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「SCHOOL OF LOCK!」とーやま校長、10代と向き合った10年間で築いたもの「最初は良いことを言おうとしか考えていなかった」<インタビュー前編>

  • 2020.3.26
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「SCHOOL OF LOCK!」のパーソナリティーを務めるとーやま校長(遠山大輔)
KADOKAWA

“ラジオの中の学校”として、10代を中心に支持を得ているラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」(毎週月~金曜夜10:00-11:55、TOKYO FM系列)。パーソナリティーを校長、教頭、リスナーを生徒と呼ぶこの番組では、放送開始から15年間、生徒たちの声に校長らが親身に耳を傾け続けている。

【写真を見る】生徒やアーティストとの“キズナ”を明かしたとーやま校長

そしてこの3月をもって、二代目の校長を10年間務めてきた“とーやま校長”こと、お笑い芸人・グランジの遠山大輔が退任する。

3月22日には、彼の退任を前に、番組にレギュラーとして出演中のPerfume、サカナクション・山口一郎らも登場した「SCHOOL OF LOCK! キズナ感謝祭supported by 親子のワイモバ学割」が開催された。予定されていた千葉・幕張メッセでの開催はできなくなってしまったが、動画配信により7時間にもわたって“授業”やライブが届けられた(※3月31日[火]までの期間限定で、LINE MUSIC公式アカウントにてアーカイブ配信中)。

「WEBザテレビジョン」では、そんなとーやま校長にインタビューを実施。前編では、イベントの感想を中心に、生徒との向き合い方などについて話を聞いた。

キズナ感謝祭での思い出は語りきれない

――まさしく10年の集大成となるイベントで、感動する場面も多々ありました。あらためて、キズナ感謝祭を終えた感想を教えてください。

本当にすごいイベントでしたよね。サカナクションの(山口)一郎さんが来てくれて、カリスマ営業の松田部長(東京ダイナマイト・松田大輔)が、日本郵便さんとやらせてもらっている企画で届いたリスナー直筆の手紙を持って来てくれて、そのあとにPerfumeが来てくれて、あのあたりで僕、感情がダメになったんですよ。

一郎さんと一緒に喋ると、いつも終わったあとに一郎さんがふざけるんです。でも、「グッドバイ」を歌い終わったあとの顔を見たら、「これ、普段見せないマジなやつだ」と。そしたら、そこで掛けてくださった言葉でまずは食らって、ホロッと涙が出ちゃったんですけど、松田部長が来てくれて引っ込んだんですよ(笑)。

でも、持ってきてくださった手紙が、イベントの時点で1000通以上も届いていたんですけど、それを見てまた「こんなに(自分のことを)思ってくれているんだ」と思って。その後、入れ替わりでPerfumeが来たときに、僕よりも先輩で12年もこの学校にいて、元々僕が自分でライブに行っていたくらい好きな方々なので、そういう人に本当に支えられたよなと思った瞬間に、わっと涙が出ちゃって。

そしたら、「何泣いてるの!」みたいなことを言われて(笑)。でも、用意したコーナーはやらないといけない、「よし、仕切り直しだ」と思って、あらためて僕が「よっ!」と言ったら、何の打ち合わせもしていないのに、3人同時に「よっ!」と返してくれたんです。その場面も印象的でした。

――長年の付き合いを感じさせる瞬間でしたね。

結局7時間くらいほぼぶっ通しでやっていたので、出来事がたくさんありすぎて、語りきれないんですよ。こんなに規模が大きいイベントだということも、当日、初めて分かったんです(笑)。SCHOOL OF LOCK!の全スタッフが、ひっきりなしに動いていて、見たことのないインカムを付けてやりとりをし合って、ちょっと話をしたらすぐどこかに消えて、みたいな。

配信が始まったら、出演者の方々が入れ代わり立ち代わりで、考えている暇もないまま授業をして、ケラケラ笑って。来る人来る人がモンスター級の人たちなので、気の休まる暇もないまま最後まで突っ走って、どっと疲れたという感じです。お弁当を食べる暇もないくらい怒涛(どとう)で、初めての体験でした。

フェスをやったら、生徒も誇りに思うだろう

――退任セレモニーの際、Perfumeさんが、歴代の校長、教頭の中でもこういう式は初めてとおっしゃっていましたが、そこで10年間の功績の偉大さを感じました。

あれはまずいですよね(笑)。他の方々に悪いというか。僕がどうこうというよりも、10年やったやつが辞めるというのが大きかったんだと思います。

僕、主催のフェスをやっている他のラジオ局みたいに、TOKYO FMもフェスをやればいいのにとずっと思っていたんです。TOKYO FMのパーソナリティーには、すごい人がいっぱいいるんですよ。でも、3年くらい前にふと、SCHOOL OF LOCK!にも超一線級の、フェスを開いたらヘッドライナーを務める人ばかりがいるのに、なんで集まらないんだろうなと、職員と話をしているときに思って。

せっかくだから、いつか勢ぞろいするようなフェスをやって、生徒たちもその現場にいることができたら「自分が聞いているSCHOOL OF LOCK!って、こんなにすごい場所なんだ」と誇りに思うだろうなと思ったんです。

いつかできないかなと思っていたんですけど、自分がもう辞めるから何とかここでカードを切れないかなと思っていたら、TOKYO FMの皆さんからも最後に何かしましょうという提案をいただいて、開催することができました。

――たまたまではなく、とーやま校長の人望があったからこその開催だったのでは?

本当ですか?たまに言っていただくんですけど、僕、すごくいいやつらしいっす。優しいらしいっすよ(笑)。

でも、校長になった当初はそんなんじゃなかったんですよ。最初の方は(生徒よりも)自分が出過ぎていたので、そんなに人に優しくしようとかは思っていなかったんですけど、いつの頃からかこうなっちゃったんですよね。

――それは、10代と向き合っていくうちに変わっていった?

そうですね。こうさせられたという言い方もあるかもしれないですね。

校長という立場は全く考えていない

――今まで、どのような心構えで生徒と向き合ってこられましたか?

人生経験がある方ではなくて、家族も金持ちではなかったですけど、めちゃめちゃ貧乏というわけでもない。ほしいものはすぐには買ってもらえない家でしたけど、別にひどい境遇でもなくて、普通っちゃ普通なんですよ。20代のときも、自分史に刻まれるような大きな何かがあったわけでもないし。

そんな僕が、生きてきた中で味わったことのないような、経験したことのないようなつらいことを中学校や高校で経験している10代と話をするとなったときに、じゃあ何が言えるんだと。

最初は良いことを言おうとしか考えていなかったです。どこかから引っ張ってきた良いことを自分なりに言うとかだったんですけど、自分で喋っていても、「全然気持ちが乗ってないな」と思っていましたから。

――どこか本心ではなかったということでしょうか?

結局、それは、自分が良いことを言ってよく思われたいという気持ちがあったと思うんですよ。あとは人に怒られたくなかったし、聞いている人にもいろいろ思われたくなかったということだと思います。

でも、それはさすがにまずいなと思って、それからは、聞いている子たちは自分の友達だと思って話をしています。友達がめちゃめちゃへこんでいたら、話を聞くじゃないですか。ただそれをやっているだけです。

――校長という立場や年の差も関係ないのですね。

喋っているときは全く考えていないですね。友達が落ち込んでいるから、単純に「どうしたの?」と聞いているだけです。それで何か言葉が返ってきたら「じゃあ一緒に考えるか」と言って。それくらいしか本当に考えていないんですよ。

その時その時の会話をちゃんとする

――その場で出てきた言葉でアドバイスをすることが多いのでしょうか?

一応(「学校掲示板」の)書き込みは読みますけど、話をしてみないと分からないし、あんまりキメ過ぎるのもダメだなと思っています。

最初はやっぱりキメ過ぎていたんですよ。書き込みを見て、じゃあこういうことを言った方がいいかなと考えて、電話で話をしていてどんな流れになろうとも、自分が用意しているものを絶対に出さなきゃいけないと思っているから、たぶん流れと全く違うところで言ってしまっていて。

お笑いで言うと、ひな壇でもその場の流れがあるじゃないですか。MCと前列、後列の人とのやりとりとか。あまりひな壇の番組に出たことはないですけど(笑)。普通はその流れの一番良いところで、用意してきたボケとかを言うと思うんですけど、全然関係ないところでボケてウケないみたいな。そんなことが僕のSCHOOL OF LOCK!の最初の方にはあったんです。

――転機になった出来事は?

(明石家)さんまさんがすてきなことをおっしゃっていて。もしも、自分がゲストとしてトーク番組に出たとき、用意したエピソードを流れの中で披露してウケたときは良い。でも、一番良いのは、そのエピソードを披露しなくてもウケたときだということをおっしゃっていたんですよ。

要は、出たとこ勝負でその場の流れを読みながら、何かあったときのために自分の武器は用意しておくけれども、それを出さずに戦うことができたときが一番だと。

そのようなことをさんまさんがどこかでおっしゃっているのを読んで、その影響も結構大きかったかもしれないですね。それからは、用意したことを必ず言わなきゃいけないわけでもなんでもなくて、その時その時の会話をちゃんとするというのを心掛けています。

いつ、どこで読んだか全く覚えていなくて、僕の中で勝手に変換されているかもしれないですが(笑)。

生徒に言いたいことはいくらでもある

――2019年9月にあしざわ教頭(芦沢ムネト)が退任されてから、この半年間はお一人で番組を進行されてきましたが、大変さを感じることはありましたか?

いろいろ大変なところもありましたけど、生徒と喋ることに関しては、1人も2人もそこまで変わらない感じでした。それ以外のところで、お知らせの時間は、1人だと大変だなと。息継ぎができないし、ふざけられないし。

――ツッコんでくれる人もいないですもんね。

告知をふざけたところで、戻すのは結局自分なので、1人でマッチポンプをしても仕方がないなと思って、そういうのはやめようとは思いましたけど。電話で喋っているときは1人でも変わらない感じでした。

――その後、ご自身も退任を発表され、より多くの生徒と向き合ってこられたと思いますが、やり残したことや心残りなことはありますか?

キズナ感謝祭を7時間やって、もうなくなった気がしたんですよ。

――キズナ感謝祭の最後に行われた退任セレモニーの際、配信のコメント欄には「今日で終わり?」といった書き込みが多くありました(笑)。

職員(スタッフ)のカヲル先生も「これ校長の走馬灯だよね」と。次から次へとゆかりのある人が出て来て、ようぺ(Alexandros・川上洋平)も、高橋ひかるちゃん、Aqoursのお二人、LiSAさんとも、この立場で会えるのは本当に最後だったと思いますし、ああいう機会を作っていただいて、本当によかったなと思います。

生徒に言いたいことはいくらでもあって、3月31日(※退任日)には出し切りたいとは思っていますけど、それが終わったとしてもたぶん出てくると思うので、難しいですね。やってみないと分からないです。

※高橋ひかるの「高」は「はしご高」が正式表記

※後編は3月27日(金)に配信予定(ザテレビジョン)

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