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性教育は「幸せな人生を築く力」の土台! 子どもの自己肯定感も上げる「おうち性教育」の始め方

  • 2020.6.13
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「性教育」と聞くと、敷居が高いと感じるパパやママも多いかもしれません。その背景には、パパやママたちが性についてきちんと教えてもらった経験がなく、どのように向き合えばいいかわからないという実情があるのかも。

子どもが性の対象になってしまう悲しい事件が後を絶たない今、おうちでどのように「性」について教えればいいのか。先日発売されたフクチマミさんと村瀬 幸浩さんの共著、「おうち性教育はじめます 一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方」を元に、考えてみたいと思います!


フクチマミ
マンガイラストレーター。日常生活で感じる難しいことをわかりやすく伝えるコミックエッセイを多数刊行している。著書に高橋基治氏と共著の『マンガでおさらい中学英語』(KADOKAWA)ほか、『マンガで読む 育児のお悩み解決BOOK』(主婦の友社)、『マンガで読む 子育てのお金まるっとBOOK』(新潮社)などがある。
村瀬 幸浩
東京教育大学(現筑波大)卒業後、私立和光高等学校保健体育科教諭として25年間勤務。この間総合学習として「人間と性」を担当。1989年同校退職後、25年間一橋大学、津田塾大学等でセクソロジーを講義した。現在一般社団法人“人間と性”教育研究協議会会員、同会編集による『季刊セクシュアリティ』誌編集委員、日本思春期学会名誉会員。

■性教育をすると「自己肯定感」が上がる!?
「性教育」というと、「ポルノ」や「セックス」というイメージを抱いてしまい、なんとなく避けがちなパパやママもいるかもしれません。しかし、著者のお一人である村瀬先生は「性教育は『いのち・からだ・健康』の学問」だといいます。



「性は知識や学習によって形づくられる『文化』であり、そのしくみの基本はまず『自然科学』」、そして「これからの世の中を生きていく人格を育てるのに必須の『教養・知性』」と、村瀬先生はいいます。

少し難しく思えますが、わかりやすい「メリット」としては、以下の2つがあげられるそうです。


【「性」について学ぶメリット】
●性的なトラブルを避けられる
→万が一トラブルにあっても解決に向かって適切に対処できる人間に育つ
●「自己肯定感の高い人間」に育つ
→自分の性や体に対して肯定的に捉えられるようになる


性について理解することで、性的なトラブルを避けられたり、トラブルがあっても、適切に対処できるというのは、性教育の大きなメリットですよね。幼い子どもたちが性被害にあうとき、「されてはいけない」「してはいけない」行為なのかどうかさえも理解できていない可能性があります。筆者自身、7歳の長男は理解できそうだけど、4歳の次男はまだまだ理解できないかもしれないと感じます。

また、「性教育」をすることで「自己肯定感の高い人間」に育つと言われており、子どもたちが自分の性や体を自ら肯定的に受け入れて、まず自分を認める一歩にできるのだといいます。

村瀬先生は、「自己肯定感の高い人は自分だけでなく相手も尊重できるから、子どもが学べば幸せな人間関係を築く力の土台となる」と話しています。自分のことだけでなく相手も尊重できることはとても大切で、子どもが性犯罪の被害者にも加害者にもならないために、性教育が必要なのだと気づかされます。



■性教育は「幼児期から」がベスト



パパやママたちは、「性」についてきちんと教えてもらったことはありますか? 筆者自身は思い返してみると、中高の保健体育の授業で、男女の体の違いについて説明を受けたくらいで、具体的な受精の仕組みや性交について学んだ記憶はありません。

自分の親からも、あらためてきちんと性教育を受けたことはなく、なんとなく「恥ずかしいこと」という思いは今も根強く残っています。おそらく、同じようなパパママが多いのではないでしょうか。

そんな私たち世代が親になり、急に「性教育」をしなければいけないと言われても、戸惑ってしまうのは当然なのだそうです。

「『恥ずかしい』『実は親もよくわからない』『何を教えればいいの?』そう思って当然なんだよ」「だってあなたたちの世代のほとんどは、子どもの頃に大人から自信を持って教わってないんだもの」と村瀬先生は話しています。

わかっていないという前提を踏まえた上で、大人が子どものために一歩踏み出すことが重要なのだと気づかされます。

そして、性教育を始める時期については、「幼児期からがベスト」なのだそうです。


【幼児期が性教育にベストな理由】
●「おしり~うんち~」と子どもが叫んだ時の対応も性教育となる
●思春期の子どもに突然「性」の話をするのはハードルが高い
●学校では月経や射精は教えるが、受精のしくみや性交については取り扱わない
●多くの子どもが友人や交際相手から性の知識を得ている

性教育に触れる機会が少ないため、多くの子どもが友人や交際相手から性の知識を得ています。その友人や交際相手の性の知識の元はというと…アダルトビデオやアダルトサイト。こうして、アダルトビデオやアダルトサイトを「性の教科書」にせざるを得ない状況になっています。

しかし、大人向けに作られたアダルトビデオやアダルトサイトは、「妄想」や「ファンタジー」も多く含む現実とは乖離した世界。これを現実と非現実の判断がつかない子どもが見ると、フィクションを現実として捉えてしまい「歪んだ人間観」が形成されてしまう危険性があるのだそうです。

性教育=ポルノ・セックスではない、という認識をまずは親がアップデートし、幼い頃から正しい性の知識を教えていくことが大切なのだと痛感します。

一方で、「知ると興味を持って行動に移してしまうのではないか」という懸念もあります。しかし、性教育に力を入れているオランダでは、15歳までの性交渉体験率が低いのだそうです。

村瀬先生は、「リスクを含めて正しく知ることで、『しない』ということも自分で判断、主張できるようになる。正しい性の知識は子どもが幸せに生きるために必要」だといいます。「性」についてしっかりと事実を学び、リスクを知ることが重要なのだと、あらためて感じさせられます。



■「性教育」で最初に教えたい大切なこと
次に、最初に子どもに教えたい大切なことをご紹介したいと思います。どれも、「日常で伝えられること」なので、おうちですぐに実践することができそうですよ。

▼プライベートパーツは勝手に触らない、触らせない


そもそも、からだの全ての部分は自分のものですが、その中でも特に「プライベートパーツ」は、他人(親であっても)が勝手に触ったり触らせたり見ようとしたり見せたりしてはいけない部分のことをいいます。村瀬先生によると、「プライベートパーツ」は口、胸、性器、お尻の4つで、その人のいのちに直接関わる場所のことなのだそうです。


【プライベートパーツについての伝え方】
●あなただけのものだから、大切に扱わなくてはいけないこと
●勝手に触ったり見ようとしてきた人には「嫌だ」と言って逃げること

「プライベートパーツ」を触ることについては、お世話や看護で必要な場合もありますよね。ただ、親子間の楽しいコミュニケーションとして、お尻を触ったり見たりすることは、本来望ましくないのだそうです。

なぜなら、子どもがスカートめくりやカンチョーなど、「プライベートパーツ」を触られたり見られたりした時に、本当はすごく嫌だったとしても、「好きだからなのかな…」と、黙ってしまうことに繋がる危険性があるからです。

それがエスカレートすると、からだを触られたり見せるように欲求されても、拒否できず、取り返しのつかない犯罪被害に巻き込まれてしまったり、逆に相手が嫌がっているということに気づかず加害者になってしまう危険性もあるといいます。親子の間でも、「プライベートパーツ」には侵入しないことが重要です。

▼防犯のための「NO、GO、TELL」

次に、防犯のために知っておきたいのは、「NO、GO、TELL」の3つの心がけです。


【子どもに伝えたい身の守り方】
1、NO=ハッキリと拒否して
「イヤ!」「だめ!」「やめろ!」「助けて」など
2、GO=逃げること
できるだけ人の多い方へ
3、TELL=もし「秘密だよ」と言われても信頼できる大人に話すこと

これらの3つは、普段から繰り返し伝えておくことが大切なのだそうです。そして、「NO」については、「自分がされたくないこと」や「不快なこと」についても、「嫌だ」と言ってもいい、と伝えてあげましょう。それぞれに感じ方は違いますが、自分がどう感じるかを大切にしてあげて、それは人として当然の権利なのだと教えてあげることが大切です。そして、大人も子どものNOを尊重できるようになることが必要です。


「性教育」というから、いきなり特別なことをしなければいけないと構えていましたが、どれも日常の中で、子どもたちに伝えられそうなことばかりでした。子どもが小さいうちから意識していくことで、性教育について自然と話し合える家族関係を築いていけそうな気がします。まずは、一歩ずつ進んでいけると良さそうですね。

■フクチマミさんからメッセージ
最後に、著者のお一人であるマンガイラストレーターのフクチマミさんから、こんな素敵なイラストとメッセージをいただきました。


「何からどう教えたらいいんだろう…」
性教育の絵本を買って、いざ子どもに伝えようとしても、抵抗感で固まってしまう自分に悩んでいた時、共著の村瀬先生と出会い、自分たちが子ども時代にしっかり教わってこなかったこと、性に対して「いけないこと」だと不潔視をしていたことに気がつきました。

そして『おうち性教育はじめます』は私のような親たちに向けて、知識のアップデートをしながら、性への偏見を取り除いていけるように、という気持ちで描きました。親自身も理解しつつ、子どもへの伝え方が具体的にわかるように、と。

私は性教育を学ぶことで、自分自身の気持ちがラクになっていくのを感じました。

子どもの、そして自分自身の絶対的な味方でいるために。
おうち性教育、はじめてみませんか。

フクチマミ


ここまで、「性教育」のメリットや方法について、書籍を元に考えてきました。性教育は、決してタブーではなく、子どもの自己肯定感を高め、幸せな人間関係を築く力の土台なのだと、あらためて気づかされました。

筆者も何からはじめていいかこれまでわからず性教育については避けがちでしたが、子どもが傷つかず、そして相手を傷つけずに、幸せな人生を歩んでいくこと、そこをゴールに、親である自分自身も向き合っていけるといいのかなと、感じています。ぜひ「おうち性教育」をはじめてみませんか?


「おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方 」
著者:フクチマミ・村瀬幸浩(KADOKAWA)1300円(税抜)


「うちにも赤ちゃんはくる?」といった、突然やってくる素朴な質問への答え方から、性犯罪の被害者・加害者にならないための日々の言葉かけ、思春期に訪れる男女の心と体の変化まで、親子で一緒に学ぶことができるパパママの必読本。毎日の家族の会話で子どもを守り、これからの時代を生き抜くための力を養うための「おうち性教育」のはじめ方をわかりやすく学べる一冊。



(高村由佳)

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