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債務整理には4種類ある!それぞれのメリットデメリット&手続き方法をFPが解説

  • 2020.5.16
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借金苦に陥っている場合には、債務整理という方法があります。債務整理は借金の程度によって、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産のいずれかが選べます。この記事ではそれぞれのメリット・デメリットと、手続き方法について紹介します。ぜひ参考にしてください。

4種類の債務整理を解説!

多重債務や多額の借り入れなどで返済が困難となり、借金苦に陥っている場合には、債務整理という方法があります。債務整理とは、借金問題を合法的に解決する手段です。債務整理は弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、お金の悩みをスムーズに解消可能です。

一般的によく行われる債務整理は任意整理・個人再生・自己破産の3つですが、自分で手続きを行う特定調停や、債務整理に付随した過払い金請求などの方法もあります。まずはそれぞれの内容がどういうものか、種類や意味を詳しく解説いたします。

  • 負債が軽減される任意整理
  • 難易度が高い特定調停
  • 法人破産時にも活用される個人再生
  • 負債が帳消しになる自己破産
  • 【番外編】払い過ぎたお金が戻る過払い金請求
1.負債が軽減される任意整理

任意整理とは、将来利息をカットしてもらい、借金の負担を軽減する方法です。借金残額は3年~5年ほどで完済を目指す方法ですが、返済負担が減ることで無理なく返していけるようになります。

裁判所を通さず、債権者と協議の上で行う手続きで、債務整理の中で一番カンタンに行える方法です。

2.難易度が高い特定調停

特定調停とは、裁判所を通して借金の負担を軽減する方法で、簡易裁判所が債務者と債権者の仲裁をします。将来利息をカットし、元本をベースとした残金を返済する整理方法であるため、借金の負担軽減となります。

ただし、専門家に依頼するのではなく、自分で手続きをする方法であるため、難易度が高く現実的ではありません。専門知識がない一般の人であれば、ほかの債務整理法がおすすめです。

3.法人破産時にも活用される個人再生

個人再生とは、借金の負担を5分の1程度まで大幅に軽減できる方法です。住宅や車などの資産を失わずに借金整理ができるため、一気に借金苦から脱出可能です。

お金の悩みを持っている個人だけでなく、会社を破産させた経営者が行うことも多いです。会社の負債は何とか支払うけれども、自宅を失うなど家族に迷惑をかけたくないために個人再生を選ぶケースが多いようです。

4.負債が帳消しになる自己破産

自己破産とは、資産を失う代わりに借金を帳消しにする方法です。住宅や車などの資産は没収され、残せる現金も99万円が上限となります。ただし、借金はなくなるため、イチからやり直しができる方法です。

借金額が大きいと将来の見通しが立たなくなりがちですが、思い切って自己破産することによって早期に自立しやすくなります。

【番外編】払い過ぎたお金が戻る過払い金請求

過払い金請求とは、借金返済によって払い過ぎた金額を取り戻す方法です。厳密にいうと債務整理ではありませんが、債務整理に関連して紹介されることが多いです。

貸金業者は出資法により29.2%以内の金利で融資をしてきましたが、利息制限法の金利は15%~20%が上限となっています。この間の金利のことをグレーゾーン金利といい、グレーゾーン金利分は過払い金として取り返すことができるのです。

2010年6月17日以前に借入開始した人、完済から10年以内の人は、過払い金が発生している可能性が高いので、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

任意整理のメリット・デメリットと手続き方法

任意整理は、借金完済の目途が立たないときに行う方法です。具体的には、150万円の借金があったとして、1年後にもまだ150万円の元金が残っているようなときです。

この場合、利息分しか返済できていないことになりますので、任意整理を検討する目安となります。そんな任意整理について、以下項目を解説します。

  • 任意整理のメリット
  • 任意整理のデメリット
  • 手続きの流れと必要書類

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任意整理のメリット

任意整理は、将来利息がカットできて借金の負担が軽減されることが最大のメリットですが、ほかにも督促が止まるというメリットもあります。

金融業者からの督促はハガキや電話で行われるため、闇金のような恐ろしい督促ではありません。とはいえ、督促が入るたびにお金のことを考えなければならず、心の負担は大きいです。

そのストレスから解放されるため、静かな生活を取り戻せます。また、返済計画の立て直しにより、無理のない返済ができるようになることや、裁判所を通さない手続きであるため、手軽に行えるメリットもあります。

任意整理のデメリット

任意整理のデメリットは、信用情報にキズが付くことや、安定収入が必要であるなどです。個人の金融取引は信用情報機関に記録されており、任意整理をすると事故記録が載ってしまいます。

そのため、少なくとも5年間はローン取引ができません。クレジットカードの利用もできないので想定が必要です。また、裁判所を通さないため、法的拘束力がありません。

その結果、債権者との交渉が物別れとなる可能性もあります。銀行カードローンや大手消費者金融などの場合は応じることが多いですが、街金のような中小事業者は応じない可能性もあります。

手続きの流れと必要書類

任意整理は弁護士や司法書士への相談からスタートします。あなたの代わりに手続きをする委任契約が完了すれば、債権者に対して受任通知や取引履歴の開示請求が行われ、督促がストップします。

その後、今後の返済額の再計算が行われ、弁済原資金の積立て、和解交渉・契約締結、返済の順に進みます。いずれも専門家がサポートしてくれるので、迷わずに進めることができるでしょう。

任意整理で必要な書類は、運転免許証などの本人確認書類、印鑑、利用していたクレジットカードやローンカードです。相談前に準備しておきましょう。

《任意整理の必要書類》
  • 運転免許証などの本人確認書類
  • 印鑑
  • 利用していたクレジットカードやローンカード

特定調停のメリット・デメリットと手続き方法

特定調停も、借金の元本がいつまでも減らない場合に行うとよいでしょう。特定調停について以下項目を紹介します。

  • 特定調停のメリット
  • 特定調停のデメリット
  • 手続きの流れと必要書類
特定調停のメリット

特定調停のメリットは、任意整理同様に将来利息がカットされるところです。借金総額が少なくなるため、生活再建がしやすくなります。

特定調停のデメリット

特定調停のデメリットは、手続きをすべて自分で行う必要があるところです。途中で分からないことが出てくれば、手続きが遅れたり調停が失敗に終わったりする可能性があります。

また、専門家が間に入らないことによって、債権者が認めてくれない可能性も高くなります。知識やノウハウ豊富な債権者に比べて債務者側は丸腰ですので、不利となることもあります。

そのため、特定調停を行う人は極めて少ないです。特定調停をした場合も信用情報ブラックとなり、5年はローン取引ができません。

手続きの流れと必要書類

特定調停は、簡易裁判所への申立てから始まります。このとき、印鑑や家計の状態が分かる書類、給与明細などの収入証明書、借金の契約書などが必要です。

申立て後に裁判所から呼び出し状が届き、調停準備日に裁判所へ出向きます。この段階で調停委員によるヒアリングが行われます。調停期日には調停委員が間に入り、債権者と直接交渉することなく合意を目指します。合意となれば返済がスタートとなります。

《特定調停の必要書類》
  • 印鑑や家計の状態が分かる書類
  • 給与明細などの収入証明書
  • 借金の契約書など

個人再生のメリット・デメリットと手続き方法

個人再生は、借金が200万円以上ある場合におすすめの方法です。5,000万円を超えない借金を大幅カットしてくれるため、自立しやすい方法です。個人再生について以下項目を解説します。

  • 個人再生のメリット
  • 個人再生のデメリット
  • 手続きの流れと必要書類

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個人再生のメリット

個人再生はメリットが多い手続き方法です。借金を5分の1程度まで大幅にカットしてくれることや、自宅や車などの資産を失わずに整理ができること、借金理由にかかわらず手続き可能であることなどがあげられます。

たとえば500万円の借金をしている場合、借金が5分の1となり、100万円を3年程度で返済することになります。弁護士費用が50万円ほどかかったとしても、借金負担が一気に軽減され自立しやすくなります。

また、ギャンブルによる借金など理由を問わず整理できるため、多くの人が利用しやすいです。自宅や車などの資産は維持できるので、家族に迷惑をかけずに債務整理可能です。

個人再生のデメリット

個人再生のデメリットは信用情報ブラックとなること、安定収入が必要であること、官報に載ることの3つです。個人再生の場合も信用情報にキズが付くため、5年以上はローン取引ができません。

また、安定収入が必要であるため、失職による借金苦にはフォローが困難です。再就職後であれば手続き可能ですので、この場合にはすぐ仕事を探しましょう。

また、国が発行している官報に掲載されるため、裁判に関わる人や不動産事業者など特定の人が目にする可能性があります。場合によっては闇金が官報を見て勧誘するケースもありますので、その場合は無視しましょう。

デメリットを羅列しましたが、トータルバランスを考えると圧倒的にメリットが多い方法です。

手続きの流れと必要書類

個人再生は、専門家への無料相談に始まり、委任契約、受任通知・取引履歴開示請求と進みます。債権調査や家計調査など各種調査が終われば、申立てとなります。

個人再生はトレーニング期間があり、弁済見込額を6カ月間支払わなければなりません。トレーニング期間が終わってから個人再生手続きの開始が決定されます。

各種手続き関連書類は弁護士が作成してくれ、裁判所の認可が下りれば返済スタートとなります。個人再生の必要書類は戸籍謄本や住民票などの本人確認書類、給与明細などの収入証明のほか、2年分の所得課税証明書または所得非課税証明書、過去2年分の通帳を求められます。

ほかにも保険証書や固定資産評価証明書など、財産の情報がわかる書類、借金の契約書などが必要です。

《個人再生の必要書類》
  • 戸籍謄本や住民票などの本人確認書類
  • 給与明細などの収入証明
  • 2年分の所得課税証明書または所得非課税証明書
  • 過去2年分の通帳
  • 保険証書や固定資産評価証明書など、財産の情報がわかる書類
  • 借金の契約書など

自己破産のメリット・デメリットと手続き方法

自己破産は借金額が大きくて返済できない場合、安定収入がなく個人再生ができない場合などに行います。借金が帳消しになるため、お金の面でリスタートできます。自己破産についても以下項目を解説します。

  • 自己破産のメリット
  • 自己破産のデメリット
  • 手続きの流れと必要書類
自己破産のメリット

自己破産のメリットは、借金が帳消しになるところです。また、現金99万円、預貯金20万円、時価20万円以下の物など、生活に必要な最低限のお金は残せるため、生活を立て直ししやすい方法です。

自己破産のデメリット

自己破産をすると信用情報ブラックとなり、5年~10年はローン取引ができなくなります。任意整理や個人再生よりも事故記録掲載期間が長いため、注意しなければなりません。

また、自己破産をした場合は20万円以上の財産が没収されるため、住宅や車も手放す必要があります。これまでと生活環境が変わる可能性があることも想定しておきましょう。

さらに、特定の仕事に就けなくなるのもデメリットです。警備員や古物商、士業、宅地建物取引士などにはなれませんので、あらかじめ把握しておかなければなりません。

加えて、個人再生同様に官報に掲載されるデメリットもあります。つまり、自己破産はこれらデメリットを踏まえた上での最終手段です。

手続きの流れと必要書類

自己破産の手続きも専門家への相談からスタートします。受任されれば法定金利への引き直し計算が行われ、過払い金があれば請求できます。

必要書類収集などの準備が終われば、裁判所に申立てを行います。その場で裁判官を面接を行い、別途、破産手続開始が決定すれば、裁判官との面接が行われます。そして免責許可決定という流れです。

自己破産手続きに必要な書類は、自己破産申立書(裁判所に用紙あり)や陳述書、住民票・戸籍謄本です。また、3カ月分の給与明細書や2年分の預金通帳、源泉徴収票または課税(非課税)証明書も求められます。

資産がある場合には、不動産登記簿謄本と居住証明書などの居住地に関する資料、車検証、保険金解約払戻金証明書などが求められます。これらは保有資産ごとに必要な資料です。

《自己破産の必要書類》
  • 自己破産申立書(裁判所に用紙あり)や陳述書
  • 住民票・戸籍謄本
  • 3カ月分の給与明細書や2年分の預金通帳、源泉徴収票または課税(非課税)証明書
  • 資産がある場合は各種証明書

債務整理の種類に関するまとめ

債務整理は任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つがあり、特定調停以外の3つが一般的に行われます。弁護士などの専門家に依頼すればスムーズな手続きができるため、迷うことはないでしょう。

債務整理はお金の悩みから解放されるなどのメリットがある一方、信用情報にキズが付くなどのデメリットがあります。とはいえ、今のままだと苦しいから検討されていると思いますので、まずは気軽に専門家へ相談しましょう。

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