1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 飲み会、恋愛、政治参加…イマドキ若者に学ぶ「自粛中のすごい休日の過ごし方」

飲み会、恋愛、政治参加…イマドキ若者に学ぶ「自粛中のすごい休日の過ごし方」

  • 2020.5.19
  • 28065 views

外出の自粛要請が続く中、若者たちはオフタイムをどう過ごしているのでしょうか。若者の行動や価値観に詳しい原田曜平さんが、新社会人男女4人によるオンライン座談会を開催。そこから見えてきたのは、イマドキの若者たちの意外な姿でした。

若い女性 TV
※写真はイメージです(写真=iStock.com/TARIK KIZILKAYA)

【座談会メンバー】
Aさん/IT系企業でオンライン研修中。女性
Bさん/人材サービス企業でオンライン研修中。女性
Cくん/動画配信サービス企業で毎日出勤中。男性
Dくん/人材サービス企業で在宅勤務中。男性

外出自粛で変わるオフタイムの過ごし方

【原田】4月に緊急事態宣言が出されて1カ月近くがたったね。外出自粛が続く中で、皆はアフター5や休日をどう過ごしているのかな。

【Aさん】平日は17時半までオンライン研修を受けて、終わったらランニングしています。毎日5~6kmは走っているかな。休日にはちょっと手の込んだ料理をつくったり、うどんを打つところから始めてみたりしています。普段は料理しないんですが、せっかく時間があるからと思って(笑)。

【Bさん】私もオンライン研修中で、定時は18時半ですが19時まで延びることが多いですね。その後はオンラインで就活生から相談を受けたり、同期や学生時代の友達とZoom飲みをしたりしています。

【Cくん】僕は平日は普通に出勤しています。残業も多くて帰宅後は疲れちゃってあまり何もできないんですが、週に1回ぐらいは友達とZoom飲みしていますね。休日は趣味のプログラミングに没頭していることが多いので、コロナ前とほぼ同じ過ごし方をしています。

【Dくん】僕は在宅勤務ですが、仕事が終わるのは19時ぐらい。その後は自宅で映画を見たり本を読んだりしています。休日は3密を避けて、夜にドライブやサイクリングに出かけています。東京タワーとかみなとみらいとか、人が少なくて夜景がきれいな場所へ行くことが多いですね。

若者より昭和世代のほうが滅入ってしまうワケ

【原田】皆、自分なりに楽しんでいるようだね。僕の世代は、外出自粛やリモートワークで気が滅入っている人が結構多いんだよ。職場の人に会えなくてさびしいとか、休日に何をすればいいのかわからないとか……。そこへ行くと若者はITスキルも高いから、Zoomなどを使ってエンジョイできている傾向があるね。Bさんは就活生から相談を受けているそうだけど、それは仕事とは違うの?

【Bさん】OBと就活生を結ぶアプリ「Matcher(マッチャー)」に登録しているんです。私は人材業界で働いているので、就活生のサポートも競合他社の調査もできて一石二鳥かなと思って気軽に登録したんですが、問い合わせが予想以上に多くて。休日も含めて1日2~3件ぐらいは相談に乗っています。

【原田】休日も相談があるのは大変だけど、平日は通勤がない分、浮いた時間をうまく使っているんだね。それと、皆、飲み会にはZoomを活用しているようだけどDくんは違うの? リアル飲みのほうが多いのかな。

【Dくん】リアル飲みもZoom飲みもしていないです。周りには、毎週金曜日は“花金”だからってZoom飲みしている人も多いけど、僕は嫌なんですよ。終電が関係ないから皆1時過ぎまで飲んでて、眠くても抜けられないんですよね。

【Aさん】うちの会社でも、毎週100人以上のZoom飲みが開催されています。でも私も嫌で、3分ぐらいですぐ退出しちゃってます。

【原田】Zoom飲みは、僕も相手を夜中の3時まで付き合わせたりしているよ。実は嫌がられているのかな(笑)。それと、外出自粛の中で恋愛はどうしているの? 今は彼氏や彼女ともなかなか会いにくいよね。

「今はデートしない派」の意外な本音とは

【Aさん】私は彼氏と全然会ってないです。だって今の状況じゃ気軽に会えないし、皆そうなんじゃないのかな。

【Bさん】私は2週間に1回ぐらいは会ってる。私は実家だから、彼氏の家に行ってNetflix(ネットフリックス)でドラマや映画を観たり、近所を散歩したり。ちょっと手間をかけて、スープカレーなんかをつくって一緒に食べることもあります。AさんはZoomでも会ってないの? 別れちゃいそう。

【Aさん】Zoomでも会ってないけど全然大丈夫。逆に、今はできるだけ接触しないようにしてるんです。今のうちにすごくキレイになっておいて、1~2カ月後に会った時にびっくりさせようと思って。

【Dくん】僕は、彼女とは夜にドライブやサイクリングをしています。でも、3密には常に気をつけていますよ。

イマドキのお家時間の過ごし方

【原田】恋愛事情も、この状況下ならではという感じがして面白いね。今だからできることとして、他にはどんな楽しみ方をしている子が多いのかな。

【Bさん】Netflixを観始めた子は多いですね。私は外出自粛が始まってから韓国ドラマにハマってて、特に『青い海の伝説』とか最高に面白いです。

【Aさん】私はアメリカのリアリティ番組『ル・ポールのドラァグ・レース』にハマってます。女装家の勝ち抜きコンテストを追いかける番組なんですが、出演者が皆“令和のギャル”って感じで面白いんですよ。同じ番組を観ている友達とは、ドラァグ・クイーンのコスプレをしてZoom飲みしたりして遊んでます。普段と違うメイクをするだけで異世界に飛べるから楽しいですよ。

【Dくん】僕は外出自粛をきっかけにプレステ(プレイステーション)を買いました。周りでも皆すごくたくさんソフトを買っていて、「今のうちに」ってゲームを謳歌してるみたいです。

【Bさん】ハンドメイド商品を売り始めた子も多いですね。韓国発の「ボンボンキャンドル」とかを手づくりして、アプリを使って売っています。会社には、空いた時間を活用して副業を始めた人や起業した人もいます。

【Aさん】周りでは、Hulu(フールー)で2000年代のドラマを観るのも流行っていますよ。私たちが小中学生の頃に観ていた『女王の教室』とか、「超懐かしい!」って言い合いながら浸っています。

【Dくん】あと、インスタグラムの生放送機能を使って「インスタライブ」を配信する子も増えたかな。ただ普通にしゃべっているだけなんですけど、外出自粛のおかげで視聴する人も多いみたいで。そのせいでアイドル気取りのヤツが増えてて、ちょっとどうかなと思います。

【Cくん】それ、僕の周りにも多い。視聴者が多いと人気があるって勘違いしやすいんだけど、「外出できないし暇だから」って何となく見ている人がほとんどなんじゃないかな。

「自粛しない若者たち」の報道をどう思う?

【原田】話を聞いていると、皆はしっかり外出を自粛しているようだけど周りはどうなの? 一時は「自粛しない若者たち」って若者を批判するような報道もあったよね。

【Cくん】確かに、周りにはクラブに行ったり路上で飲んだりと、批判されてもおかしくない子もいました。でも、そんな行動をする人はほんの一部だと思います。

【Bさん】自分の周りを見る限りでは、外出しているのは若者だけじゃないと思います。だから、よくニュースで言っている「若者」って何歳ぐらいを指すのかなって不思議で。私は20代だと思っていたんですが、スーパーに行くと同世代はほとんどいなくて上の世代の人ばかりだし。

【Aさん】私は、そう言われても憤りは感じないです。最近はマスコミも「若者」ってひとくくりにせずに報道してくれるようになったし、日テレの藤井貴彦アナは「今テレビを見ている皆さんのような人たちがいるからこそ医療崩壊を防げています」とか、自粛している私たちの心に響くことを言ってくれる。そういう情報は若者が見るSNSでも拡散されているので、くやしさは感じなくなりました。

【原田】ニュースで言われる「若者」には君達も入っているよ。でも実際は、自粛要請に応じている若者はかなり多いと思うんだ。逆に僕の世代は、ITスキルがない分、家で楽しむことができなくて、外でストレスを発散しがちになっている可能性がある。そう考えると、社会に配慮する意識は若者のほうがむしろ高いのかもしれないね。

コロナを機に政治意識が高まる若者たち

【Aさん】若者の間では、コロナをきっかけに政治意識も高まっているように思います。若者が、休業要請で経営危機になったクラブやライブハウスを守ろうって署名活動をした時には、実際に東京都が動きましたよね。これで「政治に参加する手段は選挙だけじゃないんだ」って皆が気づいたと思うんです。おかしいと思ったら声を上げていいんだって。若者の意識が変わり始めているから、今後は政治も変わっていくんじゃないかと思います。

【原田】日本の若者は、海外に比べて政治への参加度が低いと言われてきたけど、コロナで大きく変わりつつあるんだね。それはとてもいいことだと思うし、どんどん政治を動かしていってくれることを期待しているよ。

外出自粛が続く中でも、若者たちは定額制の動画サービスやアプリ、インスタ、ゲームなどでしっかり楽しんでいるようです。時間があるうちにと、新しい趣味にチャレンジする姿勢も見てとれました。また、コロナをきっかけに政治への参加意識も高まっているようです。私たち大人は、とかく「会社に行けない」「遊びに行けない」「日本経済がダメになる」と後ろ向きになりがちですが、目の前の時間やその後をどう有意義に過ごすか、前向きに考える必要があるように思います。

構成=辻村洋子 写真=iStock.com

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。

元記事で読む
次の記事
の記事をもっとみる