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個人事業主と会社員の違いとは?税金・控除の仕組みをFPがわかりやすく解説

  • 2020.4.1
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働き方改革が推進されている昨今、空いた時間を活用して個人事業主として開業する人も増えてきているようですが、税金の取り扱いには注意が必要です。

会社員と個人事業主では税金の取り扱いが違うので、勘違いしているとトラブルになったり、内緒で副業をしていてバレたりといった自体を招いてしまいます。そこで今回は、個人事業主と会社員の税金や控除の違いについて詳しく解説します。

個人事業主と会社員の違い

会社員の税金や控除関係は基本的に会社の総務や経理の方が処理をするため、本人自らが申告する必要はありません。

会社員の場合は毎月給料の約10%が源泉徴収という形で天引きされていて、その天引きした金額を年末調整によって正しく計算し直して過不足があれば精算を行います。

年末調整によって税金が過払いになっていれば、次回の給与支給の際に加算され、反対に不足する場合は給与から差し引かれるのです。いずれにしても、税金や控除の計算や還付、納税といった一連の手続きすべてを会社がやってくれるので本人にかかる負担は何もありません。

個人事業主は全部自分で計算する

個人事業主を始めて最初に直面する課題、それが確定申告

給与所得と事業所得の違い

会社員に支払われる給与は給与所得として申告することになります。ここでは事業所得との違いがわかるよう、給与所得の計算方法について解説します。

給与所得の計算方法

給与所得を求めるためには、準備段階として次のようなステップで情報を整理していきます。

1:給料を1年分集計する

実際に1年分の給料を集計してみましょう。例えば、月給30万・ボーナス50万円の方の場合、次のように集計します。

  • 月給30万円×12ヶ月+ボーナス50万円=410万円
2:給与所得を求める

所得とは収入から経費を引いた利益のことで、給与所得の場合は以下の計算式によって算出します。

  • 給与所得=年間給料410万円-給与所得控除

会社員の場合は個別に必要経費を差し引くことが難しいため、所得金額に応じて一定の給与所得控除額が決められています。計算式にすると次の通りです。

  • 給与所得控除額=収入金額×20%+440,000円=126万円

これが給与所得から差し引くことができる、いわば会社員の経費ということになります。実際に計算式に当てはめると次の通りです。

  • 給与所得=年間給料410万円-給与所得控除126万円=284万円
3:課税所得を求める

給与所得がわかったら、ここからさらに控除額を差し引いていくことになります。今回は一律に適用される基礎控除を差し引いたとして次のようになります。

  • 課税所得=給与所得284万円-基礎控除38万円=246万円
4:所得税を計算する

所得税は課税所得が大きくなればなるほど、税率が高くなる累進課税になっているので、課税所得に対応する税率をかけて所得税額を算出します。課税所得246万円に対する税率は10%、控除額97,500円です。

  • 所得税額=246万円×10%-97,500円=148,500円

この金額が会社員の支払う税金の金額です。年末調整の際に所得税額と源泉徴収した累積金額を比較して、源泉徴収額の方が多ければ差額が次回給料と一緒に還付され、反対に少なければ追加で差し引かれることとなります。

事業所得との違いは?

これに対し個人事業主の場合は、行っている事業に応じて事業所得や不動産所得などを集計して税金を計算することになります。会社員との一番の違いは、毎月源泉徴収が行われないということです。

会社員は本人が何もしなくても、会社が給料の約10%を源泉徴収して納税しているため、年末に差額を調整するだけで済みますが、個人事業主の場合は1年間分まとめて所得を集計し、そこから経費を差し引いて課税対象額を算出します。

それでは具体的に計算してみましょう。

1:所得を計算する

個人事業主の場合は給与所得ではなく、事業所得や不動産所得など他の所得を合算して計算をするため少しややこしくなります。例えば、個人事業の売上が500万円、経費200万円で青色申告している単身者を仮定して以下の計算式に当てはめて計算してみましょう。

  • 所得金額=1年間の売上500万円-経費200万円-青色申告特別控除65万円=235万円

配偶者がいればここから配偶者控除などを差し引きますが、今回は単身者という設定なのでこの金額がそのまま課税所得になります。

2:所得税を計算する

所得税の金額は次の計算式に当てはめて計算します。

  • 所得税額=235万円×10%-97,500円=137,500円

このように、個人事業主の場合は年間の売り上げと経費をまとめて集計しなければならないですし、しかもそれを自分自身でやらなければならないことから、慣れていないと確定申告の時期にはかなりの負担となります。

税金にどのくらいの違いが出るの?

ここまで見ると、個人事業主の場合税金や控除の計算が非常に面倒で負担になることはお分かりいただけたかと思います。では、会社員の方が独立して個人事業として開業を目指す場合、同じくらいの収入で税金にどの程度の違いが出るのでしょうか。

結論からいうと、会社員の給料と個人事業主としての利益が同額であれば、会社員の方が有利です。税金についても会社員の方が有利な傾向がありますが、それ以上に有利なのが年金です。

会社員の場合は厚生年金に加入できて、なおかつ保険料の半分を会社が負担してくれます。対して個人事業主の場合は厚生年金よりも年金支給額が少ない国民健康保険のみの加入で、しかも保険料は全額自己負担です。

ここの格差が非常に大きいので、会社員の方が個人事業主として独立を検討する際には、概ね現在もらっている給料の2倍程度の利益を目標としなければ、現実的に会社員の頃よりも手元に残る金額が増えない可能性が高いといえます。

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個人事業主のメリットは?

このように同じ利益であれば給与所得の方が有利ですが、個人事業主ならではのメリットとしては経費があります。給与所得については給与所得控除があるものの、所得に応じて金額が決まっているため節税に活用することはできません。

一方、個人事業主であれば売上から経費を差し引くことができるので、経費を上手に活用すれば発生する税金をある程度コントロールすることが可能です。

例えば、会社員の方がマイカー通勤したとしても経費にはなりませんが、個人事業主の方がマイカーを仕事で使用すればガソリン代や高速道路代、駐車場代、重量税、自動車税などの一部を経費として売上から差し引くことができます。

また、車両本体の購入代金についても減価償却費として経費計上できるので、うまくやりくりすることで利益を圧縮して節税することも可能です。

個人事業主のデメリットと注意点

このように経費を計上できる点が個人事業主のメリットですが、注意しなければならないのは経費にできる範囲です。

例えば法人の経費は、法人が事業活動をするうえで支出しているものについては原則としてすべて対象とすることができますが、個人事業主の場合は売り上げを上げるために直接的に支出した費用に限定されるというデメリットがあります。

つまり、経費として計上して認められる範囲が非常に狭いのです。この点を理解しないまま、片っ端から領収書を切って経費計上していると、税務調査で引っかかって修正申告、追徴課税になる可能性があります。

そのため、ある程度広い範囲で経費を計上したい方は、法人化も検討しながら事業運営をしていくことをおすすめします。

会社員が副業で個人事業をする場合の税金と注意点

会社員の方で副業をする人が増えていますが、中には会社に内緒で始める人も多いようです。最近は働き方改革で就業規則が改定され、副業が解禁されている企業も増えていますが、中にはまだ副業が禁止のままの企業も多く、会社に言い出せないまま始めている人も少なくありません。

会社が終わってからどこで何をしようが、会社に知られることはないから大丈夫。そう思っている人もいるかもしれませんが、実は会社員の方が副業を始めると思わぬことから会社に副業がバレてしまうため注意が必要です。

開業届を出すと住民税が上がってバレる

会社員の方が副業をして所得が増えると、会社が年末調整してくれていたとしても、翌年には確定申告をして副業の所得を申告しなければなりません。

開業届を税務署に提出して副業の所得を申告すると、当然その人の総所得が給与所得よりも高くなり、それに比例して翌年の住民税が増額することになります。ここでポイントになるのが、住民税の徴収方法です。

会社員の方は給与から住民税が差し引かれるため、各人の住民税の決定通知は会社に届きます。会社員としての給料が一定なのに住民税だけ値上がりしていることがわかると、会社側に副業をしているということがバレてしまうのです。

このように総所得が上がると住民税が変化し、それによって会社が副業に気づいて懲戒処分を受けるというケースがありますので、副業を検討している人は必ず勤務先に許可をとってから始めることをおすすめします。

個人事業主と会社員の違いに関するまとめ

今回は個人事業主と会社員の税務上の取り扱いの違いについて解説してきました。サラリーマンであるうちは気づきにくいですが、個人事業主になってみると会社が社会保険料などどれほど負担してくれていたかが身に染みてわかるものです。

そのため、会社員自体の手取り給与と同じくらいの売り上げだと個人事業主の手取りはかなり低くなってしまいますし、将来受け取ることができる年金額も大幅に減少してしまいます。

開業届を出して独立しようとお考えの方は、その点を十分理解したうえで収益目標などを立てることをおすすめします。

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