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遺族年金はいつからいつまでもらえる?受給資格&受給期間をFPが解説

  • 2020.3.25
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【遺族年金】とは、共に家族として過ごしていた方が亡くなったことによって、その後もなるべく生活が困らないように、最低限の生活費としてもらえるお金です。

家族の逝去で生活に困る状況があったとしても、所定の要件に当てはまらなければ【遺族年金】は支給されません。また、当初はもらえていても途中で打ち切りになる場合もあります。

今回のテーマは、【遺族年金】がいつからいつまでもらえるのか、という内容と【遺族年金】をもらえるための資格などについてです。少し難しいテーマに感じるかもしれませんが、なるべくわかりやすくまとめていきますので、どうぞ最後までお付き合いくださいね。

受給資格

【遺族年金】をもらうことができる資格は、故人が生前加入していた年金が【国民年金】か【厚生年金】のどちらだったかによって、その条件が違います

さらに、もらう人の条件もあります。各年金ごとに以下、まとめていきますね。

【遺族年金】をご遺族がしっかりもらえる大前提として、故人の生前の年金加入状況が非常に大事なポイント。しっかり加入して保険料を払っていることは重要です。 厚生年金に関しては、給与天引きなので未納や滞納はほとんどないと考えられますが、自営業やパート、アルバイトの方は、ご自身のためにもご家族のためにも、今一度加入状況を把握して、未納や滞納がある場合は可能な限りさかのぼって支払いましょうね。 なお、やむを得ない事情から納付猶予や免除の申請をして認められている方は、その期間は加入期間とみなされますのでご安心ください。

遺族基礎年金

【遺族基礎年金】は、故人が自営業者でも、会社員・公務員などの給与所得者であっても、条件に当てはまりさえすれば支給されます。【基礎年金】とは、【国民年金】加入者がもらう年金のことです。

【国民年金】は誰もが加入しなければならない年金ですから、どなたも対象となる、ということですね。さて、【遺族基礎年金】の受給の対象ですが、「子」または「子のある配偶者」です

年金の範囲では、子どもの定義として18歳に到達した年度末までのお子さんを指します。(または20歳までの子供で、障害等級1または2を受けている場合)

つまり、配偶者が【遺族基礎年金】をもらうにあたって、例えば、同居している19歳や20歳の大学生のお子さんでは対象とならないことになります。お子さんが対象とならないということは、「子のある配偶者」には当たらないとみなされます。

ご夫婦の間にお子さんがいない場合や、お子さんがいても18歳以上のお子さんで、制度上の子供の定義から外れている場合には、【遺族基礎年金】はもらえません。

この後で詳しくまとめますが、故人の逝去当時にはお子さんがまだ幼く【遺族基礎年金】をもらえていた場合でも、前述したようにお子さんが18歳になった年度末を迎えた等の理由から、途中で年金が打ち切りになることもあります。

寡婦年金について

【遺族年金】以外にも、ご遺族の生活を守る制度として【寡婦年金】という制度があります。主に自営業者など、国民年金だけに加入していた方の妻が対象です。なお、この制度は妻のみが対象で、妻が60歳から65歳の間にもらえる有期の補償です。

以下の要件に該当すれば【寡婦年金】を受け取ることができる場合があります。婚姻期間は重要なポイントです。

  • 第1号被保険者として10年以上加入していた夫と、10年以上婚姻関係にあった妻
  • 夫が【老齢基礎年金】を受けておらず、【障害基礎年金】の対象でもない場合
  • 5年以内に請求した場合
遺族厚生年金

【遺族厚生年金】とは、生前故人が【老齢厚生年金】として受け取るはずだった報酬比例部分の年金額に対して、約3/4の額程度を、対象のご遺族に年金として支給するものです。

【厚生年金】とは、会社員などの給与所得者や、以前は【共済年金】の対象であった公務員(警察官、自衛隊なども含む)が加入している年金です。いわゆる「二階建ての年金」の二階部分が、この【厚生年金】にあたります。(一階部分は【基礎年金】)

【遺族厚生年金】の対象となるのは、子、妻、55歳以上の夫、親、祖父母など、【遺族基礎年金】と違って対象が広く設定されています。もちろん、この全員がもらえるわけではなく、もらえる順位が高い方が優先される決まりです。優先順位の高い方から、子、妻、55歳以上の夫です。

子どもは、絶対的に最優先で【遺族年金】をもらう権利があります。

夫が【遺族厚生年金】をもらうには

夫が【遺族厚生年金】をもらうには、少々ハードルが高い印象です。以前は【遺族年金】の対象は妻に限られていましたので、夫まで範囲が広がったことは良いことですが、妻が死亡時に夫が55歳以上の場合に限り、60歳以降から【遺族厚生年金】をもらえる仕組みになっています。

近年、家族スタイルの多様化から、専業主婦だけでなく専業主夫の方も増えてきました。例えば妻が一家を担う収入を得ていて、夫が専業主夫である場合、夫が55歳以上でなければ【遺族年金】としての補償がないということです。

ただし、子どもがいれば、子どもに対する【遺族補償】はありますので、ご安心くださいね。

社会保険からもらえるお金

【厚生年金】の対象であるということは、社会保険の加入者であるということですよね。【遺族補償】として、社会保険から何かもらえるお金がないか…とお思いの方もいらっしゃると思います。

社会保険からもらえるお金としては「埋葬費」などの名目で約5万円前後が支給されます。加入している社会保険の団体によりますが、主に協会けんぽなどの場合は、もう少し上乗せされる場合もあります。

詳しくは、加入している社会保険のHPや冊子などでご確認ください。その際に、万が一の際の手続きの流れや連絡先についても、併せて確認しておくと良いでしょう。

受給期間

【遺族年金】がいつからもらえて、いつまでもらうことができるのかは、非常に気になるポイントではないでしょうか。

簡単に言えば「対象となった時から、対象ではなくなった時まで」もらうことができるのですが、この要件がそれぞれの場合で色々ありますので、ここから分けて見ていきましょう。

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①いつからもらえる?

いつからもらえる?というと、前述した受給資格に該当した時からもらえます。

ちなみに、故人がお亡くなりになった後、【遺族年金】の受給申請の手続きがすべて終わって、実際に第一回目の振り込みがあるまでに、一般的に3~4カ月かかります。実際にもらえる時期としては「申請手続きをしてから3~4か月後」を目安にしておきましょう

当然、申請時期が遅れれば、その分もらえる時期も遅くなりますので、可能な限りなるべく早く手続きをしておくと良いでしょう。

②いつまでもらえる?

基本的に【遺族年金】は、配偶者の場合は一生もらうことができます。ただし、新たなパートナーと再婚した場合など、もらえない場合の一定の条件を満たすと打ち切りとなります。

支給期間に上限がある場合も

基本的に、配偶者の場合は一生もらえますよ、と書きましたが、一部の配偶者の場合は受け取る期間に上限があります。夫が亡くなった時に、子どものいない30歳未満の妻の場合、上限5年までで【遺族厚生年金】は打ち切りです。

お子さんがいない場合は一律【遺族基礎年金】はもらえませんので、会社員や公務員の30歳未満の妻で、お子さんがいない場合は、【遺族厚生年金】がもらえる期間である5年経過後は何の補償もない状態になります。

この場合、民間の生命保険に加入するなどして、妻に対して予め遺族補償を補完しておくと安心ですね。

【補足】異なる2つの年金が発生したら

先に何らかの【遺族年金】を受給していて、ご本人が高齢者になってから【老齢年金】をもらうようになったら、この2つの年金はどうなるのでしょうか。

一般的に、一人一年金制度を導入していますので、国民一人に対してもらえる年金は1種類のみです。同じ種類の年金で【基礎】と【厚生】をもらうことはできます。

ここで問題となるのは、【障害】と【老齢】と【遺族】の3種類のうち同時に発生した場合は、基本的にはどちらを受け取るかを選ばなければなりません。つまり、場合によっては今もらっている【遺族年金】がもらえなくなる場合があるということです。

どちらかを選択する場合は、あらかじめ年金事務所などにご相談ください。

ただし、以下の3つの組み合わせだけは、例外的に一緒にもらうことができます。

  • 【老齢基礎年金】+【遺族厚生年金】
  • 【障害基礎年金】+【遺族厚生年金】
  • 【障害基礎年金】+【老齢厚生年金】

遺族年金の受給期間はいつまでかに関するまとめ

【遺族年金】は【老齢年金】と違って、ある一定の年齢に達したら全員がもらうというものではありません。

一緒に暮らしていたご家族が亡くなり、その他の条件に該当した人だけが受け取ることのできるお金なので、【老齢年金】ほどは遺族年金制度について浸透していない部分も多い印象です。

特に、子どもがいない自営業者等の夫婦の場合、受給期間以前に「何も遺族補償がない」ので、前もって対策をしておくことが必要でしょう。

また、会社員等の配偶者で、子どもがいない30歳未満の妻の場合も5年の有期補償となりますから、その後に備えた対策も必要となってきます。

当初はもらえていた【遺族年金】も、お子さんが18歳を超えた場合などは途中で打ち切りになる場合もありますから、受給期間や受給資格は予めしっかり確認・把握しておき、足りないと感じる部分に関しては、民間の生命保険や金融資産で備えておくと安心ですね。

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