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名店出身のシェフが焼く、注目のベーカリー〈セテュヌ ボン ニデー〉へ。【川崎】隣接しているカフェでほっと一息も。

  • 2020.4.8
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パンラボ・池田浩明さんによる、Hanako本誌連載「まちをつなげるパン屋さん」を掲載。今回は、神奈川県川崎市にある〈セテュヌ ボン ニデー〉をご紹介します。

きらめくパンとベイクに結集した見事な技術。

「〈デュヌ・ラルテ〉にいたことは僕の誇りです」と有形泰輔シェフは言う。1990年代から、日本のパンシーンの進化を担った〈デュヌ・ラルテ〉の厨房で育ち、同店の元シェフである、〈365日〉の杉窪章匡(すぎくぼあきまさ)シェフに声をかけられて〈セテュヌ ボンニデー〉開店のシェフに抜擢されて、はや7年。自分からアピールする人柄ではない。その実力に比べて地味な感があったが、めきめきと来客数を増やし、マニアからの評価も高い。きっかけ次第で全国的名店へ飛躍しそうだ。「やっとスタートラインに立った感じですかね」

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フランス産バター「イズニー」を使用したクロワッサン250円。低温管理されたパイルームで、バターを溶かさないよう折り込む。濃厚なバター感とばりばり食感。

クロワッサン、フォカッチャ、パン・ド・ミ、タルトやフィナンシェ。なにを食べても、そのおいしさに驚かされてきた。国産小麦らしい風味と、ふわふわした食感。ひとつを追えば、もうひとつは損なわれかねない二兎を追って両取りするのは、卓越した技術と情熱のなせる業。

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「ブールブール」210円。イノベーティブな形がざくざく感を生む。
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品出しの光景。
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赤を基調としたデザインワークは「近未来のフランス」を表現。

たとえばバゲットを嗅ぐと、炊飯ジャーのフタを開けて、顔面に湯気を浴びたときのよう。それほど小麦の香りは濃厚だ。小麦と水を合わせて一晩おいて風味を引き出したあと、さらに一晩低温長時間熟成。計3日をかける力作だ。最近リリースしたマラサダは、小麦粉の配合と卵の量に試行錯誤し、試作に半年をかけた。仕上げにフランス産のフランボワーズから作るジャムを絞る。

「まずイメージから入って、そこに近づけていくのが、僕のやり方です」素材や製法を語るとき、有形シェフの目はきらきらしている。カスタードに使用する青森県の〈トキワ養鶏〉の卵、ハード系に使用する長野県〈なつみ農園〉の小麦。地元・麻生区の〈Slow Farm〉にはイチゴを採りに、有形さん自ら足を運ぶ。春を通じて、新鮮なイチゴが楽しめる。隣接した〈ベイクドカフェ〉の陳列棚や焼菓子のトッピングにときめく。かわいい食器を探して、自由が丘まで足を運ぶ、「乙女心」の持ち主でもある。

有形シェフが作るお菓子で一息。

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おいしいコーヒーと、オーブン料理、焼菓子を楽しめる〈セテュヌボンニデーベイクドカフェ〉前で、有形泰輔シェフと筆者。

隣接のカフェはオーブンを利用した「ベイク」がテーマ。煮込み料理や、「カスタードタルトいちごとフランボワーズ」380円、フィナンシェ(コーヒー)220円など焼菓子を。

〈セテュヌ ボン ニデー ベイクドカフェ〉
神奈川県川崎市多摩区登戸1889-1
044-931-6910
9:00〜18:00 火休
15席/禁煙

〈セテュヌ ボン ニデー〉

〈365日〉の杉窪章匡シェフに学んだ有形泰輔さんによる店。食パンやフォカッチャのような食事パンから、あんぱんのようなスイーツ系まで、隙のない完成度。
神奈川県川崎市多摩区登戸1889 今野ビル 1F
044-931-6910
7:30〜19:00 不定休(SNSで告知)

池田浩明 いけだ・ひろあき/パンラボ主宰。パンについてのエッセイ、イベントなどを柱に活動する「パンギーク」。著書に『食パンをもっとおいしくする99の魔法』『日本全国 このパンがすごい!』など。 パンラボblog

(Hanako1183号掲載/photo:Kenya Abe)

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