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「エール」RADWIMPS野田の好演も話題!星野源・西川貴教…“瞬発力&リズム感”で朝ドラ彩るミュージシャン俳優

  • 2020.5.16
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「エール」第31回より (C)NHK
KADOKAWA

【写真】大きな話題となった、野田洋次郎の見事な弾き語りシーン(「エール」第33回より)

2020年度前期の“朝ドラ”こと連続テレビ小説「エール」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。5月11日~放送の第7週よりRADWIMPSの野田洋次郎が裕一(窪田正孝)の同僚として本格的に登場。劇中で披露された弾き語りは、SNSなどで「さすが本業のミュージシャン!!」と盛り上がりを見せており、歌以外の演技についても「違和感がない」「ほかの役者さんと混ざっても自然」などの声が寄せられている。

そんな野田や、裕一の恩師役で出演している森山直太朗など俳優としても活躍する“ミュージシャン俳優”達について、フリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、第7週までのネタバレが含まれます)

オペラから歌謡曲まで様々な音楽がドラマを盛り上げた

「エール」第32回より (C)NHK
KADOKAWA

朝ドラ「エール」7週目からは東京編。古山裕一(窪田正孝)と音(おと/二階堂ふみ)が結婚して、いよいよ二人三脚の日々がはじまった。新婚生活の初期は食生活の違い(味噌や納豆の好み)に戸惑ったり、裕一の浮気疑惑に音が激怒して夫婦喧嘩したりと、新婚生活描写の定番は老若男女楽しめるものになっていた。

裕一が作曲家として契約したコロンブスレコードには、調子のいいディレクター廿日市誉(はつかいち・ほまれ/古田新太)と、クールな秘書・杉山あかね(加弥乃)、同期の木枯正人(野田洋次郎)、住居を斡旋してくれた近所の喫茶店バンブーには人の好い夫婦・梶取保(野間口徹)と恵(仲里依紗)と、ユニークな登場人物による軽演劇のようなやりとりが繰り広げられる。

笑いいっぱい。さらに音楽もいっぱいで、裕一が本格的に音楽の道を歩み始めたことで、オペラから歌謡曲まで様々な音楽が場面を盛り上げていく。音が入学した東京帝国音楽学校には裕一の幼馴染・佐藤久志(山崎育三郎)が「プリンス」と呼ばれ人気者になっていた。

ミュージカル俳優である山崎は「ドン・ジョバンニ」の一曲「お手をどうぞ」を、同じくミュージカルに多く出演している小南満佑子(夏目千鶴子役)と共に本格的に、吹き替えなしで歌い上げた。また、昭和のヒット曲「影を慕ひて」をRADWIMPSの野田洋次郎が弾き語る一場面も。ホンモノだらけで贅沢な一週間だった。

野田洋次郎は俳優デビュー作で「日本アカデミー賞新人俳優賞」受賞

【写真】大きな話題となった、野田洋次郎の見事な弾き語りシーン(「エール」第33回より)
「エール」第33回より (C)NHK

野田洋次郎は、大ヒットしたアニメーション映画「君の名は。」の主題歌「前前前世」を手掛けたミュージシャンとして高い知名度を誇るが、俳優としても活躍している。2015年、映画「トイレのピエタ」で主演、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、その後、2017年にはテレビドラマ「百万円の女たち」(テレビ東京)でも主演した。

俳優デビュー作である「トイレのピエタ」で野田を見たときは、映画やドラマで見かけない顔が新鮮だったこともあるし、彼の身体からにじむ異様なまでの虚無感に目を奪われた。絵を描くことに挫折して、癌になってと、とことん追い詰められていく主人公。だがやがて、内側で持て余した生命の焔が燃え始める……。虚無と生命力の差をあくまで淡々と演じていくところに怪物感があった。

「百万円の女たち」では小説家役。こちらは同居することになった謎の女たちに翻弄されていく受けの演技を的確に演じ、デビュー作が決してビギナーズラックではなかったという実力を感じさせた。そして、朝ドラデビュー。裕一のライバルで、昭和のヒットメーカー古賀政男をモデルにした役を、掴みどころのない感じに演じている。さらりと歌詞に曲をつけるところなんかはさすが音楽の専門家。これから裕一とどんなふうに絡んでいくのか楽しみである。

森山直太朗、西川貴教、峯田和伸、星野源も

「エール」第27回より (C)NHK
KADOKAWA

「エール」には福島編で、裕一の恩師役で、森山直太朗が出ていて、彼もまた、ミュージシャンでありながら俳優もやっている。1月〜2月に放送された「心の傷を癒すということ」(NHK総合)の主人公の兄役はドラマのメッセージを強く語りかける重要な役だった。

振り返ると、朝ドラはミュージシャンを俳優として起用していることが多い。「スカーレット」では西川貴教、現在再放送中の「ひよっこ」では峯田和伸、シシド・カフカ、古舘佑太郎、同じくBS で再放送中の「はね駒」では沢田研二、「まんぷく」では浜野謙太(「とと姉ちゃん」にも)、岡崎体育、「まれ」で渡辺大和、「あまちゃん」でピエール瀧、「ゲゲゲの女房」に星野源、「ちゅらさん」で鮎川誠など。

歌う人もいれば(渡辺大和)、歌うこともなく別の面でカリスマ性を発揮する人など様々ではあるが、ドラマの中で、皆、とてもいいアクセントになっている。

西川貴教は天才アーティスト役で圧倒的な存在感を発揮したし、峯田和伸はロックを愛する純朴な人物にリアリティーがあった。星野は大人計画で演劇もやりながら音楽活動をしているので、ミュージシャンが俳優に抜擢されたという形ではなく、やや地味めな脇役(ヒロインの弟)に徹するという渋い技を見せている。

ミュージシャンが俳優に抜擢されるのは朝ドラに限ったことではなく、多くのドラマや映画にミュージシャンは出演していて、俳優顔負けのいい演技をすることは少なくない。私は以前、「なぜミュージシャンは芝居が巧いのか」という記事を書いたことがあり、そのとき田口トモロヲ(彼も演劇と音楽を両方やっている)に下記のようなコメントをもらった(抜粋)。

「大きな枠組みとしては、システムや方法論が違うだけで、音楽も芝居も同じ自己表現のひとつだと思います。古くは植木等さんやフランキー堺さんのように、何の違和感もなく芝居の中に存在出来るミュージシャンが多数います。ミュージシャンうんぬんではなく、その作品に出演する必然があるから出ているように思います。芝居はある種の理論的な思考力を必要とし、俳優は全体に目くばりしながら他者とコラボしていきますが、ミュージシャンは感覚&感性の瞬発力とリズム感で、イイ意味でおかまいないしで物語の中に存在出来る強みがあるかもしれません」

(ヤフー!ニュース個人 2017/8/18配信「田口トモロヲ、星野源、峯田和伸、ユースケ・サンタマリア、福山雅治……ミュージシャンは芝居が巧いのか」より)

感覚&感性の瞬発力とリズム感がドラマにいい効果を与えているのは確かだろう。裕一をレコード会社に契約させた重鎮作曲家・小山田役の志村けんさんも、所属していたザ・ドリフターズでギターを担当しており、彼のギャグに音楽は欠かせなかった。

ミュージカル俳優、ミュージシャン……と音楽が血肉になっている俳優たちによって「エール」の主題である音楽の世界に強度が増していく。裕一がヒット曲を生み出すターンに早く進んでほしい。(ザテレビジョン)

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