1. トップ
  2. 恋愛
  3. 会社を辞めて、こうなった。【第13話】 年齢コンプレックスの苦しみ。

会社を辞めて、こうなった。【第13話】 年齢コンプレックスの苦しみ。

  • 2015.4.16
  • 5878 views

会社を辞めて、こうなった。【第13話】 年齢コンプレックスの苦しみ。

37歳、独身、彼氏なし。長年勤めた出版社を退社し、なんの保証もないまま単身サンフランシスコに乗り込んだ女性が、異国の地で繰り広げられる新鮮な毎日を赤裸々にレポートします。

【第13話】年齢コンプレックスの苦しみ。
この連載を始めるにあたって、あらかじめ決めていたことがあります。
それは、この経験を通じて感じたことを正直に書こうということ。それがどんなに格好悪いことで、できればあまり人に知られたくないことでもです。

正直に書きます!

こちらの犬はみな、表情豊か。わかるよ、わかる…。このたそがれよう、他人事じゃありません。 さて、アメリカに来て4か月が経ちました。2か月間英語を集中して勉強し、未だに十分な状態ではありませんが、勉強のコツは掴んだように思います。

ちなみに昨日のこと。お気に入りの音楽、トッド・ラングレンの『Can We Still Be Friends』を聞きながら、近所の公園を走っていました。すると突然歌詞が音としてではなく、ダダダーっと文字となって耳に入ってきたんです。英語が聞き取れたという感動と、歌詞から今の自分を再考したりといろんな思いが混ざって、走りながら気づけば泣いていました。

今私が抱えているのは英語のコンプレックスだけではなく、年齢のコンプレックス。37歳という年齢で全てを捨てて、何の準備もコネもなく大学受験をするなんてバカげていることだなぁとわかっていたつもりでした。でもそれを実際に行うことで正直な思いも含めて公開し、また誰かが新しいチャレンジを踏めたらいいなと思っていたんです。でも、やっぱり普通に傷ついてしまいますね。

最初にショックを受けたのは、CITY COLLEGEでの出来事。こちらの高校生向けの補修授業を受けているのですが、同じく履修している70歳ぐらいのアジア系アメリカ人の女性の一言にショックを受けてしまいました。

子どもも産まずに何してるの!

ヒッピーや古着好きな若者に人気のヘイトアシュビー。たまにヒッピーによるシャボン玉のサプライズが! 彼女に年齢を尋ねられたので「37歳です」と答えると、「え? あなた、英語わかっているの!?」とびっくりされました(だいたいこちらでは、一回り下に見えるみたいです)。そこで「はい、何を言ったのかわかっていますよ」と答えると、指をつかって「3はコレで、7はコレよ」と説明されます。軽くうなずくと、「あなた37歳にもなって、何やっているの! 子どもも産まずに!」と叱咤。「あなたと一緒にアメリカの公民を勉強しています」とニッコリ笑って答えると、呆れ顔に。

これには傷つきました。でも、彼女の意見は否定できない一般論です。37歳にもなって高校生に混じってアメリカの公民の勉強をしているなんて、社会人として何の役にもたっていないと思われるのは当然。ここは認めなければなりません。そうじゃないと次のステージには決して進めないから。

さらに追い打ちをかけたのは、今通っている語学学校での出来事。何年生まれかという話になり、「I was born in 1977」(1977年生まれです)と答えると、一同フリーズ。語学学校のクラスメイトは18歳から20代前半なので「ママのほうが近いよ〜」とでも思ったのでしょうか。生意気なティーンが「I was born in 1996!」と反撃してきました。今まで「Aya!」と話しかけてきたクラスメイトもなんだかぎこちない…。「大学卒業して14年間働いてきたからこの歳なんだよ。こっちで勉強するにはお金が必要だったんだよ。みんなと違って自分のお金で勉強しているんだよ」と胸を張っていればよいのでしょうが、「確かに彼女たちより一回り以上も歳上なのに英語もロクに話せないなんて…」と思うと劣等感のほうが先立ちます。

あまりに辛くて日本の友達にアドバイスを求めたら、「自分の感情を素直に感じて。彩が彩の感情の味方で、友達でいてあげたらいい」と言ってくれました。

その後トッド・ラングレンの『Can We Still Be Friends』の歌詞が聞き取れ、考えさせられたんです。

私は私の友達でいられる?

ゴールデンゲートパークの湖。このカモメ氏は人の気持ちがわかるのか、寂しいときは近寄ってきてくれます。 その後トッド・ラングレンの『Can We Still Be Friends』の歌詞が聞き取れ、考えさせられたんです。私は私の友達でいられるのだろうか、どんな私でも受け入れられるのか、傷ついた時間を無駄にせずに、と。それはある意味私にとって、英語の勉強以上にとても難しいレッスンです。なぜなら今まで怒りや劣等感を感じたり、悲しかったり、寂しかったりと、ネガティブな感情がわいたらその気持ちをなるべく見ないようにしてきたんです。立ち止まっちゃいけないと思ってきたし、認めて傷つくのも怖かったから。

でもそうすると意外なところでどのみち爆発しちゃったりするんですよね。

例えば今の私。20年も経って、高校生のときにやってみたかったアメリカ留学をしているわけですから。今はまだどうやったらこの年齢に対するコンプレックスが手放せるのかわかりません。いまだに図書館で絵本を借りるのは勇気がいりますから。でも、いつか必ず克服したいと思います。

SEE YOU!

オシャレ和食店にて。なぞの日本語使いがキッチュです。 【関連記事】

「土居彩の

PROFILE 土居彩

会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。」まとめ

編集者、ライター。14年間勤務したマガジンハウスを退職し、’14年12月よりサンフランシスコに移住。趣味は、ヨガとウォーキング。ラム酒をこよなく愛する。目標は、カリフォルニア大学バークレー校で幸福心理学を学ぶこと。

の記事をもっとみる