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豪華キャストと斬新な演出で大人気。リモートドラマは新しい「共感エンタメ」だ

  • 2020.6.12
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新型コロナ禍において、役者やスタッフが集まって制作するドラマや、お客さんを前にして上演する演劇などは厳しい状況に直面。しかしそんななかで、この苦境を逆手に取り、リモート環境を活かした新しいエンタメコンテンツが生み出された。著名人や有名クリエイターも続々と参加し、もはやこれからのエンタメの新しいジャンルとして確立しつつあるリモート制作コンテンツ。いま観るべきエンタメは、これだ。

「〇〇がないと」という常識を打破して生まれた、新しいエンタメの形

ドラマや映画は、ある場所でキャストとスタッフが揃って撮影を行う。舞台は、お客さんを前に舞台セットの中で演技を行う。私たちが作品を楽しむまでの過程で、エンタメの現場ではその条件下で制作が行われることが常識だった。しかし新型コロナ禍を機に、必ずしもこれらがマストな条件ではないことに気づくことに。

外出自粛で大勢の人が集まって制作することはできない、舞台にはお客さんを動員することもできない。それなら、リモートでコンテンツを作って、人々はそれを楽しめばいい。いわゆる「リモートドラマ」などと呼ばれるリモート環境で制作されたコンテンツが、続々と発表されている。

大きな注目を集めたひとつが、NHKで制作されたリモートドラマ。第一弾として5月に放送された『今だから、新作ドラマ作ってみました』は、柴咲コウさんや高橋一生さん、ムロツヨシさんといった錚々たる面々が、打ち合わせやリハーサル、もちろん本番収録も直接会わずに制作した。

しかし、そんな状況下で作られたとは思えないほど絶妙な掛け合いと、外出自粛の状況を逆手に取った“家に閉じ込められた”というシーン設定。テレビの前の人々は、普段放映されているドラマと何ら遜色なく、むしろ新鮮な気持ちでドラマを楽しみ、SNSなどでも大きな話題となった。

その後もNHKは、第二弾として脚本に坂元裕二さんを迎えたリモート制作ドラマ『Living』を放映。NHK以外にも、テレビ朝日ではレギュラー放送中だったドラマ『家政婦のミタゾノ』、WOWOWでは吉田羊と大泉洋を迎えたリモート制作ドラマが放送された。

この流れはドラマだけに止まらず、映画業界や舞台にも。2018年に大ヒットを記録した『カメラを止めるな!』は『リモート大作戦!』と称した完全リモート制作映画を配信。リモートならではともいえる、SNSで一般募集した人々も家から制作に参加するという、これまでにないコンテンツが生み出された。また、いつもは大勢のお客さんを前にして舞台でお笑いのネタを繰り広げている東京03も、リモートで単独公演を生配信で実施。「こんな形のエンタメもあるのか」と、視聴者にとってもこれまでにない新しいものを見せてもらっているような気がする。

未曾有の状況から生み出されたリモート制作コンテンツ。それは、いま誰もが同じ状況を過ごしているからこそ、より驚き、楽しむことができるのだ。

現在、すでに多くのリモート制作コンテンツが発表されている。次ではその中から、現在配信中の注目の3作品をご紹介していこう。

A day in the home Series

「A day in the home Series」Huluで配信中 (C)2020SS/ROBOTHarumari Inc.

6月6日からオンライン動画配信サービス「Hulu」で配信が開始された、『A day in the home Series』。監督した映画2作品の公開が延期となっている日本を代表する映画監督・行定勲さんが、初の完全リモート制作に挑んだショートムービーだ。

公開されたのは、2作品。柄本佑さん、高良健吾さん、有村架純さんらが出演した『きょうのできごと a day in the home』は、オンライン同窓会が舞台。外出自粛期間中、高校の同窓生がリモートで飲み会を開き、みんなで好きな映画について語り出す。次第に話題は忘れられない女性の話になるが、それぞれのエピソードを聞いていくうちに、みんなの頭には同じ女性が思い浮かび……。流行りのオンライン飲み会を通した、若者たちの姿が描かれている。

そして、もう1作品の『いまだったら言える気がする』には、中井貴一と二階堂ふみらが出演。リモートで会話をしている、バツイチの小説家と売り出し中の若い女優の恋人たち。女優はコロナの影響で出演する舞台が中止となり愚痴をこぼしており、小説家は慰めつつも、彼女に何かを伝えるきっかけを探っている。そんなとき、見知らぬ若い女性が会話に割り込んできて……。小説家と女優の会話を軸に、“自粛生活下での大人のラブストーリー”が紡ぎ出されている。

豪華キャストの共演にも胸が躍る本作。誰もが家にいたあの時間を行定監督がどのようにストーリーにして切り取ったのか、その目で確認してみてほしい。

リモートな恋

水原希子さんと志尊淳さんが共演しているドラマ『リモートな恋』も、6月8日から配信がスタートした。TIkTokで毎日19時に配信される同作は、1話あたりなんと90秒。

ふたりの自宅で収録されたという同作は、テレビ電話の画面を通した映像。外出自粛で会えずにいるカップルの様子を描いており、お互いの寂しさや不安などが、90秒間にぎゅっと詰め込まれて紡がれていく。ふたりのリアリティのあるやりとりに、本物のカップルのテレビ電話を覗き見してしまっているかのような気分になることだろう。

カップルだけどふたりが隣あう姿が映らないことも話題の『リモ恋』。自粛期間の様子を描いたという点では先述の『A day in the home Series』と同じだが、スマートフォンを使った恋人たちのテレビ電話という新しいシチュエーションのドラマに、また違った世界が見えるはずだ。

さらば青春の光と10人の女たち さらばのリモコメ

お笑い芸人のさらば青春の光も、リモートならではのコメディコンテンツを公開。CBCテレビのWEB配信企画としてスタートした『さらば青春の光と10人の女たち さらばのリモコメ』では、それぞれ自宅からの収録で即席コントに挑戦している。

毎回のゲストには、清水あいりさん、丸山桂里奈さんなどのバラエティタレントから、女優のいとうまい子さん、元衆院議員の金子恵美さんといった意外なキャストまで召集。個性あふれる10人の女性と、リハーサル・撮り直しは無しのぶっつけ本番コメディを繰り広げている。「毎回異なるテーマで作る新感覚即席コントは、成立するのか?」。画面上なのに生で舞台を観るよりもお客さんがドキドキする演出に、出演している張本人であるさらば青春の光の森田さんは「単独ライブでもこんなにやったことない!」と新鮮でありながらも苦しい様子。「オンラインキャバクラ」「オンライン面接」といったリモートならではの設定と、女性ゲストのキャラクターが爆発するここでしか見られない1回きりのコントは抱腹絶倒だ。

限られた条件でありながら、むしろよりエンタメの楽しみの幅が広がったように感じるリモート制作コンテンツ。コンテンツの中で繰り広げられる状況下と近い状態を経験したという共感性も、視聴者が楽しめる理由のひとつになっているに違いない。だからこそいま、リモート制作コンテンツを観てほしいのだ。

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