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仮想通貨は税率が高い?仕組み&計算方法をFPがわかりやすく解説!

  • 2020.4.5
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どんな投資でも、利益が出たら税金を支払うのが基本です。たとえば株式投資の場合、値上がり益や配当に対して「20%」の税金がかかります。もちろん仮想通貨にも税金がかかりますが、株や投資信託などとは税金の扱いが異なるので注意が必要です。

今回は、仮想通貨にかかる税率や計算方法、注意点などについて解説します。

仮想通貨でかかる税金のポイントは「雑所得」・「総合課税」・「累進課税」

仮想通貨でかかる税金のポイントは「雑所得」・「総合課税」・「累進課税」
出典:国税庁

このように最高だと45%の所得税、一律10%の住民税が課されます。株式投資の20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)などに比べ、高い税率が適用されています。

2000年代の初頭、個人投資家に普及し始めたFX( 外国為替証拠金取引)。当時のFXの利益は雑所得扱いで、原則確定申告が必要でした。しかし納税しなかったことが税務署に見つかり、巨額なペナルティを課されるケースが続出。

故意に確定申告しなかったケースもありましたが、確定申告をして税金を納めなくてはいけないことを知らず、結果として脱税してしまった投資家も多かったのです。現在は株式などと同じ20.315%になり、最高税率は引き下げられました。

税務署に脱税と判断されてしまうと、本来納付すべき税金に対して最大20%の無申告加算税を課されるだけでなく、悪質と判断されれば警察に逮捕される可能性もあります。

税金については、「知らなかった」では済まされません。利益ができた場合には、必ず確定申告して納税するという意識を持つようにしましょう。

仮想通貨で税金が発生するケース

仮想通貨で税金が発生するのは、主に以下の4つがあります。

  • 仮想通貨(暗号通貨)の取引
  • 仮想通貨で買い物
  • 仮想通貨を交換した場合
  • マイニングで仮想通貨を取得
仮想通貨(暗号通貨)の取引

仮想通貨の取引で利益が出たら、1月1日から12月31日までの1年分の合計額を計算して確定申告する必要があります。この合計額を計算する方法は、「総平均法」と「移動平均法」の2種類があります。

総平均法とは、年間の仮想通貨の購入平均レートをもとに計算した総購入金額と、売却金額の差額を計算する方法。一方、移動平均法とは、仮想通貨を購入するたびに購入額と残高を平均し、所得を計算する方法になります。

仮想通貨で買い物

仮想通貨での取引だけでなく、決済に利用した場合も「仮想通貨を使用したことで生じた利益」になります。つまり、仮想通貨で買い物をしたら課税対象になるのです。たとえば、5万円で購入したビットコインが25万円に値上がりしていのたで、25万のパソコンを購入したとします。

この場合、値上がり益の20万円(25万円ー5万円)を所得(雑所得)として申告する必要があるのです。つまり、投資目的で仮想通貨を売買したのと同じように、商品を購入するときに利益が出た分は課税対象となります。

仮想通貨を使える店は増えつつありますが、商品を購入する際に保有する仮想通貨で決済した場合、課税対象になるので注意が必要です。

仮想通貨を交換した場合

たとえば、ビットコインが5万円のときに1BTC=5万円で購入。1BTCが30万円の時に他の仮想通貨Aを1BTCで購入すると、

  • 仮想通貨Aの取得金額30万円-ビットコインの購入価格5万円=25万円

は雑所得になるので税金がかかります。

仮想通貨を日本円にしなければ課税されないと考えている人もいます。しかし、仮想通貨同士の交換にも課税され、国税当局も税務調査でチェックする事項になりますので、必ず所得を確認して損益計算するようにしてください。

マイニングで仮想通貨を取得

マイニングとは、新たなブロック(取引をまとめたもの)を生成し、その報酬として仮想通貨を手に入れること。ビットコインはユーザー同士で取引を承認し合うことで、不正を防いでいます。そしてマイニングを行う対価として、仮想通貨を得ることが可能なのです。

マイニングはビットコインを無料で手に入れられますが、高性能のコンピューターや電気代が必要になります。マイニングで取得した仮想通貨の時価から、これらの経費を引いた金額が課税対象になるのです。

このように、仮想通貨では取引行為によって損益が発生するタイミングが異なるので注意しましょう。

確定申告をするときは、損益発生のタイミングを考慮し、経費の集計などで専門的な知識が必要になります。わからないことがあれば、自分で判断しないで税務署や税理値に相談するようにしましょう。

仮想通貨を保有しているだけでは課税されない

仮想通貨を商品や円に交換せず、保有しているだけの場合は確定申告の必要はありません。仮想通貨の値段が上がって大きな利益が出ていても、売買しなければ税金はかからないのです。

仮想通貨の確定申告はいくらから?

仮想通貨による利益は、原則として「雑所得」に区分され課税対象になります。雑所得の所得金額が原則、合計20万円を超える場合は確定申告を行い、翌年所得税を納付します。

給与などの所得金額に雑所得を合算して計算するので、一律10%の住民税と合わせて最高55%の税率で課税されることになるのです。ただし、仮想通貨を保有した状態で利益が出ていても(含み益)、課税対象にはなりません。

確定申告の対象となるのは、該当する年の1月1日から12月31日まで。そして、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。仮想通貨で利益が出て確定申告が必要になるのは、以下の3つの場合です。

  • フリーランス・個人事業主
  • サラリーマンなど給与所得を得ており、1年に雑所得(仮想通貨など)で20万円以上の利益が発生した場合
  • 家族の扶養に入っており、1年に33万円以上の利益が発生した場合

サラリーマンなどで給与所得がある場合、会社で年末調整が行われます。しかし年間20万円以上の利益を仮想通貨で上げた場合、「給与所得・退職所得以外の収入が年間20万円以上」という要件に当てはまるため、確定申告しなければいけません。

ただ「利益」というのは、収入から諸経費の支出を差し引いた額になります。たとえば、仮想通貨を取引するために専用のパソコンを購入した場合は、経費として認められます。

またパソコンを使う時の電気代も経費として計上できます。しかし、仮想通貨取引のために使用した電気料金がわからなければいけません。1時間あたりの電力料金やパソコンを使った時間をわかるようにし、概算として電気料金を請求できるようにしておきましょう。

きちんと論理的に説明できるようにすれば、経費として認められる可能性が高くなります。また本を購入したり、セミナーに参加したりした場合も経費として認められます。いつ・何のために・いくらぐらい支出したかをわかるようにしておきましょう。

雑所得は確定申告で損益通算できない

以前はFXの利益も雑所得でしたが、2010年に一律20%となり、3年間の損失の繰越控除もできるようになりました。

2019年7月にJVCEA(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会)とJCBA(一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会)が、金融庁に対して以下のような税制改正要望書を出しました。

  • 損益通算・繰越控除の適用:損失が出た場合に他の所得と相殺できる「損益通算」や、損失を3年間繰り越せる「繰越控除」を仮想通貨でも認めること
  • 申告分離課税の適用:仮想通貨の現物取引・デリバティブ取引に申告分離課税を適用し、税率を20%にする
  • 少額非課税制度の導入:仮想通貨の少額の決済利用における所得については、課税対象から外す「少額非課税制度」を検討する

しかし金融庁の税制改正要望の中には、これらの事項はこれまで含まれていません。今後、仮想通貨で生じた利益でも損益通算や申告分離課税が認められるかもしれませんが、当分は雑所得として本業の給与所得と合算する「総合課税」で計算されます。

上場株式や公社債の利益には、他の金融所得と合算して課税の所得を減らせる「損益通算」と呼ばれる仕組みがあります。しかし、仮想通貨の取引は雑所得して扱われるので、上場株式や公社債のような損益通算はできません。

しかも、損失を3年間繰り越して将来の利益と相殺することもできないので、投資家にとって仮想通貨の税制は、株式やFXと比べて不利といえるでしょう。

確定申告の方法がわからない場合や税金について不明な点があれば、所轄の税務署に相談するようにしましょう。税務署の人たちは、納税する気持ちがある人には懇切丁寧にいろいろ教えてくれるはずです。

有効な節税方法

脱税は違法ですが、法律で認めて認められている節税は、少しでも利益を残すために活用するようにしましょう。

換金するタイミングを調整する

確定申告の対象となるのは、1月1日から12月31日までの1年間です。年末に利益を確定してしまうと、税率が上がってしまうこともあります。その年にいくらぐらい利益がでているのかをしっかり把握しておくことが節税につながります。

また仮想通貨は原則、損失を翌年に繰り越せません。ですから、年末に含み損のある通貨を損切りし、損失を確定することでその年の利益が少なくなり、税金を減らすことが可能です。

個人事業主として登録する

青色申告をすると、大きな節税メリットがあります。個人事業主として登録し、確定申告の方法を青色申告とすることで、税制上の優遇措置を受けることができるのです。

複式簿記が必要で、毎年確定申告をする必要はありますが、最大65万円に税額控除を受けられたり、赤字を3年間繰り越せたりするメリットがあります。

また個人事業主となれば、青色申告の利用で仮想通貨の利益を経費扱いすることが可能です。ただし、経費に認められるのは仮想通貨の取引に関係するものです。

たとえば仮想通貨の勉強のために購入した書籍やセミナー代、取引所へ支払った手数料や送金の手数料、情報収集に使ったパソコンの通信費など、経費として使えそうなものは領収書やレシートを保管しておくようにしましょう。

ただし、個人事業主として経費をして計上するには、事業所得として認められなければいけません。たとえば生活の糧となるほどの収入を得ているか、毎日の仕事として継続できているかなどが必要です。

仮想通貨の確定申告に必要な書類

仮想通貨の確定申告に必要な書類は、以下の3つです。

  • 申告書A
  • 源泉徴収票
  • 仮想通貨の取引に関する書類

源泉徴収票は、12月から1月頃に会社から配られます。これは会社員にとって税金の計算報告書のようなものです。

青色申告の控除を受けたいのであれば、青色申告書も必要。青色申告をすることにより、仮想通貨の収益を雑所得から事業所得にできる可能性があり、事業所得と認められれば青色申告控除を受けることができます。

仮想通貨の取引に関する書類とは、取引利益や入金・出金明細書などです。日々の取引を記録する必要があるため、取引所のサイトから取引履歴を CSVでダウンロードしておくようにしましょう。

無申告のペナルティ

確定申告は、基本的に毎年2月16日から3月15日までが申告の期間です。ただし、3月15日が土日の場合は、翌週の月曜日が期限になります。もし期日までに書類の提出が間に合わないと、場合によっては無申告加算税などが発生します。

無申告加算税は、納付する税額のうち50万円までは10%、50万円を超えた部分は15%の税率がかかります。ただし、税務署から指摘される前に自主的に行った場合は、5%に軽減されます。

仮想通貨の税率に関するまとめ

今回は仮想通貨の税金について解説しました。現在のところ、仮想通貨は「雑所得」の扱いです。雑所得は総合課税のため累進課税となり、利益が出るほど高い税率が課せられます。

納税を怠れば無申告加算税などのペナルティが課せられてしまいます。ただ、税金から逃れることはできませんが、節税の方法はありますし、税金についてきちんと知っておけば、あとで困ることもありません。賢く節税しながらも、確実な納税を行うようにしましょう。

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