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一つの茶葉を、飲んで、食べて、ゆったり過ごす。〈SAKUU 茶空〉

  • 2020.4.14
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2月にグランドオープンした〈JINNAN HOUSE〉。渋谷から少し離れ、落ち着いた雰囲気の神南エリアに誕生した小さな複合施設だ。緑の生茂る庭には水色のフードトラック、2階建ての建物にはギャラリー&イベントスペース、そして“茶食堂”〈SAKUU 茶空〉が入居している。伊藤園が茶葉を厳選するこのお店は、ブランディングディレクターの福田春美さんがディレクション。お茶を新たな角度から見つめられる、豊かな体験ができる。

日本茶のティースタンドやティーサロンは今やスタンダードになりつつある。静岡茶、鹿児島茶というざっくりした呼び名ではなく、お茶にもシングルオリジンが登場している時代だ。日本茶の奥深さが再認識されている今、「天竜茶」のみでドリンクや定食に展開する〈SAKUU 茶空〉の在り方はまた新鮮に映る。

”氷蒸し”で茶葉の旨みを味わう。

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天竜 氷蒸し 四煎 750円

ここでは、「スタンダード 三煎」と「氷蒸し 四煎」、2種類の淹れ方で提供する。「今回改めて日本茶について勉強してみたら、茶葉をいかにコントロールするかが大事だと気がつきました」と福田さん。独自に開発した“氷蒸し”で抽出されるのは、茶葉の旨味(テアニン)だけを引き出した出汁のような味わいだ。

茶葉ごと食べるヘルシー定食。

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罪悪感のない唐揚げ定食950円

「お茶は普通、抽出して飲むときには茶葉の3割程度の栄養しか取れないと言われています。そこで茶葉ごと食べられるようにしたらどうかと考えました」と福田さん。唐揚げの衣や野菜炒め、自家製のほうじ茶塩などで茶葉をそのまま摂取することができる。福田さんが「いくら食べても罪悪感がない!」と自負する唐揚げには、埼玉の米農家から取り寄せる無農薬の米粉を使用し、ヘルシーな印象。男子も満足できるボリュームだが、ペロリと完食できる。ここでまた茶葉の楽しみ方の幅広さを実感する。

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豚肩ロースの生姜焼き定食950円の野菜炒めは、ほうじ茶塩を使用したさっぱり味。

お茶の世界は道具を揃えるのも楽しい。〈SAKUU 茶空〉で使われる急須や器は、店頭での販売も行っている。氷蒸しに使う急須は、萬古焼の窯元〈南景製陶園〉と磁器作家イイホシユミコさんのコラボ作品。対して三煎に使うのは、今トレンドだという平型急須だ。これが、茶葉がよく広がる形なのだそう。食事を提供するオリジナルの器は、笠間で活動する陶芸家、菊地亨さんによるものだ。

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お菓子もみどころ。料理研究家の内田真美さんと〈菓子屋 ここのつ〉の溝口実穂さんによるお菓子は季節ごとに変化する。4月までの〈菓子屋 ここのつ〉のお菓子は桜餅600円。

いつまでも過ごしていたくなる居心地の良さも魅力。「気取らず、お茶にまつわる食べることを発信していけたらと思っています」(福田さん)。夜には卵焼きや生姜焼きなどのおつまみとともに、オリジナルティーカクテルなどアルコールも提供している。

〈SAKUU 茶空〉
東京都渋谷区神南1-2-5
03-6434-9675
11:30〜21:30LO(日〜19:00)
無休
16席(テラス席あり)
禁煙

photo:Norio Kidera text:Kahoko Nishimura

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