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<エール>裕一の“里帰り”週に感動の声あふれる!朝ドラにおける“故郷”の役割とは?

  • 2020.6.13
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「エール」第55回場面写真 (C)NHK
KADOKAWA

【写真を見る】裕一(窪田正孝)につかみかかる浩二(佐久本宝)…!様々な思いが交錯する…(ほか第11週名シーン)

2020年度前期の“朝ドラ”こと連続テレビ小説「エール」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。6月8日~放送の第11週「家族のうた」では、窪田正孝演じる裕一が福島に里帰り。父・三郎(唐沢寿明)、弟・浩二(佐久本宝)との家族の絆が描かれた同週は「親子の絆に涙が止まらない」「兄弟間の複雑な思いに共感…」と話題になった。今回は朝ドラで重要なポイントとなる“主人公の故郷”について、フリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)

朝ドラには“地域活性化への貢献”という役目も

「エール」第11週では、裕一(窪田正孝)が恩師・藤堂(森山直太朗)に頼まれ校歌を作曲、その完成披露会に出席するため、音(二階堂ふみ)と娘・華をつれて故郷・福島に凱旋する。

「船頭可愛や」のヒットによって地元の人たちに大歓迎されるも、父・三郎(唐沢寿明)は胃がんで余命わずか。弟・浩二(佐久本宝)に喪主をやらせ、家も土地も彼に譲りたいという三郎の提案を裕一は快諾し、長きにわたる兄弟のわだかまりが解決した。

「エール」前半、ドラマを盛り上げていた父・三郎が亡くなってしまって寂しくなる。

第5週、三郎が豊橋まで行って、音の母みつ(薬師丸ひろ子)と繰り広げたバトルはじつに愉快だった。三郎が亡くなって、兄弟の仲も雪解けし、これで福島はあまり出てこなくなってしまうのだろうか。

「エール」第23回場面写真 (C)NHK
KADOKAWA

朝ドラはご当地ドラマの側面があり、主人公の出身地がどこに定められるかが、毎シリーズ楽しみのひとつ。

「エール」第52回場面写真 (C)NHK
KADOKAWA

これまで日本各都道府県、すべて網羅していて、「エール」は裕一の故郷・福島と音の故郷・愛知県の豊橋。

「スカーレット」(2019年度後期)は滋賀県信楽市、「なつぞら」(2019年度前期)は北海道十勝地方、「まんぷく」(2018年度後期)は大阪、「半分、青い。」(2018年度前期)は岐阜、「わろてんか」(2017年度後期)は大阪、「ひよっこ」(2017年度前期)は茨城。BSで再放送中の「はね駒」(1986年度前期)は「エール」と同じく福島。ドラマの盛り上がりと共に、ご当地は観光客でにぎわう。

以前、大河ドラマのプロデューサーにインタビューして、「大河ドラマにしても朝ドラにしても、例年、舞台になる地域には、史跡を訪ねたり、イベントが行なわれて、凄まじい数の人が来るんです」「地域活性化に貢献するためにも、その地域に(番組が終了しても)長いこと人が訪れるような種を、毎年の大河や朝ドラが蒔いていけたらと思います」と聞いたことがある(※ヤフーニュース個人「ダメ田十勇士、佐久間象山……最終回も遊び心の連続だった『真田丸』を経て、大河ドラマの今後の課題」より)。

日本の様々な地域に興味をもってもらうことも朝ドラの役割なのである。

場所や食べ物がドラマで魅力的に描かれると視聴者はたちまち反応する。「あまちゃん」(2013年度前期)はロケ地となった久慈市を訪れる人が放送中も多く、いまだに人気。「半分、青い。」では五平餅が売れた。

私は「あまちゃん」の久慈、「半分、青い。」の岐阜、「なつぞら」の十勝に行き、マニアックな部分では「わろてんか」のヒロインの生まれた京都の薬神社とはどういう場所か見に行ったり(ドラマと全然規模が違って驚いた)、「あさが来た」(2015年度後期)のヒロインのモデルの生家のあった場所(いまはホテルになっている)を見に行ったりしている。知人には「ちゅらさん」(2001年度前期)が好きで沖縄に行ったという人もいる。

「エール」は福島に、裕一のモデルである古関裕而の資料が展示された記念館があり、裕一の叔父・茂兵衛(風間杜夫)が暮らす川俣はどんなところかも気になっていたが、あいにく新型コロナウイルス感染予防のため都道府県をまたいでの移動の自粛を余儀なくされ、ちょうど福島編が描かれている間、福島や川俣を訪問する機会がなかった。

だが、「エール」主題歌であるGReeeeNの「星影のエール」でつなぐ福島県59市町村PVが5月11日から配信され、そこに映る自然の風景やそこに生活する人たちのいい表情がすてきで、また自由に旅ができるようになったら福島に行きたいと思うものになっている。

6月29日からは、コロナウイルス感染予防で撮影が中断し放送ストックが尽きたため「エール」の1話から再放送されることになっている。もう一度福島、そして音の故郷・豊橋に目を向ける機会である。

【写真を見る】裕一(窪田正孝)につかみかかる浩二(佐久本宝)…!様々な思いが交錯する…(ほか第11週名シーン)
「エール」第54回場面写真 (C)NHK

故郷に残る“親しい人物”がキーパーソンに

朝ドラで描かれる地元とは、主人公の原風景であり、そこには父母、祖父母や兄弟、姉妹、幼馴染などがいて、彼らとの交流によって人格が形成されていく。

人生経験豊富な祖父母が主人公に生きる意味を教えてくれたり、幼馴染との友情にじんわりしたり、朝ドラ名物・ダメな父に困らされたりと、地元のエピソードは重要である。主人公の幼少期を子役が演じていることも多く、その子役の愛らしさも伴っていい印象が残る。

朝ドラの主人公には、生まれた土地を出て都会に働きに出るというひとつのパターンがあり、兄弟姉妹や幼馴染が地元に残り、伝統を引き継ぐことが多い。「エール」の裕一と浩二はまさにこの関係である。

(※以下、一部「エール」以外の朝ドラに関するネタバレが含まれます)

「なつぞら」ではヒロインなつ(広瀬すず)がアニメーターになる夢を叶えようと東京に出て、心の友・天陽(吉沢亮)は地元で農業をしながら絵を描き続け、その対比を描いた。

「スカーレット」はヒロイン喜美子(戸田恵梨香)が十代のうち数年間、大阪で働いただけで、あとはほとんど信楽で生活する稀有なパターンであった。

一方、朝ドラレジェンド「おしん」(1983年)は1年間の大作だったこともあってか、故郷・山形、東京に働きに出て結婚して、夫の地元・佐賀へ、それから伊勢と舞台を転々とした。

「あまちゃん」は劇中歌で「地元に帰ろう」と歌われるだけあって、ヒロインあき(能年玲奈、現のん)は東京から母・春子(小泉今日子)の地元にやってきてすっかり気に入り、一旦東京に戻るも、また地元に戻っていくのである。

いま、日本は、地方から都市に人口が流出し過ぎて、その状態に歯止めをかけたいところ。地元に戻って生きる主人公も増えるかもしれない。(ザテレビジョン)

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