時間が増えたことで、かえって消費意欲が高まっている様子もうかがえました。

若者たちは、コロナをきっかけにそれぞれが新しい楽しみ方や安全な過ごし方を見つけています。外出は慎重にという思いも強く、この傾向は日常が戻った後もしばらく続くでしょう。アフターコロナの商品開発やPR戦略のヒントは、ここにあるのではないでしょうか。企業には今後、若者たちが見つけた「新しい過ごし方」に寄り添っていく工夫が求められるように思います。

構成=辻村洋子 写真=iStock.com

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。

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